中国が、米国のインフレ抑制法が公正な競争を阻害しているとし、WTOへ提訴した。

 

インフラ抑制法は、EVやPHVの購入時に最大7,500ドル(日本円で約110万円)の優遇措置を設けている。

 

法案は、カーボンニュートラル実現に向けた再エネ導入に70兆円超の歳出を行っており、その中で目玉となるのがEV等に係る費用だ。

 

購入を考えているユーザーにとっては、非常に魅力的な法案となる。ただし、優遇措置は最終組み立てを米国で行うなど厳格な要件を課しており、日欧のメーカーも対象外となる。

 

そのため、トヨタは米国での生産工場や電池工場の建設を急いでいる。4月に国賓訪米する岸田首相はトヨタ工場視察を予定しており、米国へのアピールを狙う。

 

中国は自国のEVに巨額の補助金を投入し、EV市場で優位な地位を作り上げた。その結果中国製EVが存在感を増しいる。

 

行き過ぎた規制が自由競争を阻むのは事実だが、手をこまねいていれば充電インフラまで抑えられてしまう。

 

供給網の分断は世界経済に悪影響を及ぼすが、それよりも安全保障を優先する必要がある。中国の提訴に同調する動きには注意が必要だ。