昨今の嫌韓や朝日新聞叩きをテーマとした本は恣意的な誘導があるため、あまり好きではありません。
朝日新聞叩きで訂正された吉田証言によって、再度話題に上がるようになった従軍慰安婦問題について、自分なりにちょっと考えてみようとこの本を選んでみました。
朝日新聞vs.文藝春秋となっていますが、出版しているのが文藝春秋なので、ある程度の偏りは仕方なさそうですね。
いつも楽しませて頂いている「日本人へ」のシリーズの塩野七生を始め、たくさんの知識者がどのような意見を述べているのかと興味を惹きます。
本書のために各自にインタビューを行ったというものではなく、過去の「文藝春秋」に掲載された記事を再掲しているというもののようです。
そういった意味ではその時代ではどのように捉えられていたのか、どういったところが問題視されていたのかということが再確認できます。また河野談話の舞台裏と題された章では河野談話に至るまでの韓国側との交渉が述べられており、外交の難しさを感じますね。
日本は全く悪くない、従軍慰安婦はいなかった、アジアの開放のための戦争だったなどという論調のトンデモ本がたまにはありますが、そのような低俗なレベルではなく、従軍慰安婦問題の複雑さ、問題の本質に対して、一考させられる良本でした。
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