岸田首相が国賓待遇で訪米し、首脳会談や議会演説が注目されている。

 

国内に不安材料を抱える両国首脳は、揺るぎない関係を演出することで政権浮揚の足がかりにしたい点で思惑が一致している。お互いに政権が変わっても関係に変化が生じないよう、複層的に関係を構築することが重要だ。

 

今回の首脳会談や議会演説では、安全保障面が特に強調される予定だ。米中対立は収まる気配がなく、日本は米国の重要なパートナーとして存在感が増している。

 

防衛文書改訂や防衛費の大幅増額、防衛装備品共同開発や移転、適正評価制度導入など、日本の安全保障政策を大きく変えた岸田首相への米国の評価は高い。互いに意見を率直に言い合えるグローバル・パートナーとして、民主主義を守るために連携を強化する必要がある。

 

その意味で、今回のフィリピンを交えた3カ国首脳会談も注目される。この流れはいずれアジアの他の国にも広がる可能性は高い。中国は反発するだろうが、この動きが南シナ海の平和につながることを期待したい。

 

訪米が日本国内で今後どのように評価されるかはわからないが、今回の首相の訪米が日米関係の新たな一歩となることは間違いない。