"禁煙"したくてもやめられないと思ったら | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

『無敵の「1日1食」 疲れ知らずで頭が冴える!』
さあ、元気に歳でもとりますか!それに女性は明日の美しさを迎えにいこう。

悩み多きビジネスパーソン。それぞれの悩みに効くビジネス書を、作家・書評家の印南敦史さんに選書していただきます。今回は、禁煙したくてもタバコミュニケーションなどを理由に、なかなかやめられず悩んでいる人のためのビジネス書です。

■今回のお悩み

「禁煙したいが、タバコミュニケーションも断れない」(50歳男性/技能工・運輸・設備関連)
たばこをやめたのは、45歳のときのことでした。

 

ある日なにげなく「たばこ、やめよっかなー」とつぶやいたところ、光のスピードで家のなかに「禁煙令」が敷かれたため、やめないわけにはいかなくなってしまったのです。

 

とはいえ何十年も吸い続けてきたのですから、そうそう簡単にやめられるものでもありません。それどころか、手っ取り早く禁煙ガムでやめようと思ったら、今度は禁煙ガムがやめられなくなってしまったというお粗末。

 

あれはたばこよりも高額(当時)なので、なんだか意味不明な状態になってしまったわけです。

そんなわけで、やめられるまでには紆余曲折があったわけです。

ところでたばこをやめない(やめられない)人は、たとえば「やめる理由がない」というような謎の主張をし、たばこを吸う自分を正当化する傾向にあると思います。 

 

自分がそうだったからよくわかりますし、今回のご質問にある「タバコミュニケーションも断れない」ということもそれにあたるのではないでしょうか。でも考えてみてください。

 

いまや現実問題として、「タバコミュニケーション」など絶滅しつつあるのです。なにせ喫煙者は、どんどん減っているのですから。むしろ、たばこを吸っていると敬遠されることのほうが多いかもしれません。

 

ですからそういう意味でも、スパッとやめることを考えたほうがいいと思います。これは、やめたからこそ断言できることでもあるのですが。

実体験から語るたばこの害

『読むだけで絶対やめられる禁煙セラピー』(アレン・カー 著、阪本章子 訳、KKロングセラーズ)は、たばこをやめたい人のためのバイブルのような扱いを受けている一冊。 僕もたばこをやめたいと思っていたとき、知人から強い勧めを受けて購入し、興味深く読んだ記憶があります。

 

あまりにも強く勧められたこともあって、僕の場合はどこか素直に受け取れることができなかったのですが、いま読み返してみると、著者の主張には大きく共感できるものがあります。そういう意味では、ヒネクレず、素直に受け止めるべき一冊であるといえるかもしれません。

(1)ほとんどの人は喫煙には長所より短所のほうが多いとわかっていながら、タバコになんらかの楽しみを覚え、タバコがなんらかの心の支えになると信じてタバコを吸っています。

 

タバコをやめたら虚無感に襲われるのではないか、人生二度と同じように送れないのではないか、と心配します。しかしこれは幻想です。タバコは我々に何も与えてはくれません。タバコは我々からすべてを奪い取り、そして一部を投げ返し、幻想を作り上げます。(後略)

(2)依存するまでのスピードで言うと、ニコチンは世界で一番強い麻薬であるにもかかわらず、悲惨な依存症にはなりません。体内のニコチンの九九パーセントを排出するのには三週間しかかかりません。

 

また肉体面での禁断症状も非常に弱く、喫煙者のほとんどは症状に気づかないですむぐらいです。(47ページより)

ちなみに著者はかつて、一日に60~100本のたばこを吸っていたというほどのヘビースモーカーだったそうです。しかし、たばこをやめたいま、まったく吸いたくはならないのだといいます。

 

その秘密については実際に読んで確認していただきたいのですが、それはともかく、実体験に根ざしているからこそ本書には強い説得力が備わっているのだともいえそうです。

10年やめればたばこの害をゼロにできる

タイトルからもわかるとおり、『20歳若く見えるために私が実践している100の習慣』(南雲吉則 著、中経出版)は「禁煙本」ではありません。あくまでも、"20歳若く見える"健康状態を維持するために心がけることを紹介しているにすぎないのです。

 

そして、そのなかのひとつに禁煙があるということ。しかし、それは禁煙を"オマケ"のように扱っているという意味ではありません。つまり運動、食事、ストレス解消、ボディケア、睡眠術などと禁煙には、同等の意味があるということ。

 

それらひとつひとつは単体としてあるのではなく、すべてがつながっているというわけです。

 

なお著者はたばこに関し、「たばこは百害あって一利なし」だと断言しています。たばこは血管の内皮細胞を傷つけるため、動脈硬化を起こし、心臓病、脳卒中などの命に関わる病気を起こすリスクを高めるから。

 

また、たばこの煙は気管の粘膜を傷つけるので、がんが発生する原因にもなります。ただ、そういう話は多くの人にとって周知の事実でもあるでしょう。「わかってはいるけれど、やめられないから困っているのだ」という声が聞こえてきそうです。

 

あるいは、「いまさらやめたところで遅すぎる」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、そういうことでもなさそうなのです。

たばこの害というのは、10年やめればゼロにすることができるといわれています。現時点でたばこを長年吸っている人、または1日に何箱も吸う人はすぐにやめましょう。(127ページより)この主張に僕が賛同できるのは、たばこをやめてから12年が経過したいま、また吸いたいとはまったく思わないから。

 

ここまでくるまでには何度も夢に見ましたし、酔った席では「吸っちゃおうかな」などと心が揺らいだこともありました。しかしいまでは、まったくそんなことは思わないのです。そういう意味でも、10年やめればたばこの害をゼロにできるという話には共感できます。

毛細血管の重要性を理解しよう

さて、最後のご紹介したいのは、『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち!』(根来秀行 著、集英社)。世界的な医学博士である著者が、いま、最先端医療において注目を集めているという毛細血管に焦点を当てた書籍です。

 

でも、なぜ毛細血管が重要なのでしょうか? この疑問について、著者は次のように主張しています。動脈、静脈、毛細血管というすべての血管の中で毛細血管が占める割合は「99%」。つまり、全身の血管のほとんどは毛細血管ということです。

体を構成する要素にはすべてに意味があります。

 

毛細血管が全身にくまなく張りめぐらされているということは、生命活動にかかわる大きな役目を与えられているからです。(「授業のはじめに」より)毛細血管は、取り入れた栄養が血となり肉となるために届けられる現場であり、病原菌などの外敵から体を守ってくれる免疫の戦いの場なのだとか。

 

そう考えると、たばことの関係もおのずとイメージできるのではないでしょうか? 毛細血管とたばことの間には、切っても切れない関係があるわけです。

喫煙する人の多くは、心を鎮めるためにタバコを吸うようですが、いうまでもなく、健康にとっていいことは皆無です。

 

喫煙により体内でフリーラジカルがつくられますが、タバコ自体にもフリーラジカルが含まれていて、ダブルパンチで毛細血管を酸化させます。(166ページより)ちなみに先ほど、酔った席で「吸っちゃおうかな」と思ったこともあったと書きましたが、たばこにお酒が加わるとさらに最悪なのだそうです。

問題は、たばこを吸うと肝臓のエネルギー源である血液の量が減り、仕事量が増加すること。そこにアルコールの代謝という仕事が加わると、肝臓はさらに酷使されるというのです。

 

お酒を飲みながらの喫煙によるダメージは、飲まないときの2倍以上に高まるというので、やはり注意が必要であることは間違いなさそうです。

さて、冒頭で僕自身の禁煙体験に触れ、禁煙ガムでやめようと思ったら、今度は禁煙ガムがやめられなくなったと書きました。参考までに、そんな僕がなぜたばこをやめられたのかに触れておこうと思います。 

 

禁煙ガムは値段が高いので、そのまま続ければ経済状態が悪化することは目に見えていました。でも、たばこはやめたい。そこで苦肉の策として試してみたのは、禁煙用ではない、普通のガムを噛むことでした。

すると、(もちろんそれなりの時間はかかりましたが)自分でも意外なくらい簡単にたばこをやめることができたのです。そして、やめることができるといろいろな変化が起きました。

 

体調がよくなったことが最たるものですが、驚いたのは妻から「穏やかになったね」といわれたこと。たしかにたばこを吸っているときは常にたばこのことが頭にありましたから、吸えない時間が続いたりすると無意識のうちにイライラしていたのかもしれません(禁断症状ですね)。でも、それがなくなった。そういう意味でも、やめて本当によかったと思っています。

著者プロフィール : 印南敦史(いんなみ・あつし)
作家、書評家、フリーランスライター、編集者。1962年東京生まれ。音楽ライター、音楽雑誌編集長を経て独立。現在は書評家としても月間50本以上の書評を執筆中。『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)、『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)ほか著書多数。