今日は魔女の日。フーフー! | 前世が出てきてコンニチハ

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ひょんなことから知った自分の前世との、怪しき格闘記。

本日は復活祭前の木曜日、スウェーデンではskärtorsdag(フェートーシュダーグ)と呼ばれる、何やら特別な木曜日だそうです。
正式は復活祭の連休は明日から来週の月曜までですが、既に今日から世間はお休みモード。保育園でもほとんどの子供たちがお休みしています。

さてこのフェートーシュダーグですが、子供たちがpåskkärring(ポースクシェーリング。訳せば復活祭ババァ)という魔女に扮して、近所の家にお菓子をもらいに行く習慣があります。我が家でも小さなババァたちが来た時のためのお菓子を用意してあります。

復活祭ババァは、ほっかむりに前掛け、おてもやんののようなほっぺに、昔風のコーヒーポットを手に持ってと、なかなか間抜けな服装です。


$セイウチのワクワク部屋 ~扉の向こう側は...~


画像は、スウェーデン語版ウィキペディアの復活際ババァのページから、勝手に拝借。すいやせん。

ウィキペディアによると、復活祭ババァは、1600年代の魔女たちに起源があるようで、キリスト教とは関係ない感じです。
フェトーシュダーグの日に魔女たちが箒に乗って、青い丘(Blåkulla)と呼ばれる所に悪魔に会いに行った日とされているようです。

しかもその行き方が素晴らしい。
何と壁に魔法で穴を開け、そこが青い丘への入り口になったそうな。
すっかりハリーポッターの世界ですね。
というより、ハリーポッターはこうしたヨーロッパの伝統を背景に作られた物語なのですね。

因みにスウェーデンでは、1660年から70年にかけて魔女が最も処刑されていたそうです。
くわばら、くわばら。

娘のアザラシや息子のアシカも、

「ポコスポコス フィリオコス」
「アブラカタブラ シンサラ ピーン!」
などとよく魔法使いごっこをやっていますが、スウェーデンでの魔女狩りや差別は既に歴史と化しているはずの現代でも、魔女というものはネガティブに捉えられているようです。

何年か前、宮崎駿監督の映画、「魔女の宅急便」がスウェーデンで劇場公開されたのですが、その時にスウェーデン語字幕のアシスタントをやらせていただきました。

「魔女の宅急便」の中のセリフで、何かのお婆さん(誰だか忘れちゃったよ)が、主役の魔女キキに向かって、

「あら、可愛い魔女さん」

というようなことを言ったのですが、実際にスウェーデン語の字幕を付けたスウェーデン人の翻訳家さんに、

「そんな台詞はおかしい。魔女が可愛いなんて有り得ない」

と速攻で言われてしまいました。

「だけど実際にそう日本語で言っているんです」
「そうは言ってもスウェーデン人には魔女が可愛いなんて受け入れられないから、可愛いという単語は使えない」
「キキは実際に可愛いですが、、、、、」
「でも駄目。参ったな」

文句は宮崎監督に言ってくれいっ。
日本人だったらこのセリフにここまで拒絶反応する人って、ほぼ皆無だと思います。

翻訳氏曰く、スウェーデンでは魔女は絶対にネガティブで醜くて悪い奴なのだそうな。
魔女に対する文化の差を、しみじみと思い知らせれた出来事であります。

「魔法使いサリー」や、
「魔女っ子メグ」なんかも翻訳が大変なのか?

うちにスウェーデン語字幕付きの「魔女の宅急便」が無いからはっきりとは覚えていないのですが、翻訳氏の苦肉の策として、

「可愛い魔女さん」
を、「小さな魔女」
に変えて、スウェーデン人向けに妥協案を取ったような記憶がうっすらあります。

翻訳はただある言語を他の言語に訳せば良いというわけではなく、訳される言語の文化背景を考慮しなければならないので、かなり大変な作業です。
プロの翻訳家の皆さん、お疲れ様っ!

復活祭ババァだって、ババァ(kärring)というネガティブな単語が使われています。
他にも例えばdam(ご婦人)や、tante(オバチャン)のようなマシな単語の選択肢はあるはずなんです。
なのにあえてババァですからね。ババァだ、ババァ。
何もそこまで嫌わなくてもと思うのは、私が魔女狩りの文化背景を持たない日本人だからなのかも知れません。

日本人にはやっぱり復活祭ババァより、あみだババァだねぇ。