最低投票率を設定すると、民意のパラドックスが生じる!?
国民投票法案では、対象テーマ、対象年齢に加えて、
最低投票率の設定の是非が大きな議論になっています。
大事な憲法改正を決めるのに国民の多くの支持が必要との観点から、
最低投票率の規定を設けるべきだとの論調が少なくない。
こうしたことを踏まえ、先ごろの参議院の委員会では、
参考人を招いて、最低投票率の規定について必要・不要の双方の意見を聴き、
意見交換がなされています。
ざぁ-っと、4/23の議事録をみたところ、
最低投票率の規定を不要とする立場からは、
・憲法第96条に過重要件を設けることになり、憲法上疑義がある
・ボイコット運動を誘発する
・民意のパラドックスが生じる
・知事選挙など、他の投票では最低投票率を設けていない
最低投票率の規定を必要とする立場からは、
・少数者の意向で改正されてしまう(憲法改正の正統性に?がつく)
・世論調査で国民の8割が盛り込むべきだと言っている
・硬性憲法の趣旨を踏まえれば、規定を設けても憲法第96条違反にならない。
・ボイコット運動を誘発するという指摘は非現実的で説得力がない
といった意見が出されています。
民意のパラドックスが生じるというのは、おもしろい意見ですね。
委員会では、次の2つの想定事例が挙げられています。
(A) 投票率35%で、賛成80%
(B) 投票率40%で、賛成60%
最低投票率が40%であった場合、(A)は成立しませんが、
賛成票の数でいえば、実は(A)の方が多い。
それなのに、(A)は不成立、(B)は成立という結果になります。
参考人の先生は、イタリアで実際にこのようなパラドックスが生じる事例が
あったと述べていますが、ほんとにあり得るのでしょうかねぇ?
ただ、最低投票率をいくらにすればいいかについては30~40%という意見が出されているが、「全く個人的な腰だめの数字」(江橋君)といった、けっこういい加減?な意見でした。
私としては、最低投票率を置くなら、やはり国民の過半数の意思表示を求めて、
50%とすべきではないかと思います。
我が国憲法は硬性憲法であるため、簡単に変更されるような仕組みではいけません。
しっかりした手続きを構築する必要があります。
しかし、現行憲法については制定後60年が経過し、社会の変化を踏まえて「知る権利」などの新しい人権を設ける必要性が何十年も前から言われ続けてきました。
しかし、9条問題が立ちはだかり、これまでは議論すること自体がタブーでした。
安倍さんはこのタブーに挑戦しようとしています。
もちろん、安倍さんの眼中にあるのは憲法9条なので、護憲派は警戒していますが、
国民投票法案では、条文ごとに賛成、反対の意思表示ができる内容になっています。
したがって、憲法9条に拘泥せず、憲法全体に目を向けて
一度くらい国民的な議論を行ってもよいのではないかと思います。
《参考サイト》
最低投票率30~40%、参院憲法特別委で参考人意見 (JanJan)
憲法改正に向けての主な論点 (自民党)
憲法に関する全国世論調査
(読売新聞社)
改正派46%,非改正派39%