鋏:裁ち鋏の庄三郎を研ぐ | 勢州たぬき工房の木工したり直したり

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こんばんは。たぬきです。 

東京で入手したシリーズ?を進めましょう。


今回は裁ち鋏で有名な庄三郎。

写真中央にある裁ち鋏の内、右側の鋏になります。


かなりサビが出ている状態で1000円でした。現在新品で買うと8000円強みたい。
まずはサビを落とします。研磨剤入のサビ取ゴムに研磨剤を振りかけて擦ります。
右がサビ取り後。これ位の作業でもサッパリするものです。

その後、表から研いで切り試し。
ところが切れません。考えられる原因は2つ。
1つは、全体に裏が垂れている事。表から研いで刃先を作っても、刃先同士が離れているので切れません。

もう1つは、反りが狂っている様です。
直線定規を当ててみたり、平面の出た砥石で表を研いでいる内に見えてきました。
写真矢印の所が手前に曲がっています。
それで切っ先付近が切れなかったのか。

反りの狂いは、金床と真鍮ハンマーで叩いて直します。

次に、垂れた裏を直します。
出来れば触りたくなかった裏を研ぎます。
裏を研ぎ減らして刃先同士が当たるようにします。(厳密には刃先同士が噛込まない様、わずかに離れてる)
鋏には反りがありますから、平面の砥石では研げません。そこで小割を使って研ぎます。写真は今回使った研承頂3000の小割です。

小割を指先で擦って研ぎます。
その後、表を同じ小割で撫でて仕上げます。 

反りを直すときに付いた、叩き傷が付いてます。これを取りましょう。

平ヤスリで削って形を作ります。次にダイヤモンドヤスリで目の方向をそろえ、最後にペーパーで目を通します。するとここまで目立たなくなります。

完成しました。

ティッシュを切ってみます。
きれたー。動画で見ると力強くパッチンパッチン切ってるように聞こえますが、実際には軽い力でシャクシャク切ってますよ。
これで無事復活しました。
裏の研ぎを失敗して壊さなくて良かった。安堵です。

と言った所で、今日はここまでです。
以上、たぬきでした。ではでは。