-植物の智恵-
(柿の隔年結実の不思議)
昔、私が少年時代を過ごした家には柿の木(渋柿)があり、毎年その実を採るのが楽しみでした。
枝が折れて落ちたこともありました。
(柿の木は脆いのです)
その頃のなごりでしょうか。
秋、たくさんの実をつけている柿の木を見ると、
他人の家の庭にも拘わらず、羨ましくなります。
柿に限らず、生り物(なりもの)の木があるというだけで、なぜか心がわくわくします。
この柿の木は、或る年たくさんの実をつけると、その翌年はあまり実をつけないという“生り年(なりどし)”と“不生り年”を繰り返します。
生り年の柿の木が秋の深まりと共に全ての葉を落とし、大きな実だけを枝もたわわにつけている様は壮観ですらあります。
しかしその翌年は、見る影もなく侘びしくなります。
この隔年結実には、じつは柿の木が生き残り、繁栄するためのしたたかな戦略が隠されています。
-この項、続く-
by 耳順