2023年の経常収支が20.6兆円の黒字となり、2年ぶりに20兆円台を回復した。

 

資源高の一服等で、貿易収支の赤字が半減したことが大きい。インバウンド復活で旅行収支が3.4兆円の黒字となり、サービス収支の赤字が改善したことも黒字の押し上げに寄与した。

 

サービス収支全体で赤字幅は4割以上改善しているが、デジタル関連の赤字が増え5.5兆円に膨らんだのは深刻だ。

 

デジタル化を進める日本企業は、米国のIT大手が提供するサービスを利用する傾向が強く、これが赤字拡大の要因として指摘されている。

 

デジタル化を進めても国内のサービスを利用する環境が整わないと、赤字幅は拡大する一方ということになる。遅々と進まぬ日本のデジタル化は、官民とも根本的に見直すべきだ。

 

しかし、日経平均がバブル後の高値更新を続け過去最高値も視野に入る中、国際収支の改善はプラス要因だ。

 

このチャンスを活かした対策を講ずる必要があるが、国会は残念ながら機能不全だ。資金問題に終始せず、国家のあるべき姿を大局で論ずるべきだ。

 

折角の大きなチャンスを、議論もせずに逃がすことだけは避けてほしいと思う。