円相場が、32年ぶりとなる1ドル150円台まで下がった。

 

先月の介入で一時140円近くまで上昇したが、1ヶ月で再び10円近く下落している。年初からは35円の下落だ。日米の金利差拡大が円安の要因だが、円の下落幅は他国と比べて大きい。

 

政府は急激な変化は容認せず断固たる対応をとると言うが、やる手段は限られており、単独で介入を試みても効果は一時的である。

 

手の内を見透かし投機筋が更なる円売りを仕掛けてくる可能性は高い。金融政策を変えず、インバウンドや輸出で円安の効果を活かすと話すようでは、円売りは収まらないだろう。

 

円の下落は、日本経済の実態そのものである。全ての可能性を排除せず、不退転の覚悟で対策を講じないと歯止めはかからない。

 

9月の介入で、外貨準備高は前月比5,400億ドルと大きく減ったが、円換算ではそれほど減少していない。昨年末に162兆円だった資金は、9月末に179兆円と逆に17兆円増えている。

 

円安のメリットは円安対策に活かすべきだ。現在の対策はあまりに硬直的だ。柔軟に物事を捉え、構造的課題に直接メスを入れることで、負のスパイラルから脱して欲しいと思う。