中国の月面探査機「嫦娥6号」が、月の裏側で採取した岩石などを持ち帰ったとのニュースが報じられた。

 

月の自転と地球の公転は周期が同じため、月の裏は地球から見ることができず、電波も届かない。そのため、月の裏側での探査活動は、表側以上に高いレベルの技術が求められる。

 

その裏側で探査を実現した中国の技術は、アメリカやロシアに並んだと言ってよい。サンプルの持ち帰りが確認できれば、世界初だ。

 

中国は、月探査を嫦娥プロジェクトと名付け、宇宙強国を目指す意欲を隠さない。30年の有人着陸や35年までの研究ステーション整備に向けても、着々と準備を進めている。

 

米国は、アルテミス計画で月面での半世紀ぶりの有人探査活動を目指している。日本や欧州、インドなども計画に参加する予定で、月面での開発競争は日毎に激しさを増している。

 

中国やインドの友人達の子が、何名か宇宙に関する仕事に関わっている。立場が違っても協力し合う姿は微笑ましくもある。次の世代に希望を感じる。

 

1967年に発効した宇宙条約は、国による領有を禁止し、平和利用を原則とする。月の探査や宇宙開発は人類共通の夢だであり、国威発揚の場ではない。

 

しかし、競争が激化すれば、お互いにルールを守るかは微妙である。月の探査や宇宙開発が安全保障上の懸念とならぬことを願うばかりだ。