セカンドライフとも言える老後生活において、収入の柱となる「老齢年金」。
老後に年金を受け取れることは知っていても、実際に自分がいくら受け取れるのか知らない人も意外に多いです。
そこで本記事では、60歳~89歳の「厚生年金・国民年金」の平均額を1歳刻みで紹介していきます。
老齢年金の仕組みについても解説しているので「自分は厚生年金か国民年金どちらを受け取れるのか」もあわせて確認しておきましょう。
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自分はどっち?老齢年金の仕組みをおさらい
まずは、日本の老齢年金の仕組みについておさらいしておきましょう。
日本の老齢年金には「厚生年金」と「国民年金」が存在しており、下図のように2階建て構造となっています。
出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」© LIMO | くらしとお金の経済メディア
1階部分となる「国民年金」は、原則20歳以上60歳未満の人が自動的に加入対象となり、加入期間と納付月数が同じであれば、加入者全員が同じ年金月額を受け取れます。
一方で、2階部分となる「厚生年金」の場合は、会社員や公務員などが加入対象で、加入期間や年収などによって受給額が異なります。
つまり、会社員や公務員は、国民年金に上乗せする形で厚生年金が老後に受け取れます。
反対に、専業主婦や自営業者の場合は、厚生年金の加入対象外のため上乗せされずに、国民年金のみの受給となるのです。
では、厚生年金と国民年金でどのくらい受給額に差があるのでしょうか。
次章で詳しく紹介していきます。
【年金一覧表】60歳~89歳の「厚生年金」平均月額
老後に受け取れる老齢年金は、現役時代の働き方・年収によって受け取れる年収の種類や受給額が異なることがわかりました。
本章では、2023年12月25日に厚生労働省年金局が公表した「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、まずは60歳〜89歳の厚生年金の平均月額を確認していきましょう。
なお、下表の厚生年金の平均月額は、国民年金を含んだものとなっています。
厚生年金と国民年金の平均月額を1歳刻みで見ていきましょう。
60歳代の厚生年金
出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
© LIMO | くらしとお金の経済メディア
・60歳:9万4853円
・61歳:9万1675円
・62歳:6万1942円
・63歳:6万4514円
・64歳:7万9536円
・65歳:14万3504円
・66歳:14万6891円
・67歳:14万5757円
・68歳:14万3898円
・69歳:14万1881円
70歳代の厚生年金
出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成© LIMO | くらしとお金の経済メディア
・70歳:14万1350円
・71歳:14万212円
・72歳:14万2013円
・73歳:14万5203円
・74歳:14万4865円
・75歳:14万4523円
・76歳:14万4407円
・77歳:14万6518円
・78歳:14万7166円
・79歳:14万8877円
80歳代の厚生年金
・80歳:15万1109円
・81歳:15万3337円
・82歳:15万5885円
・83歳:15万7324円
・84歳:15万8939円
・85歳:15万9289円
・86歳:15万9900円
・87歳:16万732円
・88歳:16万535円
・89歳:15万9957円
【年金一覧表】60歳~89歳の「国民年金」平均月額
60歳〜89歳の「国民年金」の平均月額は下記のとおりです。
60歳代の国民年金
出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成© LIMO | くらしとお金の経済メディア
・60歳:4万2616円
・61歳:4万1420円
・62歳:4万3513円
・63歳:4万3711円
・64歳:4万4352円
・65歳:5万8070円
・66歳:5万8012円
・67歳:5万7924円
・68歳:5万7722円
・69歳:5万7515円
70歳代の国民年金
出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成© LIMO | くらしとお金の経済メディア
・70歳:5万7320円
・71歳:5万7294円
・72歳:5万7092円
・73歳:5万6945円
・74歳:5万6852円
・75歳:5万6659円
・76歳:5万6453円
・77歳:5万6017円
・78歳:5万5981円
・79歳:5万5652円
80歳代の国民年金
出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成© LIMO | くらしとお金の経済メディア
・80歳:5万5413円
・81歳:5万5283円
・82歳:5万7003円
・83歳:5万6779円
・84歳:5万6605円
・85歳:5万6609円
・86歳:5万6179円
・87歳:5万6020円
・88歳:5万5763円
・89歳:5万5312円
厚生年金の場合、月に14万円から15万円ほど受け取れるため、支出額を抑えて生活すれば年金だけで生活していける可能性はあります。
しかし国民年金の場合は、月に5万円ほどしか受給できないため、年金だけで生活していくには少々難しいとうかがえます。
また、60歳〜64歳までは「繰上げ受給者」に該当し、原則の受給開始年齢よりも年金を早く受け取れるかわりに最大で24%も年金が減額されることから、65歳以降よりも受け取れる年金額が少ないのが特徴的です。
繰上げ受給を選択した場合、減額率は一生涯変わらないため、慎重に検討することをおすすめします。
【全年齢】厚生年金と国民年金の平均受給額はいくらか
では最後に、全年齢の平均受給額を確認していきましょう。
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金と国民年金それぞれの平均受給額は、下記のとおりです。
厚生年金の平均月額
出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」© LIMO | くらしとお金の経済メディア
・男女全体平均月額:14万3973円
・男性平均月額:16万3875円
・女性平均月額:10万4878円
国民年金の平均月額
出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」© LIMO | くらしとお金の経済メディア
・男女全体平均月額:5万6316円
・男性平均月額:5万8798円
・女性平均月額:5万4426円
国民年金は、受給額が一律であることから男女の受給額の差はそこまで大きくありません。
一方で厚生年金の場合は、受給期間や年収によって受給額が変わるため、男女の受給額に差が生じていることがわかります。
受給額に差が大きく生じている背景としては、女性の場合は出産や育児を機に正社員からパートに切り替える人が多いことが要因の1つとして考えられます。
ご自身が将来「厚生年金を受給できるのか」「受給額はどのくらいか」などをしりたい場合は、ねんきん定期便やねんきんネットなどで確認できるため、一度調べてみると良いでしょう。
100%年金だけで生活している人は44%。今一度セカンドライフの見直しを
本記事では、60歳~89歳の「厚生年金・国民年金」平均額を1歳刻みで紹介していきました。
老後に受け取れる実際の受給額をみて「思っていたよりも少ない」と感じた方もいるのではないでしょうか。
実際に、厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」の調べでは、半数以上の人が年金だけで生活できておらず、貯蓄を切り崩したり労働をしたりして生活費を補填しているのが現状です。
「老後は年金でなんとかなる」と考えている方は、今一度ご自身の年金受給額を確認し、年金だけで生活していけるだけの受給額を受け取れるのか事前に把握しておけると良いでしょう。
もし不十分である場合は、今のうちから老後資金の準備をしておくことで、将来の安心材料になり得るでしょう。
参考資料
・厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「年金の繰上げ受給」
・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
・厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」