ファンヒーターを“メインの暖房器具”で使うべきではない理由。「電気代で考えると一番もったいない」 | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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物価高騰のあおりを受けて、相対的に下がり続けている実質賃金。通信費や保険料の見直しなどなど毎月の固定費にメスを入れるのが家計防衛の本筋だが、ことここに至り家計への圧迫感が増しているのが月々の光熱費だ。

 

とくに補助金による負担軽減策が行われている電気代については、オール電化住宅で暮らしている人をはじめ、やはり多くの人が気になるところ。

 

今回疑問をぶつけるのは、2002年『TVチャンピオン』(テレビ東京)のスーパー家電通選手権で優勝経験を持つ、東京電力エナジーパートナーの中村剛氏。節電・省エネ生活のポイントを聞いた。キッチン周りの話に触れた前編に引き続き、後編となる本稿では暖房周りの省エネワザを中心に紹介する。

画像はイメージです(以下同じ)

画像はイメージです(以下同じ)© 日刊SPA!

 

◆まずは自宅の断熱性能を高める

 

「資源エネルギー庁が毎年出している『エネルギー白書』によると、冷房のエネルギー比率は3%ほどですが、暖房は実は25%ぐらいを占めているんですよね。

 

熱をつくるエネルギーについて考えることは、それだけ重要なテーマと言えるでしょう」(中村氏、以下同)

 

暖房代を左右する主な変動要因として、中村氏はエアコン自体の性能と住宅・部屋の断熱性能の2つを挙げる。

 

「自宅の断熱性能を高めた上で、なるべくエネルギー効率の良い省エネなエアコンを使うということが大切になってきます。具体的に断熱性を高めるための方法としては、窓ガラスをペアガラスにする、

 

あるいは賃貸でそこまで手をかけられないなら少し厚手のカーテンにするというのも有効です。その上でやはりメインはエアコン、正確にはエアコンなどの「ヒートポンプ暖房」を優先的に使うようにしましょう」

 

◆窓からの冷気で身体を冷やさないためには?

 

窓から入ってきた冷気によって足元や背中を冷やしてしまわないためにも、カーテンは下の床までしっかりと布があるほうがオススメだという。

 

「冷気が部屋の床を這うようにして入ってきて足元を冷やす現象をコールドドラフトと言いますが、カーテンとペアガラスに加え、窓ガラスの反対側からエアコンの風を出すようなかたちだとさらに理想的です。

 

ちなみにペットを飼っている方だと、床暖房を検討する人も少なくないと思いますが、床暖房もエアコンと連動した室外機によるヒートポンプタイプが基本的に効率的ですね」

 

◆ファンヒーターは「局所的に短時間で使う」

設定温度を上げると電気代は当然高くなるため、快適さとのバランスをどう考えるかだが、追加の暖房器具の導入を検討する際に電気のファンヒーターを選択肢として考える人も多いだろう。

 

「電気代で考えると、ヒーターで電気を使うのが実は一番もったいないという結果になりやすいんですよね。電気の熱量は1kWh=860キロカロリーで、それ以上にはなりません。コンセントの容量が1200Wなら、電力消費はヘアドライヤーの強と同程度。けっこうな電気を使っているような感覚があるかもしれませんが、1台のドライヤーで部屋が暖まらないというのと一緒です」

 

限定的な範囲に温風を当てるドライヤーに対して、ファンヒーターは暖房器具としてより広範囲に温風を当てられる形をとっているが、放出される熱自体の総量に大きな差はないという話のようだ。

 

「ヒートショック予防も兼ねて脱衣所などで短時間の使用は効果的だと思いますが、長時間の使用で部屋全体を暖めるという使い方は避けたほうがいいでしょう。

 

あくまでもファンヒーターは局所暖房。メーカーさんもその辺りは明言していなかったりもしますが、その場を離れるときは電源を切らないと電気代のわりに得られる暖房効果は小さいと言えます」

 

◆暖冬傾向の今年こそ、こまめなカーテンの開閉を

 

「部屋全体を温める空調暖房としてヒーターを使うのはあまり効率的でないんですが、コタツのようなかたちで局所的に暖をとる分には非常に合理的とも言えます。

 

その究極の形態のひとつが“着るこたつ”系の暖房器具です。ヒーターを使うなら、とにかくパーソナライズなかたちで暖まるという考え方を基本にしたほうが良いでしょう」

 

全国的な暖冬傾向にある中でも夜間などはそれなりに冷える日も多い。リビングの大窓などに取り付けたカーテンの開閉をこまめに行い、昼間は積極的に日射を入れて、その熱を効率的に蓄えることができれば、より電気代の節約につながりそうだ。

 

「家電をスマホから遠隔操作できる『Nature Remo(ネイチャーリモ)』や『Switch Bot Hub(スイッチボットハブ)』など、スマートリモコンの活用を検討してみるのもいいかもしれませんね。最近は非常に細かく設定できるデバイスもあって、

 

『SwitchBot スマートカーテン』などは太陽の光を感知して自動でカーテンの開閉もやってくれる。日が落ちて外の気温が下がってきても、なるべく屋内の熱を外へ逃がさない仕組みをつくれば、省エネ生活につながりやすいでしょう」

 

◆「追い焚き」より「高温足し湯」を使え!

東京電力エナジーパートナーの中村剛氏

東京電力エナジーパートナーの中村剛氏© 日刊SPA!

 

最後に筆者が気になるのがエコキュートの追い焚き機能についてだ。エコキュートと言えば少ない電力で、しかも電気代が割安な夜間などにヒートポンプを稼働させ、貯めたお湯を給湯する仕組みだが、そんなエコな仕組みに胡座をかいて、つい多用しがちなのが「追い焚き」だ。

 

入浴の番が最後に回ってきた場合などは「そんな気安く使って良い機能なのか?」と、ぬるくなった浴槽に浸かりながら逡巡することもある。

 

「お湯を入れ替えずにお風呂のお湯を配管に戻して熱交換する仕組みの『追い炊き』より、『高温足し湯』のほうが、電力の消費としては効率的でオススメです。

 

何より新鮮なお湯が入ってきて衛生的でもある。お風呂の番が最後で水位が減っている場合もですが、あえて浴槽からお湯を抜いてでも積極的に使ったほうがいいと思います」

 

◆「ポータブル電源」の導入を考える筆者だが…

 

筆者はここ数年、少しでも電気の自給自足を考えて、ソーラーパネルで発電・蓄電できるポータブル電源の導入もボンヤリと検討している。電子レンジなども使えるタイプも多いらしいので、日常的に活用することも含めて考えているのだが、初期投資分を日々の電気代で回収することは現実的に可能だろうか?

 

「蓄電池や太陽光パネルの耐用年数を考えると、ペイするのは正直難しい気がします。お湯などの熱エネルギーは断熱さえしっかりやれば、ある程度は溜めておきやすいんですが、やっぱり蓄電ってなかなか難しくて今の技術だと効率が悪い面もあるというか。

 

基本的にポータブル電源は防災やレジャー用途のために購入するのが、やはり良いと思います。戸建なら取り付けた太陽光パネルで発電した電気を自家消費するのが、最も効率的で電気代の節約にもつながりやすいんですけどね」

 

オール電化マンションなどでは一般的なオール電化メニューを活用し、省エネや節電を考えることが現実的なようだ。

 

<取材・文/伊藤綾>

 

【中村剛】

東京電力エナジーパートナー株式会社 勤務。2002年に『TVチャンピオン』スーパー家電通選手権で優勝し、銀座にて体験型ショールーム「くらしのラボ」の開設と運営に従事。現在”家電王”として動画マガジン『くらしのラボ』をFacebookとYouTubeで毎週配信しているほか、テレビや雑誌、新聞などの様々なメディアで暮らしに役立つ情報発信を行う。無類のネコ好き。

 

【伊藤綾】

1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii