高血圧患者に衝撃の事実、「血圧130以上はダメ」に科学的にはっきりした根拠はなかった…? いま知 | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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高血圧患者に衝撃の事実、「血圧130以上はダメ」に科学的にはっきりした根拠はなかった…? いま知っておくべき「高血圧の新常識」

『別冊 おとなの週刊現代 「血圧」と「血管」の新しい知識』では、多くの人が悩みを抱える「血圧」や「血管」にまつわるさまざまな情報を紹介している。同書より、血圧の「新常識」にまつわる記事をおとどけする。

10年前の考え方は、間違っている

いま日本の大人の半数近く、およそ4300万人が高血圧を患い、うち2400万人が降圧剤を飲んでいる。

 

ところが、これだけ多くの人が悩んでいるにもかかわらず「人はなぜ高血圧になるのか」「どうすれば血圧を下げられるのか」「どこまで下げるべきか」といった、

 

ごく基本的なことでさえ、長いあいだ「謎」とされてきた。

 

「『血圧が病気や健康と関係がある』ことがわかり、血圧計が発明されたのは、約130年前のことです。

 

それから世界中でたくさんの基礎研究が行われてきましたが、長いあいだ、高血圧の詳しいメカニズムはほとんどわかっていませんでした」(東京都健康長寿医療センター顧問の桑島巖氏)

高血圧患者に衝撃の事実、「血圧130以上はダメ」に科学的にはっきりした根拠はなかった…? いま知っておくべき「高血圧の新常識」

高血圧患者に衝撃の事実、「血圧130以上はダメ」に科学的にはっきりした根拠はなかった…? いま知っておくべき「高血圧の新常識」© 現代ビジネス

 

誰もが漠然と「高血圧はよくない」と考え、医者はなんとなく薬を出し、患者はなんとなく飲みつづける―長らく変わらなかったそんな状況がようやく変わり始めたのが、この10年ほどのことだ。

 

とりわけ、大きなターニングポイントとなったのが、高血圧をめぐって大激論が巻き起こった'14年である。

「極論」は時代遅れに

この年の4月、日本人間ドック学会などが「上は147以下、下は94以下が正常」とする新基準値を発表。日本高血圧学会が定めていた「上は130、下は85」というそれまでの基準値とぶつかり、大きな混乱を招いた。

 

さらに同年6月には、ノバルティスファーマ社が降圧剤「ディオバン」の臨床試験で不正をはたらいていたことで、社員に逮捕者が出る騒ぎとなり、降圧剤に対する信頼が根本から揺らいだ。

 

「かつては多くの医者が『大学の偉い教授が効くと言っていたから、この薬を使おう』とか『とにかく上は130まで下げないと』というふうに、権威や前例に頼って高血圧を診療していました。

 

しかし、こうした事件をきっかけに、医者のあいだでも議論が深まり、『ひと口に高血圧と言っても、患者さんごとに原因も対処法も違う』『とにかく下げればいいわけでもないし、まったく気にしなくていいわけでもない』という考え方が広がり始めたのです。

 

また、この10年ほどで'80年代から数十年かけて実施されていた、血圧に関する大規模調査の結果も出始めた。これをふまえて、高血圧の治療にもエビデンス(裏付け)が重視されるようになりました」(桑島氏)

 

これからは患者の側も、こうした医療界の変化をふまえて知識や治療法、薬の飲みかたを「アップデート」しなければ、正しく高血圧と付きあっていくことはできないということだ。

基準値の常識が変わった

では具体的に、どこがどんなふうに変わったのか。まずは誰もが気になる「基準値」についての考え方である。

 

かつては、血圧といえば「なにがなんでも下げるべし」と考える医者と、「高くても気にしなくていい」と考える医者に二分され、患者の側も分断されていた。

 

だがいまでは、それらはともに、極端な見方だったことがわかっている。鹿児島大学大学院心臓血管・高血圧内科学教授の大石充氏が言う。

 

「'19年に改訂された高血圧治療ガイドラインでは、年齢や持病の有無に応じて、目標値を変えることが勧められるようになりました。血圧の基準も、

●120/かつ80未満→正常血圧

●120~129/かつ80未満→正常高値血圧

●130~139/または80~89→高値血圧

●140/または90以上→高血圧

というふうに分類が細かくなったほか、『糖尿病や脳血管障害などの持病がある人は130/80未満が目標値』とする一方で、『こうした持病があっても、

 

75歳以上の人は、140/90と高めの数値を目標値にしてもいい』となっています。患者さんそれぞれの健康状態や年齢などの条件を見きわめながら、持病のある高齢者では目標値をゆるくしてもよいと言えるでしょう」

 

現在、アメリカでは一律で「130/80以上が高血圧」とされるなど、世界的に血圧の基準値は厳しくなっている。

 

対して日本の基準値は、意外にも海外より高めの「140/90」に据え置かれているが、それにも理由がある。

 

「近年の研究の結果、上の血圧が140を超えると、脳卒中や心筋梗塞の発生数が有意に増えることがわかったからです。

 

その一方で、'14年に日本人間ドック学会が示して論争になった『147/94』という値は、あくまで『人間ドック受診時に持病がなく健康な人』の血圧を調べて導き出した値であって、高齢の人にはあてはまりません。

 

低血圧でふらつくことがなければ、やっぱり40代や50代からなるべく血圧を下げたほうが、血管の病気や認知症になりづらいことも各国の研究データからわかってきています。

 

より重要なのは数字に縛られすぎず、どこまでなら無理なく下げられるのか、ひとりひとりの患者が医師と一緒に見つけていくことだと思います」(大石氏)

 

後編記事『高血圧の人もじつは「間違っている」かも…「ほんとうに正しい血圧の測り方」をご存じですか?』では、さらに「血圧の新常識」をお伝えします。