第182話 決着への道を拓け! ネプトゥーンモンの神託 | 星流の二番目のたな

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 ネプトゥーンモンから俺達に話がある。ユニモンはそう言って、俺達8人を部屋まで案内した。
 ネプトゥーンモンは、前に見た時よりましに見えた。背中に枕を当てて、少しだけ体を起こしている。
「エンジェモンとユニモンから近況は聞いた。ディアナモンを助け、こちらの世界の民を保護してくれたこと、改めて感謝する」
 頭を下げるネプトゥーンモンに、泉が首を横に振った。
「気にしないで。私達は私達にできることをしただけだから」
「……それから、君達には詫びなければならない。ユピテルモンの真意に気づけずこの世界を攻撃してしまったこと、ユピテルモンを仕留められなかったこと、オリンポス十二神族を代表して謝罪する。本当に、申し訳ないことをした」
 心の底から申し訳ないって顔で、バカ丁寧にまた頭を下げてくる。頭を下げる途中で傷が痛んだのか、顔をしかめた。
 純平がその言葉を払うように右手を振る。
「謝ることないって。ネプトゥーンモン自身がこの世界を襲ったことは一度もないし、命がけでユピテルモンと戦おうとしたことも分かってんだから。なあ輝二?」
 純平が輝二に話を振る。輝二は「ネプトゥーンモンはこういう性格なんだ」と言って肩をすくめた。

 

「僕達を呼んだのは、ありがとうとごめんなさいを言うため?」
 友樹が聞くと、ネプトゥーンモンは、いや、と表情を引き締める。
「本題はこれからだ。ユピテルモンはユノモンのデータを取り込み、以前より力を増している。奴を倒すために、私も協力させてほしい」
 そう言うネプトゥーンモンは、横たわっていても堂々として見えた。
「私も共に戦いたいが、このケガでは足手まといになるだけだ。せめてユピテルモンの元に辿りつく方法と、奴の戦闘方法を教えようと思う」
「それだけでも十分だ。十二神族の世界の正確な座標が分からない以上、俺達の方からは攻め込めなかったから」
 輝一が表情を明るくした。
 その世界の大体の座標が分かれば、トレイルモンで行くことができる。ただ、その世界のどこに出るか分からない。平和な世界に行くのならそれでもいいけど、今回の行き先は敵陣だ。しかも、ほとんどの土地は壊れている。今までの俺達が手に入れた情報だけで攻め込むのはあまりに危険――とかなんとか、エンジェモンが言ってたな。
「ユニモンに先導を任せる。ユピテルモンの死角になる場所まで案内させよう」
 指名されて、ユニモンがえへんと胸を張った。
「次にユピテルモンの戦闘方法だ。奴は近距離と遠距離どちらの戦いにも対処することができる。奴が作り出す雷雲《マボルト》は自動的に動き、敵に雷撃を浴びせる。戦場を縦横無尽に動き回る厄介な相手だ」
「俺達が光の城で戦った分身も同じ技を使ってたな」
 俺はついこの間の戦いを思い出す。分身の作り出した雷雲は二つきりだったし、攻撃も直線的だったから避けきれた。
 一応聞いてみる。
「ユピテルモン本体はいくつ雷雲を作れるんだ?」
「先日戦った時は5つだった」
 即答。2倍以上か……ちえっ、そんなこったろうと思ったぜ。
「ユピテルモンが雷雲にどんな指示を出すかにもよるけど、速く動ける私なら狙いをかく乱できるかも」
 泉が提案すると、輝一が頷いた。
「俺もかく乱に回る。《シュバルツ・レールザッツ》なら雷の着弾点をねじ曲げられるはずだ」
 兄貴がみんなを見回す。
「じゃあ、俺、信也、輝二、友樹、純平の5人で本体を叩こう。接近戦だとユピテルモンはどんな戦い方をしてくるんだ?」
 ネプトゥーンモンは一度座り直してから話し出した。
「基本的には、雷を込めた両手のハンマーで殴ってくる。しかし、必殺技の《ワイドプラズメント》には気をつけろ。奴の体を超高圧プラズマに変え、周囲の敵をまとめて蒸発させる」

「ちょうこ……何?」

 俺が聞き返すと、ネプトゥーンモンが少し考えた。

「要するに、光る超高温のガスの塊だと思えばいい。奴が姿を変えたら触れないよう逃げろ」

 兄貴がそれを聞いて腕を組む。
「俺の《フレイムストーム》の電気版みたいなもんか。……炎の闘士の俺や信也、あと雷の闘士なら少しは耐えられるかな」

「雷の闘士から言わせてもらうと、試すのはやめた方がいいと思うぜ。俺の親父の工場でプラズマ使ってるの見たことあるけどさ、金属を溶かしたり穴開けたりするのに使ってるんだ」

「威力は《炎龍撃》かそれ以上って感じだね」
 友樹が痛みを想像したのか顔をしかめる。

 ハイパースピリット並みの攻撃が、塊で襲いかかってくるのか……威力を自分の体で試すのはやめておこう。

「遠距離の《マボルト》と近距離の《ワイドプラズメント》さえ避けられれば、勝機はあるはずだ」

 そう言って、ネプトゥーンモンが深く息を吐いた。一気に疲れ切って年を取ったように見える。まだ体力は戻っていないみたいだ。

「ありがとう、ネプトゥーンモン。ユピテルモンとの決着は俺達がつける」

 俺が言って、こぶしを握った。ネプトゥーンモンを休ませるために、みんなと部屋を出ようとする。

 


「ノゾム、君は残ってくれないか」
 ネプトゥーンモンの声に、俺達の足が止まった。
 振り返ると、ネプトゥーンモンが真面目な表情でノゾムを見つめている。
「君と二人だけで話がしたい。ユニモンも、席を外してくれ」
「僕は構いませんが、ネプトゥーンモン様はお疲れでは」
 ユニモンの心配そうな声に、ネプトゥーンモンは首を横に振った。

「私は大丈夫だ。それよりも今、ノゾムと話しておきたい」

「えっと……」

 ノゾムが困って俺の顔を見る。俺は小さく笑って言ってやった。

「聞かれてるのはお前だろ。ノゾムはどうしたいんだ?」

「うん……じゃあ、ネプトゥーンモンと話す」
 そう答えて、ノゾムはネプトゥーンモンに視線を向けた。

 二人を残して、俺達は部屋を出た。

 

 

 
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「プラズマとはなんぞや?」というところに引っかかってしまい、調べていたら更新が遅くなりました(汗)しかし正直、物理は中学生レベルの知識しかない星流が本を読んでも半分くらい分かりませんでした。今回やこれからの描写でおかしなところがあったら、デジタルワールド仕様ということでそっと見逃してください(泣)話の流れでフロ02では全然出せてなかった「純平の家は工場」設定(星流の捏造設定)がちらっと出せたのは良かったかな、と。

 

それから、次回でノゾムとネプトゥーンモンの話をやろうと思い、既に半分くらい書いていたんですがボツにすることにしました。この二人の会話、全然明るい方向に進まないんですもん……。

二人の会話の中身は、後々触れます。後々。