村木さん無罪で捜査手法は変わるべき | ニュースな話題

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証拠改竄で主任検事が逮捕! 「村木裁判」で露呈した特捜部捜査「終わりの始まり」

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1228


(以下、記事抜粋(強調文字、下線を引いたのは引用した私です。

…供述者が公判廷で検察官調書と相反する供述をしたとき、検察官調書での供述が「特に信用すべき状況」で行われた(特信性あり)と認められる場合には、検察官調書を証拠とすることができる。

従来は、この「特に信用すべき状況」が非常に緩やかに解釈されてきた。検察官が取調べを行い、調書の内容を読み聞かせたうえで供述者が署名している、ということだけで、ほとんどの場合に「特に信用すべき状況」が認められてきた。

 ところが、大阪地裁は、証拠決定で、特信性について従来とは異なった判断枠組みを示したのである。…


…「人間の供述というものが、認識、記憶、表現の3段階で誤りが混入する可能性があり、また、供述内容の具体性、迫真性というものは後で作り出すことも可能である以上、客観的な証拠による裏付けのない供述については、供述自体の信用性判断は慎重になされるべきであり、各々の供述に、いろいろな評価や見方を踏まえても、客観的証拠、あるいは証拠上、明らかに認められる事実に照らして不合理な点がある場合には、いかに供述内容に具体的、迫真性があるようにみえ、各々の供述が符合していても、その信用性は大きく低下するといわざるを得ない」。

 言っていることは極めて当然のことだ。しかし、これまでの裁判所の判断は決してそうではなかった。この判決が言うところの「具体的、迫真性」というところばかりに着目し、供述調書の信用性を認めてきた。

 裁判所は、これまで、検察官の取調べについては、その中身には立ち入らず、その内容が具体的で、迫真性があるという理由で、検察官の供述調書をほぼ無条件に証拠として採用し、信用性を認めてきたのだしかし今回の大阪地裁の判決は、検察官調書の特信性についても、採用した調書の信用性の判断についても、従来の裁判所の判断とはかなり異なった枠組みで判断を行った

 控訴を断念することは、検察官調書の特信性や信用性についての大阪地裁の考え方を検察が受け入れることを意味する。それは、大阪地検に限らず、東京地検など他の特捜部の捜査にも重大な影響を与えかねない。…


これまで社会に重大な影響を与える事件の被疑者の逮捕に対しては、強制捜査に着手する前に、関係者の取調べで作成した供述調書に基づいて設定したストーリーを前提に、検察最高幹部が了承し、組織全体でゴーサインを出してきた。それは、供述調書が公判でも証拠採用され、裁判所がその通りの認定が行う見通しであったからこそできたことだった。

被疑者逮捕後、本格的な取調べが行われ、被疑者の供述等によっては前提事実が異なってくることもあり得る。本来なら、着手前に設定した「着手ストーリー」の主要部分を変更するのであれば、検察最高幹部に了承を取り直す必要が生じる。通常は、そういうことにならないよう、ストーリーどおりの供述調書をとることに最大限の努力が行われた。

 着手ストーリーは、そのまま、起訴という処分を決める際の「処分ストーリー」とされる。そして、公判審理を経て判決で認定される「判決ストーリー」も、検察官の主張事実とほとんど変わらないのが実情であった。つまり、事件のストーリーに関して「着手ストーリー」=「処分ストーリー」=「判決ストーリー」の関係が維持されてきた。

 その前提に、検察官調書のほとんどを証拠採用し、調書に基づいて事実を認定して、検察官の主張通りの判決を出す裁判所の現実があった。

 公判で供述者が証言を覆しても、検察官調書は特信性が認められて証拠採用され、判決では検察官調書に沿った認定が行われて、検察官の主張どおりの有罪判決が出されてきた。

 そういう裁判所の判断に支えられ、事前に組み立てたストーリーを調書化することを中心とする捜査ができた。政治家、高級官僚、経済人など社会的地位の高い人物を検挙にするにあたって、検事総長などの最高幹部を含めて組織全体で意思決定するという決裁システムをとることも可能だったのである。

 しかし、今回の大阪地裁の無罪判決は、このような構図を覆した。…


…第3に、これまでは、特捜捜査においては、検事の仕事はほとんど組織の論理に埋没していたが、今後は検事個人が厳しい責任を負わされることを覚悟し、適正さ、公正さについて自ら判断して捜査を行っていかなければならなくなるということだ。

 前述した大阪地検特捜部の主任検事のデータ改竄疑惑も、まさに、無罪判決を機に表面化した個人責任追及の動きと言えよう。

 特に、今回の大阪地裁の証拠決定と同様に、取調べの状況について詳細な認定が行われると、上村氏の取調べ検察官のように不当な取調べの方法が具体的に指摘され、それについて公判廷で証言した検察官について、証言の信用性が否定されるということも起こり得る。それは、事実上、検察官の偽証の疑いの示唆にもなり得る。

 従来、特捜検事は、どのような方法で取調べを行うか、取調べ状況について公判で証言をする際にどのような証言を行うかなどについて、基本的に、組織の論理にしたがっていれば良かった。組織で容認される範囲内の行動をとっていれば、個人として責任を負わされることはなかった。

 取調べの方法は、ゼネコン汚職事件の際に取調べ中の暴行で参考人に傷害を負わせた金沢検事事件のように、明白な証拠が残るような問題を起こさない限り、許容されてきたし、廷でどのように証言しようと、偽証が問題にされることもなかった。

 それは、検察の世界の中にいると当然のことのように思えるが、一つの重要な前提によって支えられてきたことを忘れてはならない。

 それは、検察が公訴権、つまり起訴する権限を独占してきたことである。しかし、昨年5月の検察審査会法改正により、2回の「起訴相当」の議決で強制起訴となる制度が導入されたことでこの前提は崩れた。

 今では、判決で検察官の証言の信用性が否定され、事実に反する証言を行った疑いが示唆された場合、偽証罪での告発という事態に至ることも考えられる。

 その場合、検察が不起訴にしても、事はそれだけでは終わらない。検察審査会の議決によって検察官が強制起訴されることもあり得る。起訴強制という制度の本来の趣旨は、そのように検察が組織の論理によって不起訴にした事件について市民の客観的な視点から再検討にあるのである。

 証拠改竄事件に加え、今回の大阪地裁の、冷静で客観的な無罪判決が特捜検察にもたらしたものは、あまりに大きい。その影響の大きさは、徐々に現実化していくことになるであろう。


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特捜部の捜査案件に関しては、多少無理筋の場合であっても、そのまま検察が押し切れば、

裁判所が追認してくれるという現実があったということか!? (おーコワッ)



今回は、議員にアリバイがあったなど、ストーリーに証拠の裏付けがない部分が少なからず見つかり、その上に改ざんまで露呈されたら、さすがの検察もメンツを捨てて控訴を断念せざるを得なかった。



検察幹部の立場からすれば、

「裏付けをとってないなんて捜査のイロハのイすら守ってなかったのか!それに誰が改ざんまでしろと言った!?ふざけんな、(おまえが全部?)責任をとれ!」

ということなんでしょう。



そして、今回、松田検事を不起訴にすれば世論が持たないでしょうから、おそらく起訴まで持っていくのでしょう。

問題はその後。



検察官が取調べを行い、調書の内容を読み聞かせたうえで供述者が署名している、ということだけで、ほとんどの場合に「特に信用すべき状況」が認められてきた。」という郷原氏の記事にあるように、『調書にサインしたらほぼ間違いなく有罪』という従来の枠組が今後必ずしも保障されないとなった今、特捜部の捜査の進め方(着手ストーリー=処分ストーリー=判決ストーリー)を考え直すことが求められているのだと思います。



さらに、この問題は、裁判所、私たち国民に対しても突きつけられたことになります。



まず、裁判所は、今回の大阪地裁の判断を踏まえて、調書に対する証拠判断に当たっては、検察に依存せず、自立した判断を行うことが求められることになります。


また、私たち国民は、「取調べの可視化」について真剣に検討し、議論を起こさなければならなくなったと思います。

取調べの可視化を行えば、冤罪は減ります。しかし、検挙率は下がるかもしれません。

取調べで犯人を追い込めず無罪になってしまう、真相解明もできない可能性が出てきます。

それへの対処として、取調べ以外の捜査手法の導入(司法取引等)も含めて、捜査手法の在り方を国民全体で議論する必要があります。

取調べの可視化論は、冤罪事件のたびに話題に上りますが、そのときだけですぐに忘れ去られてしまっています。

しかし、刑事事件は善良な市民にとってももう他人事ではありません。

私たちも、村木さんのように、いつ、突然、「おまえがやったのか?やったんだろ、そうだろ、そうに違いない、絶対おまえがやったんだ、じゃあ調書にサインして。」と言われる日がやってくる可能性がないとはいえないことを村木裁判は改めて示したのですから。



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時論公論 「どうなる取り調べの全面可視化」

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/28008.html

取調べの可視化に関する省内勉強会の中間取りまとめの公表について (H22.6.18 法務省)

http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00003.html


日弁連が取り組む重要課題 取調べの可視化(取調べの全過程の録画)実現

http://www.nichibenren.or.jp/ja/special_theme/investigation.html


取調べの可視化(録画・録音)の実現に向けて-可視化反対論を批判する- (2004.11 日弁連)

http://www.nichibenren.or.jp/ja/judical_reform/data/torishirabe_kashika.pdf


ラフ・ジャスティスとは何か、精密司法とは何か

http://www.baishin.com/04kako/200008ikensho/sub5.htm