■そして、私に回ってきた
結局、繋ぎとして代わりに別の女性の先生が家庭教師として
行くことになりました。
夏休みの間は、その先生が週2回各2時間ずつです。
ご家庭の要望があれば、時間を追加してもOKということでした。
先生もやさしい感じで、特に悪い感じではなかったのですが・・・・。
8月になり、夏休みももう終ろうとしたとき、
川田さんの家からまた電話がかかってきました。
川田さん「堀さん。ちょっとお話したい事があるのですが、
ちょっと来てもらえませんか?」
先ほども書きましたが、こういう場合は、もちろんクレームです(笑)
しかし、今回は私の事情も変わっていました。
実は私は、当時いた派遣会社を既に辞めていたのです。
私は、自分自身で塾を開業する準備を進めていたので、
本格的に準備をしようと思ってそれに専念するつもりでした。
ですから、本当のことを言えば、
川田さんのお宅にお伺いする理由もなかったのですが、
私がはじめて見つけてきたお客様ということで愛着があり、
再度お伺いすることになりました。
私 「川田さんどうされました。また、先生に問題がありましたか。」
川田さん「いや。実は、今の先生は悪くはないんだけれど、優しすぎるので、
ちょっと子供には合わないと思うんですよ。」
私 「そうですか。それでは、会社に言って先生を交代してもらってはどうですか?」
川田さん「はい。それも考えたんですよ。
でも、交代して来た新しい先生がうちの隼人と合えばいいのですが、
合わなかったらまた、交代したりして、また、探してもらって
時間ばかりが過ぎていく。それならば、うちのことをよく知っていて、
経験が豊富な堀さんにお願いしたらと家内とも話をしたんですよ。」
私 「私がですか・・・。」
川田さん「はい。」
私 「ですが、私は会社を辞めていますからね。」
川田さん「もう会社を辞めたあなたにはこんなことをお願いするのもあれなんですが、
どうかよろしくお願いします。」
(といって、ご夫婦ともども頭を深深と頭を下げる。)
(仕方なく)
私 「はい。ですが家内とも相談しないといけないので、
2、3日中にはご連絡させていただきます。」
川田さん「はい。よろしくお願いします。」
■そして、戦いが始まった■
家に帰って家内と相談すると、「好きにすればいい。」ということでした。
これで、家庭的には問題はなかったのですが、私には一抹の不安がありました。
それは、
・相手のご家庭の希望が大きすぎる。
・キーマンのお父さんが勉強についてあまり知らない
ということでした。別の「タイプ別ご父兄」でも書きましたが、
私の経験上、「クレーム」の多い家庭は、決まって、
・ご父兄自身が勉強について知らない
・塾・家庭教師に対する過大評価がある
・子供の能力に対する過信がある
という特徴が多いのです。私は「大丈夫かな」と思いましたが、
乗りかかった船ということで、結局は、引きうけることになりました。
時給はなぜだか、
1時間2100円(安すぎる!学生の家庭教師並)
でした。当時は私もあまり、お金には無頓着だった
(というより、この生徒を通す事しか頭になかったので、考えていなかったです。
これも失敗でしたが・・・・苦笑)
のでそれで、決定ということでお請けすることにしました。
そして、いよいよ「家庭教師」がスタートしたのでした。
ここでは、スタートが非常に肝心なのです。なぜか?
これは、「先生」という職業は、まず相手から「先生」と言ってもらうには
「信頼」
されることが大切ということが大きいのです。
1度信頼されると多少のミスをしても許されるのですが、
「信頼」されるまでは全力で「信頼」を勝ち得ないとだめなのです。
特に、「クレーム」の多いところは、
一旦信頼を得ると長く続くので余計にそうなのです。
信頼とはつまり、
「信頼」=「結果」
なのです。最初の頃は、生徒も、親御さんも
「この人で大丈夫かな。この人のいう通りやって成果が上がるのかな?」
と疑いの目を持って取り組んでいます。それで、結果が出ると、
(結果は「成績」ということもありますが、
生徒が「わかるようになった」ということでもいいです。
ただ、急ぐ場合には。「成績」で出さないと信頼を得られません。)
「ああ、先生で良かった。」
と安心してもらうのです。ですが、こういった短期でしかも、
うるさ型のご家庭は、ここからが本当の大変さが始まるのです。
そして、ここから大変なことがはじまるのです。