ユニクロを展開するファーストリテイリングが最高益を更新したという。
その原動力の一つとなったのがブラトップ。
通期で前期比3倍の900万着の販売を計画するという。
900万着!
900万人が着けると想像するだけでも、すごい計画です。
でもそれ以上に、下のコラムを読んで、もしかしたら、
この商品が日本の女性の生き方、価値観をも変えていくかもしれないというところに
驚きを感じました。
ブラジャーって、日本では歴史が浅かったんですねえ。
歴史が浅いために、日本の女性は、伝統的な「古風な」「女らしい」「つつましやかな」「しとやかな」
女性像から逸脱しないように、ときに窮屈な思いをして苦労してきたんだ。
全然知らなかった。
今日みたいに猛暑の日は、当然のごとく、男はTシャツかポロシャツ一枚ですが、
女はそうはいきませんものねえ。
ブラトップなら、サクッとTシャツのように着て、街に出て行ける。
「ブラ線」や「乳首透け」を気にする必要もない。
女心はわかりませんが、すごい「ラク!」と感じるんでしょうね?
服装にいつもいつも気を使う必要がなくなれば、活動的になれるし、
女性の生き方にも影響を及ぼしてくるでしょう。
日本の文化を変えるというか、女性の文化、生き方が変わってくるのかもしれません。
(夏のオフィスでは、女性はブラトップが主流になる日が来たりして…*☆*:;;;:*☆*:;;;):
ユニクロ快走、最高益更新へ 8月期業績予想を上方修正 http://www.asahi.com/business/update/0709/TKY200907090371.html
…百貨店などで高額品の低迷が長引くのとは対照的に好調を維持しているのは、同じ商品でも年を追うごとに機能性を高め、色の種類や着回しの選択肢を増やしていることが、消費者に支持されているからだ。 保温効果の高い「ヒートテック」に続き、ブラジャーのカップが内側について外出着にもなる女性用の「ブラトップ」、速乾素材の肌着「サラファインインナー」は、どれも店頭で品薄になった。いずれも新商品ではないが、新しい成分を糸に加え、糸の組み合わせや編み方を工夫するなどして、機能や肌触りに改良を重ねている。これも、原材料をすべて買い取り、年4億点を生産するユニクロ独自の「製造小売り」のビジネスモデルによるところが大きい。…
デフレの雄 技あり価格 ユニクロ、3度目の上方修正
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200907100008a.nwc
【27】「ブラトップ」と「ノーブラ」
肌を露出する夏、女たちは何がそんなに大変か?
http://business.nikkeibp.co.jp/article/skillup/20090701/199082/?P=1
ブラトップとは、キャミソールやタンクトップの内側にブラジャーの機能が付いている商品です。暑い夏にはこれ1枚を着るだけで、ブラジャーもつけたことになるのです。 今年は、ワンピース型のブラトップも発売されたので、これを着てショーツだけはけば、外出もできるわけです。 ブラトップを開発したユニクロの執行役員白井恵美さんは、1965年生まれです。留学や様々な会社勤務を経て、2000年にファーストリテイリングに入社し、「日経ウーマン」の「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2009」で大賞を受賞しました。 ユニクロは現在も業績を伸ばしていますが、不振の時代もありました。フリースで大成功した後には、大きなヒット商品がなかったのです。 インナー事業部に配属された白井さんはまず、薄着でも温かい機能性下着のヒートテックを冬に発売してヒット商品にし、夏のブラトップも大ヒットさせました。 ブラトップはいまや、ユニクロだけでなくいろいろなメーカーが商品を展開していて、一大ジャンルとなっています。 実はブラトップと同じような商品は20年前からあったのですが、それは「ブラジャーをしたがらないおばちゃん向けの商品」として、スーパーなどの衣料品売り場の片隅でひっそりと売られるような、デザイン的にも機能的にも“微妙”なものでした。 ユニクロのブラトップは、デザイン的にも機能性にも優れ、もちろん価格も安いということで、大ヒットしたのです。 そして女優(2008年は吹石一恵、2009年は栗山千明)を使ったおしゃれなCMで、「ブラトップ1枚で外出していいのだ」と宣伝したのです。 そもそも、ブラジャーが苦手という女性は、実は多いものです。 まずは窮屈であること。ストラップ(肩紐)がずれたり、胸を支えるワイヤーが痛いこともあります。 そしてデザインもレースを多用しているので、シンプル好きな人だと趣味に合いません(無印良品をはじめとしてシンプルなブラジャーも増えてはきましたが)。 和装の時代には、日本人はブラジャーもショーツも身につけてはいませんでした。 洋装とともに下着文化が入ってきた日本では(ワコールが日本製のブラジャーを発売したのは1950年代です)、ブラジャーの歴史が浅いので、ブラジャーとバストに対するいろいろなルールが錯綜しているのです。 例えば、「ブラジャーは専門店できちんとサイズを測り、よいものを身につけること」とか、「バストを美しく保つためになるべく長い時間着用すること」(実際に、寝る時に着用するブラという商品もあるくらいです)とか、「ブラジャーとパンティーは揃いのデザインでつけること」というルールは広く知られています。 さらには「バストメイク」といって、身体の贅肉をできる限りバストに集めるという「技術」もあります。女性誌では、背中や脇の肉を寄せて、ブラジャーの中に収める方法を写真入りで解説したりしていました。 「足首の肉だってバストにまで持ってきます」と語る補正下着店主の記事を読んだ時は、びっくりしたものです(さすがにそれは無理だとは思いますが)。 そんなふうに、ブラジャーとバストについてはあれこれとルールがあったわけですが、ブラトップによって、日本の女性たちは少し楽になったのです。 乳首隠し、ダイエット、UVカット――女たちの舞台裏 とはいえ、日本人女性にとって「女性は乳首の形を出してはいけない」という価値観はなかなか強固なものです。 ブラトップによって「たまにはちゃんとしたブラじゃなくてもいいんだ」と思えるようになっても、そこから進んで「完全にノーブラになって、乳首を浮き出させてもいい」とはならないのです。 ノーブラの女性を見かける国は、少なくありません。おしゃれな女性であってもTシャツに乳首が浮き出ていたりします。それを見ると、「なんだか自由でいいなあ」と思うのですが、とても真似する気にはなれないのです。 日本でも1970年代にノーブラの流行はあったのですが、それは「破廉恥」と取られるような行動でした。 その後の日本では、ノーブラであっても乳首だけは隠すためのテープ、ニプレスが流行したり、数年前には乳首が隠れるヌーブラが流行して、「頑として乳首が浮き出ないようにする」という文化が続いています。 例えば女性が自宅でTシャツだけでくつろいでいる時に宅配便を受け取る場合も、ノーブラであれば腕組みをするような形で乳首を隠したりするものです。 ロシアのテニス選手、マリア・シャラポワの「付け乳首」は、日本でも話題になりましたが、女性は「なぜわざわざ付け乳首を!?」とびっくりしたのです。 また冒頭で紹介したように、ストレッチの利いた素材のパンツなどをはく時には、パンティー(ショーツ)の線(「パン線」と呼んだりするのです)を見せないための、ブラやショーツのラインが出ない「ひびかないブラ」「ひびかないショーツ」という商品もあるくらいです。 ダイエットだって大変です。 かつてはダイエットの広告というと「160センチで65キロが55キロに!」というリアリティーのある数字が多かったのですが、最近では「160センチで55キロが45キロに!」などという大変そうな数字を目にすることが増えています。 ちなみにBMI(肥満度を表す1つの指数)では、160センチの標準体重は48~63キロくらいなので(体脂肪率とかいろいろな要素はありますが)45キロはやせすぎですが、「やせすぎ」の方がいいと言う女性は多いものです。そして63キロを標準だと認める女性は今では少ないでしょう。 さらに、汗で落ちないメイクなどはそれ専用のメイク落としが必要ですし、UVカットもメイクだけでなく、日傘、帽子、長袖の上着など、重装備で臨んでいて、傍目から見ると逆に暑そうです。 むだ毛の処理も大変です。女性は身体のむだ毛だけではなく、眉毛の間の産毛や、鼻の下の産毛さえも丹念に処理します。 そして体臭防止のスプレーなどをかけ、汗を取る下着を身につけます。 さらには、ひざやかかともすべすべにして、素足でサンダルを履けるようにするのです。 そして女性向けの通販雑誌を見ると、このような「女性の舞台裏商品」(と私は呼んでいます)が山ほどラインアップされ、しかもその機能性はムダと言ってもいいくらいに優れているものです。 女性のメイク時間やお風呂の時間は長いものですが、その時間はこのような各種のメンテナンスに充てられていることも多いのです。 ここまで完璧に気を使うのは、日本の女性だけかもしれません。 彼女たちが目指す姿は、乳首もムダ毛もない「究極の人形」なのかもしれません。 錯綜する「女らしさ」の価値観 女性がこのように気を使ってしまうのは、母親の世代が教えるような、儒教的で日本的な「しとやかな女らしさ」という幻想からなかなか自由になれないからです。 それは「みっともないことはしない」とか「世間に笑われないようにする」という価値観でもあります。 この価値観が「乳首を浮き出させてはいけない」「きちんとした格好をしなければいけない」と、思い込ませているのです。 母親が戦中生まれで、女性らしさを言われて育ってきた私自身も、「乳首の形を浮き出しても別にかまわないのだ」とはなかなか思えないのです。 一方で日本の女性は、欧米的な「女性はゴージャスであるべき」という価値観にも影響されています。「バストメイク」をしてボリュームアップしたバストというのは、欧米的な価値観です。 最近では、ミス・ユニバース・ジャパンの総合プロデューサー、フランス人女性のイネス・リグロンが、日本女性に欧米的な女らしさを「伝道」しようとしています。 ちなみに彼女のプロデュースによって、知花くららは準ミス・ユニバースに、森理世はミス・ユニバース(日本人では48年ぶりの快挙)になったのですが、イネス・リグロンの美意識は必ずしも日本人の価値観に合ってはいません。 ハリウッドで活躍するアジア女優や海外のファッションショーに出るアジアモデルも、欧米的な「オリエンタルビューティー」でしかないものです。 日本的な女らしさと、欧米的な女らしさを両方獲得しようとしているのが、バブル世代を中心とした女性たちなのかもしれません。 とはいえ、若い世代の女性は、バブル世代ほどこれらの価値観には縛られてはいません。 両方を獲得しようとしても疲れてしまうからです。 ブラトップブームの背景にはそんな価値観の変化もあるのでしょう。 日本的だけでもなく、欧米的だけでもない、あまり疲れず、窮屈ではない「女性の生き方」が少しずつ生まれてきているのかもしれません。
