声がする方向を振り返ると
佑香さんが、他の人達と歩いて来るのが目に入った。
たぶん僕の顔は、喜びの笑顔でいっぱいだったと思う。
すると、佑香さんが近づいてきて、
『ごめんね、約束はなし』
とだけ言って、他の人の方に戻っていった。
何がなんだか解らなかったが、
諦めるしかなかった。
本当にがっかりした。
約束を破ったことに怒りさえ覚えた。
(本当に子供だったと思う。)
その夜は、怒りの感情が収まらず
なかなか寝付けなかった。
次の日も、佑香さんと話をする機会は無く、
あっという間に研修が終わってしまった。
研修が終わり、配属が発表された。
自分は、事務職として入社したので、
自宅のそばにある、営業所の支店業務課に配属された。
これは、予想どおりだった。
他の人も、自宅そばにある営業所に配属されたようだった。
問題は、佑香さんだ。
そのときは、佑香さんが何処の地域の出身か知らなかった。
県内は大きく三地域に分けられていたので、
同じ会社とはいえ、地域が違えば、
その後会うことはほとんど無いからだ。
あの出来事以来少し気まずい感じになっていたし、
怒りも収まりきっていない自分としては、
同じ営業所になりたいような、なりたくないような。
かといって、あまり離れていると、
まったく関係なくなってしまうので
それもいやだな、と思っていた
佑香さんの配属が発表された!
なんと同じ営業所だ。
営業所と支店という違いはあるが
一階と二階の違いだ。
つまり同じ毎日顔を合わせることになる。
つづく