得意なテーマを一つ持つことに挑戦する「世界探求プロジェクト」の二回目を実施しました。今回は、一回目に参加できなかった子どもたちも加わり、総勢16名のメンバーで探求学習をしています。

 

 

初回から参加しているメンバーたちは一週間の時間を使って、テーマに対する調査と実験を進め、探求の質をぐんと高めています。また、この日が初めてだった生徒たちも一回目の補講と二回目のワークショップを4時間連続で受講し、一気に追い付いてくれました。

 

 

今回のプロジェクトの目的は前回に続き「質問力」の練習です。一回目の投稿でもお伝えしたように「質問力」は子どもの好奇心に大きな影響を与えます。問う力をさらにステップアップさせるために、「テーマの深め方 その2」と「テーマの絞り方」という二つのワークを行いました。

 

 

「テーマの深め方 その2」では、子どもたちが調べてきた内容についてわからないことがあれば、さらに質問を問いかけるという練習をしました。(下記参照。オリンピックをテーマにした例)

 

 

 

例えば、オリンピックが4年に一回開催される理由を調べた結果、「古代ギリシャ人が太陰暦と太陽暦が一致するタイミングを大切にしたことが関係している」とわかったとします。答えがわかったので、これで満足してしまいがちですが、このレベルで学習を止めてしまうと、子どもの好奇心をなかなか伸ばし切れません。なぜなら、「太陰暦」と「太陽暦」の意味を他人に説明できるほど理解していなければ、本当の意味でオリンピックが4年に一回開催される理由がわかったとは言えないからです。

 

 

わからないことがわかるまで根気強く調べ理解する作業は、好奇心の育成に欠かせないため、子どもたちに、わからなかったことに対して問い続けることを「テーマの深め方 その2」で経験してもらいました。

 

 

次に、「テーマの絞り方」では、テーマの「基本情報」と「ドライブQ」(ファシリテーターの造語)の二つを考えました。一般的に、質の高い自由研究は「基本情報」と「ドライブQ」の二つで成り立っています。

 

 

 

「基本情報」とはテーマの自己紹介です。例として、下記にオリンピックの基本情報をまとめました。

・オリンピックの概要

・オリンピックが誕生した時代と場所、およびその歴史の変遷

・オリンピックの目的とそれが設定された時代背景

 

 

研究結果を見る他人は必ずしもそのテーマに対する予備知識があるとは限りません。その知識がない状態で、難しい内容が次々に登場してきたら、せっかく価値がある研究だったとしてもその面白さや感動は伝わりません。特に今回のプロジェクトでは、機械音声、偽札の識別技術、イスラム国、ニュートリノなどなど、高度なテーマを選んでいるメンバーもいますので、他者に理解してもらえるようにしっかり基本情報を調べて、まとめていく必要があります。

 

 

その後の「ドライブQ」のワークでは、自分たちのテーマを面白くする究極の質問を考えてもらいました。「ドライブQ」の語源は英語の「Driving Question」であり、日本語では「駆り立てる質問」とか「その気にさせる質問」という意味があります。探求をする子ども本人がどうしても答えが知りたくなるほどの魅力を持つ質問であり、これが入っているのとないのでは自由研究の質にかなりの差が出ます。

 

 

例えば、下記の質問はオリンピックの「ドライブQ」に値するものです。

・古代オリンピックと近代オリンピックは何が違うか?

・オリンピックが世界に貢献したことは何か?

・オリンピックの開催都市に選ばれるためには?

 

 

「オリンピックはどこで生まれたか?」という基本情報レベルの質問と違い、上記の質問はどれも簡単には答えられないものばかりです。しかし、それらの研究結果は大人である私たちも知りたいと思うほど面白いのではないでしょうか。

 

 

「基本情報」のほとんどはインターネットで答えが調べられるため、そのレベルのものがメインテーマとなってしまうと、なかなか面白みや価値がある研究につながりません。そもそも大学や企業で研究を行う目的は、人類の未知の領域を明らかにすることが目的ですので、その練習となる自由研究でもぜひ他人が知らなかったり、インターネットでは探せなかったりする内容を子どもたちに考えてほしいですね。