歯周病予防は「歯ブラシと歯磨き粉の選びかた」が重要な理由。セルフケアを効果的に行うには?
本記事は、船越栄次氏の著書『なぜ、歯ぐきが健康な人ほどいつまでも長生きできるのか』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています。
■ 歯周病予防のカギは「1日1回、しっかり磨く」
歯周病予防に欠かすことのできないセルフケアの方法、なかでもそのイロハの「イ」である歯磨きの話を中心に、お話ししていきましょう。
本記事お読みいただいているみなさんのなかで、「私は歯をまったく磨きません」という方はいないと思います。
私たちは、子どものころから「歯磨きをしなさい」と繰り返し言われて育ちます。つまり、ほとんどの日本人は歯磨きの習慣があるわけですが、それにもかかわらず、なぜ虫歯や歯周病になってしまうのでしょうか?
「きのうはうっかり磨き忘れて眠ってしまった……」なんてご経験をおもちの人もいるかと思いますが、基本的に毎日磨いているのであれば、心配には及びません。
なぜなら歯周病菌は、付着してから24時間以上が経過してからでないと、悪さをしないからです。
すなわち、「24時間以内に菌や汚れを落とせばいい」ということなら、理論上は1日に最低1回しっかりと磨けていれば、虫歯にも歯周病にもならないということになります。
実際に、歯磨きの回数による効果を調べた調査では、1日に1回よりは2回のほうが効果は上がるものの、それ以上は3回磨こうが4回磨こうが大きな違いはないという結果が出ています。
もちろん、エチケット上は毎食後に磨いたほうがいいことは間違いないですし、私自身も食後は必ず歯磨きをしています。とはいえ、いくら毎食後に磨いても、そこに磨き残しがあれば、歯垢は必ず蓄積していくのです。
つまり、「虫歯・歯周病の予防」ということを第一に考えたときには、磨く頻度以上に、「磨きかた」こそがなにより重要なのです。
この「毎日のセルフケア」でやるべきことは、それほど難しくはありません。
「歯磨きは朝と夜だけ」という人が多いと思いますが、実は、毎朝毎晩ていねいに磨くことはできなくとも、「1日1回しっかり磨く」を徹底すればいいのです。
1日1回の歯磨きでも十分に予防できるだけの効果的な磨きかたを身につけること。これがセルフケアにおける最大のポイントです。
■ 歯ブラシ選びは「毛質」に注目して選ぼう
セルフケアを効果的に行なうには、ブラッシングの方法のみならず歯ブラシや歯磨き粉の選びかたも重要です。
ドラッグストアやスーパーマーケットに行くと、たくさんの歯ブラシがずらりと並んでいますね。ヘッドがコンパクトなもの、毛が硬いもの、柔らかいもの、毛の先が細くなったものと、特徴も実にさまざまです。
このなかから、最も効果的に磨けるタイプを選ぶというのは、なかなか難しいものですね。
歯ブラシを選ぶには、その目的から考えることが大切です。
大きなテーマである「歯周病予防」ということを第一に考えると、歯垢がついてしまっては困る部分が、歯と歯肉の境目です。この磨きにくい部分をしっかりと磨けるようなブラシでなければなりません。