『それでも日本に原発は必要なのか?』を読みました。
『日本はなぜ原発を止められないのか?』の青木美希さんの新刊です。本書も日本のエネルギー政策の歴史的経緯、原発優先の不合理さ、政治の腐敗と、共犯として「原子力ムラ」を構成しているマスメディアの闇の深さが明らかにされています。
太陽光発電や風力発電の技術の進歩と、その有効性、拡大の可能性も知ることができました。
気候変動対策として、再生エネルギーの拡大は世界の課題です。日本も再エネの割合が増え、2023年度に22.9%に。
太陽光発電の技術は国際的にも日本が進んでいた。
しかし、その後再エネの割合は減り、大手日本企業も太陽光発電から手を引いてしまう。いま、太陽光発電の技術は中国に追い越されてしまった。なぜなのか?
日本には「原発優先ルール」がある。
原子力発電による電力が余った場合、再エネ出力が制御される。農業と太陽光発電との協業で、農家や地域経済を支える仕組みの可能性があるのに、出力制御により作ってもムダになり利益も減りむしろ赤字になるため、続かないし進まない。
原発の安全は相変わらず保障されず、核燃料の再処理なんて失敗続きで破綻しているのに税金を使い込みまくって続けている。
原発ゼロを実現し再エネ割合が50%のドイツ、風力発電が突出しているベルギーに共通するのは、国をあげて再エネ拡大に取り組んでいること。日本は逆行している。
福島原発事故をきっかけに国民投票で原発ゼロを決めたイタリアではいま、政府主導で原発回帰している。根拠のひとつは、事故後の日本が原発再稼働・新設の方向性を打ち出していること。
韓国は、ひとつの大企業が発電・売電・送電を独占しているため、再エネ割合がとても低い。日本の植民地時代以来のもので、日本が持ち込んだ構造だ。
日本は、電力会社の社員が政府に出向し、原子力発電関連の政策を作っている。原子力規制機関にも電力会社の社員が入り込んでいる。厳格な規制なんてできっこないし、日本のエネルギー政策が原発推進大前提になってしまう。
しかし企業献金のうまみから、政治家がこの構造を変えることができない。
原発事故の被害者の声を受けとめず、ムダで危険な原発に固執し続ける日本政府と保管勢力の野党たち。
しかも、青木さんが所属する朝日新聞社は(本の中では社名は出てこないが)、青木さんを記者職から外し、前作の出版や各地で青木さんが講演していることを理由に懲戒処分を連発。
闇が深すぎて暗澹たる気持ちになります。
でも、会社からものすごい圧力をかけられても原発の危険性と原発を推進する日本政治の構造を広く明らかにするために、本書を出してくれた青木さんの勇気と信念、実行力に励まされます。彼女を支えるためにも、本書の中身を知らせたい。
