精神科受診患者が増えすぎていることと、患者からの暴言暴力不機嫌な言動などが増えているせいで、必要な疾病教育や心理教育、服薬指導という治療はほとんど行われなくなりました。但し、カルテ上には「行っていない」とは書けないため、「行った」と書いているでしょう。これまでも、何故必要な説明を行わないのか、何度か医師に質問してまわりましたが、
説明したところで、患者は文句を言ったり、怒りだしたりするんで、面倒くさいんです。それに説明しても理解できないでしょ。
という回答が圧倒的に多かった。医師がこのような心理状態になっていることは看過できません。医療の根本であるところの「医師患者関係」が成立しなくなるからです。すると両者が不利益を被ることになります。特に患者の場合は、病気の治療がうまくいかず、症状が長引いたり、治療をしているのにどんどん悪くなる、といった事態になります。
残虐な方法で医師が殺害されるという事件が続いていますが、これほど深刻な事態に至るには長い布石となる時期がありました。それが今説明しているようなことです。この時期に適切な対処をしなかったから、医師患者関係がどんどん悪くなり、お盆や年末年始の高速道路のような大渋滞が精神科医療現場でおこっているのです。
一時、企業を悩ませたクレーマーという存在が、今では病院を襲うようになりました。患者の態度の悪さを理由に、外来診療を、そして精神科医自体を辞めてしまう先生もちらほら出始めています。理解の悪さは医者が繰り返し説明すればどうにかなるにしても、態度の悪さは、流石に医者がどうにかできる問題ではないという理屈です。
感情や衝動の制御ができず、人間関係に支障を来す人が増え続ける今、受診した病院やクリニックでも感情を爆発させ、暴言を吐きまくったり、泣き喚いて自分の要求を通そうとする患者に、寛容に対応する余力が医者にも病院にもなくなり、即座にセキュリティを発動させ警察に通報するという方法を採る病院が増えています。