前回までの復習
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一般的に模擬試験を受ける目的
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模擬試験を受ける目的には次の5つがあります。
1.現在の実力を知る
2.弱点分野を知る
3.成績の推移の傾向を知る
4.試験慣れをする
5.質の良い問題を手に入れる
つまり、これらの目的で模擬試験を受けてはじめて
「模擬試験を活用した」
ということになります。
今回は、その3として、
「成績の推移の傾向を知る」
ということでやっていきます。
私が以前に勤めていた会社の社長が言っていた言葉
に以下のような言葉がありました。
「今の売上も大切だけれど、それよりも
売上の<傾向>だよ。売上が上向きか、下向きか
の方がもっと大切だ。」
と。実は、会社でもそうですが、それは、受験生でも
同じです。今回は、模試を数回受けている人のための
お話です。
模試は1度の結果だけではわかりません。
というのも、1度の模試では
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偏差値で上下+3、-3の誤差
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が生じるからです。それは、
<自分の得意分野・不得意分野の出題>
と
<受験者数の変動>
によります。ですから、少なくとも模試では、同じ会社
の同じ種類の模試を3回以上受けてみないとわかりません。
そして、何度か模試を受けながら知っておくべきことが、
その
<傾向>
です。毎回の偏差値の内容と、それと偏差値が上昇
しているのか、下降しているのかです。
以下は実際に大手塾で起こった例です。ある大手塾に同
じ高校を希望する
A君
B君
という2人の生徒がいました。2人は最終的に志望校は同じでした。
<A君>
第一志望は、K高校(偏差値 57)。しかし、成績を見
て志望校をI高校に変更(偏差値 55)。さらに、安全
対策として、N高校(偏差値 52)を受験。
<B君>
第一志望は、N高校(偏差値 52)。しかし、最初の偏
差値は43で志望高との差は、偏差値で、9。
というところでした。
そして、2人の成績の推移は以下の通りです。
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<A君、B君の偏差値推移>
1回 2回 3回 4回 5回 6回
A君 51 57 55 54 52 50
B君 43 44 45 47 49 50
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<A君平均偏差値は 53.1>
<B君平均偏差値は 46.3>
平均偏差値だけを見ると
<A君の偏差値が高い>
ですがそれよりも大切なのが
実際に
<合格する確率が高いのは、B君>
何です。というのは、これをグラフの表してみると
よくわかりますが、
A君は、2回目が頑張って偏差値57
をたたき出していますが、この後は、完全に
<成績は下降気味>
です。このタイプの生徒さんが一番怖いです。
実際に本番の入試では、
合格 B君
不合格 A君
というものでした。また、私の塾でも同様の経験をした
K君がいました。K君は、もともと真面目でしたが、
中3になり生活が荒れてしまい、大きく成績を下げた
生徒です。最初は
<偏差値50>
でしたが、志望校もそれにあわせたところを選択していました。しかし、
成績が下がる一方なので、さらに、志望高を下げると、またまた、偏差
値が下がる。さらに、安全策をとって、志望高を下げると偏差値が下が
る。
つまり、
偏差値が下がる→志望高を下げる
また、偏差値が下がる→志望高を下げる
さらに偏差値が下がる→志望高を下げる
という<悪魔のスパイラル>に陥ってしまったのです。そして、合格したの
が
偏差値 38
のところでした。つまり、
<下降気味の成績は、入試当日、実際の模試よりも低い実力しか
出せないことが多い>
とのです。実際に塾でも、3月に公立高校を受験する場合は、
1年間も模試の平均よりも、直近の3ヶ月の模試の結果が重要視されます。
(実は、これは銀行に提出する経営計画でも、直近の3ヶ月の売上傾向
は大切です)
模擬試験では、常に最低でも3回は受験して、受験生の成績の傾向
を把握して下さい。
そして、この事実からわかること、それは、受験生にとって大切なこ
とは、
「試験の3ヶ月前から直前まで全力を出し切る。」
ということです。実際に、私と、私の隣の席のNとでは、センター入試
の1か月前の努力で、
60点
も差がつきましたから・・・・・