『残業代ゼロ法案』の行方やいかに~
残業代を支払わなくてもいいようになる、そんな法改正をしようとする動きがある。
ホワイトカラー・エグゼンプション =労働時間規制除外制度(自律的労働時間制度) の導入だ。
こうした改正をする必要性は、2つ言われているところ。
① 成果主義によって労働者を評価したいという経済界の意向
② 労働時間の短縮によって、少子化対策にもつなげる
①まず、成果主義。
グローバル化、規制緩和で競争が激しくなってきたことを背景に、
企業は、より一層生産性を向上する必要に迫られている。
こうしたことから、これまでのように労働時間に応じて賃金を支払うのはやめにして
今後はできるだけ成果に応じて支払うようにしていきたいと考えているようだ。
成果に応じて賃金を払うのだから、残業しようがしまいが賃金は一定ですという話。
→問題点が2つ。
① 対象者拡大の懸念
厚労省は、一定水準以上の年収などを基準にすることにより管理職クラスに限定したいようだが、
経済界はより広い適用を求めている。
→たとえ導入時に限定しても、一度導入されたら結局は対象者が拡大されるのでないか?
② 成果の評価の妥当性
例えば、営業課一丸となって新規の顧客を獲得したとき、成果はどのように評価されるのか。
まさか、営業課長が総取りするのではあるまいに。
また、成果主義については、随分前に大企業での失敗事例が話題となった。
成果により評価されるとなると、どうしても短期的、近視眼的な成果を求めるようになる。
その結果、イノベーションが行われにくくなり、その企業は中長期的には停滞するという。
こうした理由から、成果主義は、導入推進論者は多いものの、実態として浸透しているとは言い難い。
こうした中でホワイトカラー・エグゼンプションを導入したら、残業代ゼロへの不満に加えて、
成果の評価に対する不満が募り、社員のモチベーションは低下し、
ひいては企業の生産性が逆に低下してしまうのではなかろうか。
②次に、労働時間短縮論。
安倍首相は、5日の記者団の質問に対し、
「日本人は少し働き過ぎじゃないかという感じを持っている方も多いのではないか」
「(労働時間短縮の結果で増えることになる)家で過ごす時間は、例えば少子化(対策)にとっても必要。
ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を見直していくべきだ」
とも述べ、出生率増加にも役立つという考えを示したとのこと。(1月5日 asahi.com )
おそらく厚労省幹部のレクチャーに沿ってしゃべったのだと思うが、この理屈には疑問。
残業代がゼロになれば効率的に働くので、労働時間短縮につながるという考え方だが、
私たちは××××人とは違う。
のんびり働いて残業している訳ではなく、馬車馬のように働いて、それでも時間内にできないから
残業しているのだ。
法律違反と知りつつ、残業代が全部付かなくても、ものわかりよく受け入れてね。
だから、ホワイトカラー・エグゼンプションが導入されたって、早く帰ろうとするインセンティブにはなりえない。
むしろ、上司から、『成果が上がってないのに帰るのか』と言われたりするんでしょうから、
ますます帰れなくなるよ。
このホワイトカラー・エグゼンプションについては、思いのほか、与党から慎重論が上がってきている。
公明党は「慎重の上にも慎重を期すべきだ」(太田代表)
自民党も「企業論理に偏りすぎ」と警笛を鳴らしはじめた。
… … なんか変な感じにとらわれるのは私だけでしょうか??
ふつう、経済界の意向を受けた自民党が導入を推進し、厚労省が働く者の立場を擁護するため抵抗する、
というシナリオではないでしょうかねええ
まぎゃく
厚労省は、こういうところで抵抗すれば、国民から拍手喝采を受けるのに変な話だなあ。
いつから経済界の代弁者になったの、と言いたくなるよ。
首相は、少子化対策としての理解は示したものの、通常国会への法案提出については
「経営者の立場、働く側の立場、どういう層を対象にするかについて、もう少し議論を進めていく必要がある」
と述べるにとどめている。
今後、経済界や与党の意向をどのように調整し、指導力を発揮していくのか、
カジ取りが注目されます。
《参考サイト》
第54回労働政策審議会労働条件分科会資料 (労働契約法制及び労働時間法制に係る検討の視点)
第59回労働政策審議会労働条件分科会資料 (労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案))
ホワイトカラーエクゼンプションに対する提言 (2005年6月 日本経団連)
残業代なしでただ働きを強制される時代の到来~ホワイトカラー・エグゼンプションって何?~(森永卓郎)
内側から見た富士通「成果主義」の崩壊/城 繁幸
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