新政権が発足して

秋の除目で公卿が

春の除目で国司や官人が

任官されます

 

 

除目というのは

任官されると

されないでは

天国と地獄ほどにも

差がありましたので

 

どこの家でも

悲喜交々

 

受領階級であった

清少納言の家でも

色んな光景が

見られたのでしょうね

 

主人が

除目に外れると

 

集まった人たちが

ひとり去り

ふたり去りして

元の侘しさに戻る

という

あの物悲しさは

 

なんともいえず

悲哀に満ちています

 

そのくだりを

思い起こしただけで

胃が痛くなります

 

こういうことを

描かせると

 

ほんとうに

筆が冴える

というか

 

清少納言は

見たものを

活写する能力に

長けていて

 

枕草子は

読んでいて

全く飽きません

 

 

 

さて

春の除目に向けて

為時も申し文を

認めておりましたね

 

このあと

淡路守に

任官されるのですが

 

それを託つて

為時が書いた詩が

一条天皇の心を動かし

 

越前守への

抜擢という

栄誉を賜ることに

繋がっていきます

 

 

 

 

 

 

なんと

まひろさんったら

ウイカ納言に連れられて

参内なさって

いましたね

 

登華殿に

参上して

おりましたが

 

どうなんでしょね

 

猫でさえ

殿上するために

五位をいただいて

命婦のおとど

という名を

貰って

いませんでした?

 

まあもっとも

清涼殿に

参上するわけじゃないから

いいのかもしれませんけど

 

 

 

お父ちゃんの

為時でさえ

あの時点では

未だ

正六位上なんですよね

 

なぜにどうして

まひろ風情が

登華殿へ?

 

というわけで

 

あれは

夢のまた夢

あり得ない話

じゃないかしらねぇ

 

 

 

ですが

 

私としては

正直

 

いつかどこかの

タイミングで

 

是非とも

まひろさんには

 

宮中へ

潜入してもらいたかった

のです

 

なぜなら

「源氏物語」は

彼女が出仕する前に

書き始めたと

言われているから

 

いったい全体

どうやって

見も知らぬ宮中の

しかも

後宮のありようを

「源氏物語」で

描けたのだろうか?

 

ということを

ずっとずっと

疑問に思っていたから

なのです

 

源氏物語に登場する

数々のシーンを

どうやって

描くことができたのか

という疑問を

払拭するには

 

行って

見る

 

これ以上の説得力は

ありませんからね

 

 

現代のように

週刊誌もあれば

ワイドショーもある

時代であったとしても

 

天皇や

皇后や親王方の

プライベート空間は

垣間見ることすら

できないわけです

 

ましてや

平安時代のこと

今よりもずっと

情報量は少ない

 

想像はしたとして

なんとなく

描けたとしても

 

それが

荒唐無稽なものに

なる確率の方が

絶対的に大きい

 

いかに

和漢の書籍が

ふんだんに

読めたとしても

 

そこに

書かれているものは

所詮

断片に過ぎません

 

やはり

見た者でなければ

書けないことって

たくさんあるだろうと

思うのですよ

 

だからこそ

 

源氏物語の作者が

紫式部というのは

違うのではないか

 

という

疑問が生まれてくるのも

当然といえば当然なのです

 

 

後宮のありさまを

見聞しようとしても

 

やはり

五位以上の

貴族でなければ

難しいはず

 

宮仕えに出ている

女房たちであれば

宮中を

垣間見られるかも

しれませんが

 

それでも

后妃に仕える女房

もしくは

内裏女房でないと

難しいのでは?

 

と思うのです

 

宮仕えに

出たこともない

帝や后妃に仕えた

わけでもない

 

あの

前式部丞蔵人

為時が女は

 

どうやって

後宮のありようを

知り得るの??

 

これは

今でも私が

疑問に思っていることの

ひとつです

 

 

まあね

蔵人は六位でも

天皇に近侍できますから

為時は宮中の様子に

詳しいとは思います

 

ですが

父親が娘に

細かく伝えることが

可能かどうか

 

普通は

ちょっと

難しいかもしれません

 

ただ

このお父ちゃんも

只者ではないと

思われ

 

この人もまた

記憶力抜群だったのかも

しれないので

 

紫式部が

情報ソースとして

父親を活用している

というのは

あり得ますね

 

 

 

 

 

【光る君へ】第19回「放たれた矢」回想 

白楽天「隠れた才能に活躍の場を」の教えを

一条天皇に伝えたまひろ 

彰子に仕える未来への布石か

 

ドラマだから

分厚い身分の壁を

ひょいひょい

越えていける行けるのは

便利ですわね

 

(褒めていません)

 

でも

実際には

容易に越えられません

 

ましてや

帝に謁見するとか

意見を求められるとか

 

あんなことが

ほんとうにあったと

中高生が

誤解しないよう

祈るような気持ちです

 

このドラマは

日本史を学ぶ人に

是非とも

観てもらいたいけれど

 

ドラマ側の

逸脱が過ぎると

有害かも?

と思います

 

歴史や古典を

教えていらっしゃる

先生方は、今、

頭を抱えておられるやも

しれませんね

 

 

 

しかし

それにしても

詮子が道長に

言ってましたね

 

「この人に官職を」

とかなんとか

 

やってることが

道隆と

そう違わない

のでは?

 

 

 

でも、あれね

女院ともなれば

推薦枠がいくらか

あるんですよ

 

なのでみんな

猟官活動に

勤しむのです

 

もちろん

タダっていうわけには

いきませんよ

 

そういうふうに

富めるものは

財を使って

次の官職を

おねだりして

 

次の官職を得たら

そこでしこたま

稼いで

それをまた

次の猟官活動に

つぎ込むんです

 

 

 

果たして

為時が

そういう才覚を

発揮できるん

でしょうか?

 

とりあえず

越前は大国ですが

善政など施いた日には

儲かりまへんな

 

あちゃ〜〜

 

でもみなさん

心配ご無用

 

まひろさんの

お嬢さんの

結婚相手は

大宰大弐に

なるんですが

 

欲の大弐

というあだ名で

呼ばれたくらい

貪欲だったそうです

 

二代先へ

乞うご期待!

 

びっくりびっくりびっくりびっくりびっくりびっくりびっくり

 

 

 

 

 

 

ところで

日本にも

科挙のような

制度があればと

夢を語った

まひろさんですが

 

それは

危険思想

です

 

有能な

菅原道真

出現し

 

宇多天皇に重用され

 

醍醐天皇の御代には

右大臣にまで昇り

 

藤原氏の政権を

揺るがしかけたことは

 

皆、未だ

記憶に

新しいのですよ

 

あんな恐ろしい事態が

再来するようなこと

 

藤原氏が

許すはずありません

 

あなただって

知らないはずも

ないでしょう

 

 

それに

 

能力あるものを

登用せよ

 

と言ったって

一朝一夕に

どうにもなりません

 

一応、

大学寮があって

文章生の制度は

あるんですから

その制度を

活用すればいいだけでは?

 

思いますけどもね

 

惟規だって

大学寮に

入ったじゃありませんか

 

 

ただまあ

その頃には

大学寮が

うまく機能して

いなかった

のでしょうね

 

でも

道長の時代に

整備されたとか

改善されたとかも

聞いてませんけど

 

あのシーンの

真意が

掴めませんね

 

 

 

 

 

 

それに

まひろさんが

宣孝から聞いて

科挙制度を

昨日今日

知ったというのは

 

無理筋です

 

 

科挙制度は

隋の時代からあって

 

日本の奈良時代には

阿倍仲麻呂という人が

唯一ですが

唐で

科挙に合格した

という

実績もあります

 

阿部仲麻呂は

 

「天の原 ふりさけみれば 

春日なる 三笠の山に 

出でし月かも」

 

という和歌も

残しています

 

日本に帰りたいが

帰れないまま

唐で客死しました

 

 

 

遣隋使・遣唐使

もありましたし

日本の官人が

科挙制度を知らないなど

あり得ないと思います

 

お父ちゃんから

教えてもらって

いないはずがない

 

何よりも

まひろさんが

最も得意とするのは

漢文のはず

 

彼女が読んだ漢籍に

科挙のことが

何も

書かれていなかったとは

思い難い

 

これはもう

ものすごい

違和感しかありません

 

紫式部さんに

失礼なのでは?

 

 

隋や唐の時代に

あった

科挙の制度は

宋の時代になっても

機能しているのですね

 

という

セリフででも

あったならば

まだしも

腑に落ちるというもの

 

残念至極なり