私のお気に入りのSF作家、伊藤計劃の作品。
2007年のデビューしたものの、2009年に病気のためになくなってしまった作家。類い稀なる才能があり、近未来的な物語はとても独創的、かつ哲学的な一面もあります。
その伊藤計劃が第3弾の長編小説として、書き始めたものの、没し未完のままであったこの作品。
その未完「屍者の帝国」をなくなった伊藤計劃に代わって、書き上げたのが円城塔。
以前、当ブログでも円城塔の作品をご紹介しましたが、ちょっと私の読解力では難解な文章を書く方でした。
今までの作品は近未来を舞台にしたものが多かったのですが、今回は19世紀が舞台となっています。
フランケンシュタインより着想を得ており、死者を電気刺激によって蘇らせることができるという設定。その蘇った死者は自我、魂を持たず”屍者”と呼ばれる。
屍者は労働や兵士として使われ、元となる死体の入手が困難となってしまうほど、世界に普及しているなか、アフガニスタンの奥地にて屍者の帝国を作ろうとしている人物が現れ、イギリスの諜報機関に属する主人公が調査へと向かうというところから物語は始まります。
完読しての感想は一言、残念。
伊藤計劃の書きかけていたところは今までの「虐殺器官」「ハーモニー」に通じる、読んでいてワクワクするわかりやすさがあったのだが、終盤へと進むに従って円城塔の分かりづらい文章(私の読解力の問題)が際立ち始めて、なんだかすっきりしない結末でした。
伊藤計劃より、むしろ円城塔が好きな方におすすめの作品でした。
そういえば、来年、伊藤計劃の作品のいくつかがアニメ化されるようですね。
この作品も入っており、表紙が2枚になっていました。
店頭で見かけるときはこちらの表紙かもしれません。
にほんブログ村
アンチエイジング ブログランキングへ