
今回は本の写真を撮る前に友人にあげてしまったので、ネットから表紙を探してきました。
実は本書を購入したのは1年ほど前。
ずっと医局の本棚で寝かせられてました・・・・
そろそろ終戦記念日を迎えるということもあり、やっと読みました。
今から69年前、終戦を迎えた後の1945年8月19日。
終戦を迎えたのにも関わらず、ソ連が侵攻を続ける満州。武装解除せずに一矢報いようと関東軍の十一機の戦闘機が舞い上がる。
その中に白いワンピース姿に黒髪をなびかせた女性を乗せて特攻に向かった一機があった。
著者はこの話を聞かされたが、最初は取材をして執筆するつもりはなかったと。しかし、終戦を迎えたのにも関わらず、夫婦で特攻したという話が忘れられず、取材を始めたとのことです。
昨年映画化され、話題となった「永遠の0」に似ている本書。
ただし、大きな違いは本当あった話であるということ。
妻と飛んだ特攻兵とは谷藤徹夫少尉(22歳)。その妻、朝子(24歳)。
終戦後で命令によって行われた特攻ではないため、自爆行為だと蔑まれ、女性を乗せるという軍紀違反で非難されることもあったため、知られることもなく、忘れられつつあった出来事。
当時を知る生存者の多くはもうすでに鬼籍に入られており、残された親族への取材や遺品などを元に二年半に及ぶ歳月を費やし、本書は完成したそうです。
当時の時代背景というものがこの出来事に大きく影響したのは確かであり、それをきちんと知ることがなぜ夫婦で特攻したのかという謎を類推する手がかりとなります。
そのため、本書の半分以上は太平洋戦争の歴史解説に割かれており、歴史に詳しくない方でも通読することが可能です。
満州事変から終戦までの15年戦争史として的確にまとめられているので、それだけでも一読の価値があります。
葛根廟事件などソ連軍、中国人暴民によって行われた虐殺が夫婦での特攻へと駆り立てたのだと記述されておりますが、そのような出来事があったとは知っていなかったので、その凄惨な事件をあったと思うと心が痛みます。
もう終戦を迎え、戦う必要なんてなく、せっかくこれから夫婦で幸せに生きていけるのに特攻するなんて馬鹿なことをしたんだろうと思いますが、戦争、時代背景、置かれた状況というものを考えるといたしなかったのかもしれません。
出征直前に結婚したため、夫婦として共に生活したのは最後の満州での一ヶ月間のみ。妻、朝子は朝の見送りでは投げキッスするなど仲の良い二人だったそうです。時代が違えば、幸せな家庭を築いていたのだろうと考えると悲痛な思いになります。
ちょうど今日は長崎へ原爆の投下がされた日。
この時期にだからこそ戦争を知らない世代である私にとっても、こういった本を読むのもいと思います。
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