日本人のソウルフードともいえる「みそ汁」。江戸時代には「みそは医者要らず」といわれたほどで、昔の人は経験的にみそが体にいいことを知っていたようです。
大量の汗をかき、食欲も減退する夏にも、みそはおすすめ。汗で失われた塩分を上手に補給できるうえ、たくさんの栄養素を含んでいるため熱中症&夏バテ予防にぴったりなのです。
また、発酵食品なので、栄養素の消化吸収がよいというのもうれしいところです。
それでは、最近の研究でわかった、みその健康パワーをご紹介していきましょう。
■1:毎日みそ汁を飲むと乳がんにかかりにくくなる
2003年に厚生労働省の研究班が、「みそ汁の摂取が多い女性は、乳がんになりにくかった」という調査結果を発表しました。
4県14市町村に居住する40~59歳の女性2万1,852人を対象に、みそ汁や豆腐、納豆などの大豆製品の摂取量と乳がんの発生率の関係を1990年から10年間にわたって追跡調査したところ、「みそ汁1日1杯以下」の人を1とすると、「1日2杯」の人は0.74、「1日3杯以上」の人は0.6という結果になったのです。
つまり、毎日3杯みそ汁を飲むグループでは、乳がんの発生リスクが40%も低かったということ。
■2:胃がんの発生リスクもみそ汁が下げてくれる
「みそ汁の摂取頻度と胃がん死亡率との関係」を調べた疫学調査(1981年、当時、国立がんセンター研究所の疫学部長だった故・平山雄博士)によれば、男女ともにみそ汁を飲む頻度が高い人ほど、胃がんによる死亡率が低いことがわかりました。
とくに男性の場合、「毎日飲んでいる人」と、「まったく飲んでいない人」をくらべると、「まったく飲んでいない人」のほうが、胃がんによる死亡率が48%も高くなっていることが判明したのです。
■3:みそ自体にアンチエイジング効果がある
活性酸素の働きによって細胞の老化は早まるのですが、みそに含まれる「DDMPサポニン」という成分が、活性酸素を消去するという研究結果があります(東北大学、故大久保一良教授)。
まだ成分ははっきりしないようですが、みそが熟成する過程で抗酸化力を高める物質が生まれていることは明らかなようで、紫外線によるシワやシミの予防、美肌効果も期待できます。
■4:みそには30%も減塩できる効果がある
塩分の摂りすぎを気にするあまり、みそは敬遠されがちでした。しかし共立女子大学家政学部・上原誉士夫教授の研究により、「同じ食塩量でも、食塩から摂取したときと、みそから摂取したときでは、後者のほうが30%の減塩効果がある」ことがわかっています。
■5:みそには血圧を下げてくれる効果もある
また、高血圧の原因のひとつに塩分の摂りすぎがあると考えられていますが、じつは、みそには血圧を下げる働きがあることもわかってきました。
血圧を下げる「高血圧防止ペプチド」という成分が、みそにあることが発見されたほか、腎臓から食塩の排出を促す利尿作用や、血管の内側の細胞を保護する効果があることから血流をスムーズに流し、血圧を下げていることなどが解明されてきているのです。
■6:みそ汁1杯の塩分はたったの1.2gしかない
とはいえ、やっぱり塩分量は気になりますよね。お椀一杯のみそ汁で、だいたい1.2gといわれています。1日の塩分摂取目標量は、成人男性で9g未満、女性で7.5gなので、健康な人であれば、そんなに気にする必要はなさそうです。
ちなみに、カップラーメン1杯は約4.8g、かけうどんで約5.6gもあるのです。この数値を見ると、汁は残そうという気持ちになりますよね。
話は戻りますが、みそ汁のなかには、いろんな具を入れますよね。この具を工夫することで、塩分の体内吸収をブロックすることもできます。
ポイントは、カリウムや食物繊維が豊富な食材を選ぶこと。
たとえば、カリウムや食物繊維が豊富なホウレンソウ、春菊、いも類、わかめ、ごぼう、コンニャク、きのこ類など。
定食で出てきて、なぜかほっとする、ジャガイモとわかめのみそ汁は、まさに利にかなった料理といえそうです。
毎日のみそ汁で、この夏を元気に乗り切りましょう。