枡添厚労大臣が 日雇い派遣の原則禁止を表明した。
労働者派遣については、ワーキングプアや格差社会の温床と言われる一方、
中途半端な規制がかえって問題を生んでいると、一層の規制緩和を求める声もあり、
労使がまっこうから対立していたところ。
特に、昨年、グッドウィルやフルキャストなどで違法行為が発覚したことから、
厚労省は、「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」を省内に設置して、
公労使からなる有識者の意見を聴きながら検討を行ってきた。
そこで示された論点は、
1 登録型派遣、常用型派遣の在り方
2 日雇い派遣の在り方について
3 派遣期間の制限があること等について
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/05/dl/s0516-6b.pdf
つまり、1の大きな議論をもとに、2と3を議論してきたという流れでしょうか。
それで、今回、2について、厚労大臣が原則禁止を打ち上げたと。
今後、使用者側・業界がどう反応するか注目ですが、
研究会の資料をみると、業界サイドは、意外に全面反対ではないかに見受けられます。
【使用者側意見 (ヒアリング時の発言も含む) 】-研究会第5回資料より抜粋-
○日々派遣でも適正に運営され、有効に機能している業務もあることから、
日々派遣というだけで全面禁止という考え方は不合理。
○日々派遣については、従来の日々雇用の問題と区別して整理し、何が問題なのかの整理が必要。
その上で問題となっていることをしっかりと見極めて規律の強化等について議論することは反対では
ない。
職種・業務内容によって整理するのか、雇用契約の内容によって整理するのかは十分な議論が必要。
○軽作業のみならず、同時通訳や月末日だけのデータ入力、土日だけのスーパーでの販売促進業務
など、有効に機能している1日派遣も多数ある。
一律にこれを禁止した場合、こうした方々の就労機会を奪うことになるのではないかという懸念を
持っている。
(日本人材派遣協会(第3回)
○危険性の高い業務について、本当に安全教育をしてきちっと日々派遣でもできるのかと言ったら、
必ずしもそれは十分できていないのではないか。
ただ、政令26業務の分野も含めて、さまざま有効に機能している日々派遣もたくさんあると理解。
(日本人材派遣協会(第3回)
つまり、使用者側は危険性の高い業務などについては禁止もやむを得ないとしつつ、
それ以外の業務については「例外的に」今までどおり容認してもらおうという考え方に思えます。
要するに、「条件闘争」です。
一方、労働者側は全面禁止を主張かと思いきや、意外とそうでもないみたい。
【労働者代表意見 (ヒアリング時の資料も含む) 】-研究会第5回資料より抜粋-
○日々雇用は直用が原則と考える。
○派遣法の趣旨に照らして、日々雇用の派遣というものが本当にありうるのか。
派遣なのか、職業紹介なのか検討が必要。
○日雇派遣での問題は、派遣法上の問題と労働基準法上の問題の整理が必要。
○日雇派遣の場合、派遣元による教育訓練は行われておらず単なる労務供給となっているのでは
ないか。
○日雇派遣は、むしろ軽作業派遣ということができる。
低賃金であること、非常に不安定な雇用であること、危険な作業で労働災害が多く発生していることから、
きちんと禁止していくべき。
臨時的・一時的なものについては直接雇用で対応すべき。
直接雇用で十分対応しきれない部分については、職業紹介で対応していくべき。
<派遣ユニオン(第3回)>
○日雇派遣だけをやめたとしても、有期雇用は必ず残る。
直接雇われれば、給料が上がるのか、安定した雇用になるのかというと、決してそうではない。
であれば、日雇派遣の制度を積極的に選んでいる人たちのためにも、この制度は残しておく必要
があるのではないか。
(ただし、)危険業務について(は)、教育もしないでただそこで働かせることはあってはならないと
いうことで、制限を加えるべき。
<JSGU(第3回)>
つまり、使用者側代表も労働者側代表も、
(原則・例外の線引きをどこで引くかは別として) 「原則」禁止で折り合えそうー
そうみての大臣発言と思われます。
なんにせよ、これまで、事業主の肩ばかり持ち、労働者の敵!?ではないかと思っていた厚労省が、
久しぶりに労働者サイドに立った対応を打ち出したのは評価してよいでしょう。
この後の問題は、
ア) 具体的にどのような業種、業態を禁止し、どのような場合について例外的に容認するのか
イ) 日雇い派遣を原則禁止した場合の対応策
ウ) 残りの論点「製造業等の派遣期間制限」をどうするのか
ア)について。
またもめそうですが、おそらく法律改正では盛り込まず、法律改正後の政省令で規定することとして、
先送りするでしょう。
イ)について。
今の日雇い派遣労働者がスムーズに、日々雇用や常用雇用に移行できるように、
また、事業主が急に人手が必要となったときにきちんと人手が確保できるように、
対策を講じる必要あります。
■日雇い派遣に代わる、日雇いの職業紹介機能の強化
(日雇の労使双方のニーズは満たすようにする)
■日雇い労働者に対する生活水準の引上げ(最低賃金の引上げ、社会保険の適用拡大)
等々の対策が必要でしょうか。
ウ)について。
この論点は、2009年問題への対応のためであることは言うまでもありません。
製造業が直面する2009年問題の深刻度
製造業の「2009年問題」が浮上している。電機・自動車などの製造現場を支えている「派遣」労働者の雇用期間が、いっせいに3年を超え、メーカー側は「派遣」契約をいったん打ち切るか、直接雇用に切り替える(正社員化する)義務を負う。メーカーが急激なコスト上昇を受け入れるとは考えにくく、労働力不足が発生するかもしれないのだ。国内製造業が機能不全に陥る危機だ。…
http://column.onbiz.yahoo.co.jp/ny?c=bp_l&a=007-1195023856
大手製造業にとっては、日雇い派遣以上の大問題
かもしれません。
したがって、使用者側にとっては、日雇い派遣の原則禁止は呑んだとしても、
派遣期間の制限解禁は、強硬に主張するかもしれません。
司法取引みたいに、「日雇い派遣原則禁止、派遣期間の制限解禁」で政府与党が手を打ったら、
野党がまたワアワア言い出して、来年の通常国会は大荒れでしょうね。
ねじれ国会のキーを握る民主党が、この労働者派遣見直しに対して、現在のところ、
野党共闘よりも、自公との協調・修正路線を模索しているフシが伺えるところもややこしい。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080601ddm002010090000c.html
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080604ddm005010016000c.html
まだまだ目が離せません、枡添さん、がんばってくらはい。
日雇い派遣禁止 今週にも法改正案…厚労省意向
舛添要一厚生労働相は13日の閣議後会見で、改正が検討されている労働者派遣法について、「日雇い派遣は厳しく考え直すべき」と述べ、日雇い派遣を原則禁止する方向性を明らかにし、秋の臨時国会に改正案を提出する意向を示した。
同法を巡っては、厚労省は今春の法改正を目指していたが、日雇い派遣を禁止にするかなどで労使の意見の隔たりが大きいことから改正を見送っている。同省に派遣労働の研究会を設置し、改正の方向を検討している。また、不安定で低賃金の日雇い派遣の実態に対する批判が高まる中、野党や与党の公明党も原則禁止を盛り込んだ改正案について議論している。
舛添厚労相は「通訳など必要に応じて派遣される専門業務について、1日ごとの派遣も妥当だが、メーカーでやっているような派遣(の仕事)は、常用雇用が普通であるべきだ。基本的に日雇い派遣はやめる方向でやるべきだ」と述べた。
一方、東京・秋葉原の無差別殺傷事件に関し、逮捕された加藤智大容疑者(25)が派遣労働者だったことから、各都道府県労働局に派遣元や派遣先に関係法令順守を徹底するよう指示を出すことを明らかにした。【東海林智】
(2008年6月13日 毎日JP)
【6月13日のフルキャストの株価】
マスコミで一番早い情報配信は読売の11時54分でしょうか?

