キーボーディスト、としての誇り2 | KeyboardだってROCKだぜ

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引き際を見誤った、金髪ロックキーボーディストのよもやま話。

新進気鋭の若手キーボーディストの話へのたくさんの賛同共感頂き、ありがとうございます。反響の大きさに驚くとともに、同じような思いをされてきた方がたくさんいらっしゃったということを知ることができました。

さて昨日のブログで『同じような経験』と書きましたが、そんな中の話をひとつ。

20代なかばの頃、あるバンドのサポートを務めていた時のこと。メンバー全員がそれぞれ『元〇〇』という肩書きを持っている中で、自分だけが駆け出しという身分でしたが、前任サポートキーボーディストが別のバンドの正式メンバーとして加入、縁あって後任に抜擢されたという参加の経緯がありました。
バンドは既に事務所に所属し、メジャーデビューに向けてのショウケースライブやプリプロ(※レコーディングに向けての楽曲制作・アレンジ、デモ録音など)作業中という段階でした。時代が時代なので、プリプロに際してはレコーディングスタジオをロックアウト(1日貸切)という、現代と比較するとかなり贅沢な環境でした。

さてレーベルも決まり、いよいよ本チャンのレコーディングというところで、俺ではない別のキーボーディストの方が呼ばれることになりました。ですが全曲ではなく何曲かは俺も弾くことになるということで、レコーディング作業中は常にスタジオに詰めることに。
自分がライブやプリプロで担ってきたパートを、別のプレイヤーの手でレコーディングされていく場面を目の前で見せられる…これかなり屈辱でした。まだ若かったこともあって、プライドはズタズタです(^^;

ある曲のレコーディングでは、指定のフレーズがあったために説明差し上げなければならず、口頭で説明していたところ『いや、ちょっと弾いてみてください!』と楽器の前から立ち上がられて、かわりにそこに座って…(※ちなみに現在でも一線で活躍されていて、当時も結構名の知れていた方です)。緊張と動揺と屈辱感がごちゃ混ぜになったよくわからない感情になったのを今でも覚えてます。その後も度々そういう場面はありましたが。
そうやってプロの厳しさを身を持って体験したおかげで今がある、と現在は回想できますが、当時はとにかく悔しくて、1日の作業終了後にその日のラフミックス(とりあえず聴ける程度の状態に各楽器の音量バランスなどを整えたもの)を持ち帰り、明け方まで繰り返し自宅で弾くような毎日でした。もしかしたら、この頃が一番練習した時期だったかも知れません。絶対上手くなってやる!と思ってましたもの。


ところでたまたま昨年、このキーボーディスト氏と偶然に再会し、この話をしたところ…
全く覚えていらっしゃいませんでした!
まあ、そんなもんですね(笑)