友の一言 行動変える
24日まで富山県美術館で開催中の「START☆みんなのミュージアム2019」に本校の全生徒と星槎学童保育富山の児童たちが初めて作品を出展した。
今年のテーマは「水の、かたち」。水の循環、そして水に生かされた命のつながりを写真、スプレーアート、書道あーとなど、さまざまな手法を用いて、自分たちの世界観を自由に表現することができた。
今回の作品作りに携わった生徒の中にも、うまく自分の思いを伝えられず、人と関わることに苦手意識を持つケースは少なくない。自分の思いを自由に表現できる環境、そしてそれを認めて受け入れる仲間や大人がいることは彼らにとっては、安心、そして自分を信じることにつながるのだ。
人と関わることができずに、誰ともしゃべることなく休み時間もずっと絵を描き続けていた、ある女子生徒。ある時、そんな彼女の絵を見て別の女子生徒が「○○ちゃん、絵が上手だね」と何げなく話しかけた。髪で顔を隠していた隙間から、彼女の笑顔がこぼれた。
友達の一言に勇気づけられ、その日から少しずつではあるが、ぽつぽつと言葉を発することができるようになった。
「今まで相手が自分のことをどう思っているかわからず、怖くて仕方なかった。自分の言葉で伝えることができれば相手に気持ちが伝わることが分かった」
言葉の力が彼女の行動を変えたのだ。
言葉は魔法のようなもの。人を育て、社会をも突き動かす。コミュニケーションの最大の目的はお互いを受け入れ、認めあうこと。そこから生まれる安心、信頼から生まれた絆が人間関係を特別なものにしてくれる。
「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」
これは私が大好きな物語「星の王子さま」の主人公にキツネが語りかける言葉だ。
「目に見えること」にとらわれがちな現代こそ、目に見えないものやことの中に小さな感謝や幸せを見つけられる心を、児童や生徒たちの中に育んでいきたい。
人生は出逢(あ)いの連続。人との出逢い、また言葉との出逢いも一期一会。二つの出逢いが人生を変えるのだ。希望に満ちた出逢いの季節、春本番はもう間もなくやってくる。