「年金生活者支援給付金」は数千円しかもらえないって本当ですか? 「月6万円」の年金だけでは生活が苦しく、ほかに支援を受けたいです…
年金生活者支援給付金は、公的年金やそれ以外の収入が一定基準以下の人を支援するための制度です。年金生活者支援給付金が受給できるのは、老齢基礎、障害基礎、遺族基礎の各年金受給者です。受給要件と受給額は以下のようになっています。
・老齢基礎年金受給者の受給要件
65歳以上の老齢基礎年金受給者で、同一世帯の全員が市町村民税非課税でなければいけません。また、収入に関する要件は、「前年の公的年金などの収入とそのほかの所得が87万8900円以下(非課税収入は含まない)」となっています。
・老齢基礎年金受給者の受給額
月額5140円を基準に保険料納付済期間などに応じて、次の2つの計算式で算出した金額の合計額が受給できます。
__(1)「保険料納付済期間に基づく額(月額)=5140円✕保険料納付済期間/被保険者月数480月」
(2)「保険料免除期間に基づく額(月額)=1万1041円✕保険料免除期間/被保険者月数480月」__
保険料納付済期間と保険料免除期間は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認してください。
・障害基礎年金受給者の受給要件
障害基礎年金の受給者で、前年の所得(非課税収入を除く)が472万1000円以下(扶養親族数に応じて増額)でなければいけません。
・障害基礎年金受給者の受給額
障害等級2級が月額5140円、同1級が月額6425円です。
・遺族基礎年金受給者の受給要件
遺族基礎年金の受給者で、前年の所得(非課税収入を除く)が472万1000円以下(扶養親族数に応じて増額)でなければいけません。
・遺族基礎年金受給者の受給額
月額5140円です。ただし、2人以上の子どもが遺族基礎年金を受給している場合は、5140円を子どもの数で割った金額になります。
そのほかの主な公的支援金制度
年金生活者支援給付金の受給額が少ないと感じた場合は、そのほかの公的支援金制度を検討しましょう。主な公的支援金制度には以下のようなものがあります。
・生活福祉資金貸付制度
生活福祉資金貸付制度は、高齢者、低所得者、障害者などの生活を経済面から支援するための制度です。減収や失業などで経済的に生活が困窮している世帯に、社会福祉協議会が生活資金などの貸付や相談・支援を行います。対象になるのは、65歳以上の人が属する高齢世帯、ほかから必要資金が借りられない低所得世帯、障害手帳を持つ人が属する障害者世帯です。
・生活困窮者自立支援制度
生活困窮者自立支援制度は、経済的困窮者に対して包括的な支援を行う制度です。生活困窮者自立支援法に基づいて、各自治体の自立支援相談窓口が対応します。窓口では専門の支援員がほかの専門機関とも連携しながら、お金、住まい、仕事などに関する相談に応じます。
・住居確保給付金
住居確保給付金は、生活困窮者自立支援制度とともに各自治体が取り組んでいる事業です。住居確保給付金では、離職や廃業から2年以内の人などを対象に家賃を支援します。実際の家賃額(生活保護の住宅扶助額が上限)が、原則3ヶ月間(最大9ヶ月間の延長可能)受給できます。
・生活保護
生活保護は、生活困窮者の困窮度合に応じて支援を行う制度です。食費や光熱費を支援する生活扶助のほか、家賃を支援する住宅扶助、医療費を扶助する医療扶助など、計8つの扶助に分かれています。何らかの収入がある場合は、生活扶助基準額(最低生活費)から収入を差し引いた金額が受給できます。
ためらうことなく公的支援金制度を利用しよう
質問にあるように、年金生活者支援給付金の受給額は月数千円の可能性があります。もし、自分の受給額が月数千円で生活が厳しい場合は、そのほかの支援金を検討してください。ただし、そのほかの支援金の受給額によっては、年金生活者支援給付金が受給できなくなる可能性があるため注意が必要です。
いずれにしても、年金が月6万円で生活が苦しいのであれば、ためらうことなく公的支援金制度を利用したり、公的機関などへ相談したりしましょう。
出典
[厚生労働省 年金生活者支援給付金制度について
](https://www.mhlw.go.jp/nenkinkyuufukin/system.html)
[政府広報オンライン 生活にお困りで一時的に資金が必要な方へ「生活福祉資金貸付制度」があります。
](https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201001/3.html)
[厚生労働省 生活保護制度
](https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html)
[厚生労働省 住居確保給付金 制度概要
](https://corona-support.mhlw.go.jp/jukyokakuhokyufukin/index.html)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー