第166話 荒野に待ち受ける軍団! 城砦を砕け | 星流の二番目のたな

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デジモンフロンティアおよびデジモンアドベンチャー02の二次創作(小説)中心に稼働します。たまに検証や物理的な制作もします。
続き物、二次創作の苦手な方はご注意くださいませ。

「スピリット・エボリューション!」

「ヴリトラモン!」

「ガルムモン!」


「ダブルスピリット・エボリューション!」

「フロストモン!」

「ライノカブテリモン!」


 ボコモンとネーモンを引っつかんで、SOSの上がった方向に飛ぶ。

 数分もしないうちに、森が途切れた。切り立った崖の下に、盆地が広がっている。見渡す限りの荒野だ。

 ライヒモンとジェットシルフィーモンはすぐに見つかった。荒野に背中合わせで立ち、四十体近いデジモンに囲まれている。

「あれは、ユピテルモンが送り込んだデジモンか!?」

「いっぱいいる~」

 俺の手の中で、ボコモンとネーモンが身動きする。

「二人はここにいてくれ!」

 その場にボコモン達を下ろして、戦いの場に駆ける。

「《コロナブラスター》!」

 両腕のルードリー・タルパナから熱線を放つ。

「《ソーラーレーザー》!」

「《ロードオブグローリー》!」

「《サンダーレーザー》!」

 闘士達の連続攻撃に、敵がひるんだ。

「距離を取れ!」

 戦場に、低い声が朗々と響いた。ライヒモン達の周りにいたデジモン達が素早く離れた。

 退いたスペースを狙って、二人の横に滑り込む。

「ジェットシルフィーモン、待たせたな!」

「本当。遅すぎ」

 ライノカブテリモンの力強い言葉が一蹴される。だが、声色にほっとした響きがある。

「まさかSOSが来るとはな。ダブルスピリットしても数で押されるのはきつかったか」

「これでも半分は倒したんだ」

 ガルムモンに対して、ライヒモンが言い返す。油断なく槍を構えているが、肩で息をしている。

 俺は取り囲んでいるデジモンを見回した。種族も大小も様々だ。戦い慣れていないデジモンもいる。構え方を見ればすぐ分かる。

 数は多くても、ダブルスピリット二体なら十分に対処できる相手のはずだ。

「兵士は前へ出ろ! その他は三メートル下がって援護の用意!」

 さっきの低い声がまた響いた。声の主を探し、視線を走らせる。

 黒い壁? いや、デジモンだ。ヴリトラモンでもまだ見上げなきゃならないほど大きい。ライノカブテリモンが立ち上がったらこれくらいになるだろうか。城砦のようなレンガ模様の胴体に、ロボットみたいに四角い手足。威圧感のある目が戦場を見回している。

「あいつが親玉か?」

「ええ。みんなあの指示で動いてる」

 俺が聞くと、ジェットシルフィーモンが早口に答える。その言葉通り、デジモン達は素早く陣形を整えた。

「ルークチェスモン。防御と素早さに優れたデジモン。必殺技は敵に突進する《ストロングフォールド》と、腕の砲門から放つ《ルークガトリング》」

 フロストモンがデジヴァイスで情報を読み取る。

「一斉攻撃!」

 ルークチェスモンの指示で、デジモン達が同時に動いた。

「《ハープーンバルカン》!」

「《ジャスティスブリット》!」

「《ホーンバスター》!」

「《ブレイジングアイス》!」

「《ロイヤルナッツ》!」

「《ハイパーヒート》!」

 四方八方からデジモンと射撃攻撃が迫る。

「みんな、俺の近くに!」

 ライノカブテリモンが叫び、角を振り上げる。磁場がミサイルや弱いデジモンを弾き飛ばした。

 磁場を突破してきたデジモン達と、十闘士が武器を交える。

 俺の周りにもデジモンが群がってくる。鎧の間から炎を吹き出し、敵をまとめて炎の渦に巻き込む。

「《フレイムストーム》!」

 敵に次々とデジコードが浮かぶ。飛んで戦場を離れ、デジコードをスキャンする。

 顔を上げると、戦況を見守るルークチェスモンと目が合った。

「手の空いている者は上空の炎の闘士を狙え!」

 その指示に、地上から一斉に弾丸やミサイルが飛んでくる。俺は高度を上げ、複雑に動いて回避した。避けきれなかった攻撃が羽や鎧を削る。

「ぐっ」

 動きが鈍った俺に、ルークチェスモンが腕の砲門を向ける。

「《ルークガトリング》!」

 弾丸の嵐が鎧を突き抜ける。痛みに息が止まり、頭がぐらついた。

 あ、と思った時には地面に体を打ちつけていた。起き上がる暇もなく、腹を蹴り飛ばされる。耐えきれずに、進化が解けた。

「ごほっ……」

 腹を押さえて、どうにか上半身を起こす。的確な攻撃の大元はルークチェスモンだ。こいつさえ倒せば十分勝てる。分かっているのに相手に振り回されて、思うように動けない。

 進化の解けた俺に対しても、ルークチェスモンは攻撃の手を緩めなかった。

 敵の巨体がまっしぐらに突進してくる。

「《ストロングフォールド》!」

 ダメだ、動けない!

「拓也!」

 横からガルムモンが飛び込んできた。俺の上着を引っつかみ、力強く跳ぶ。

 が、一歩足りずに下半身を突き飛ばされた。無茶苦茶な回転をしながら、俺もろとも地面を転がる。俺が起き上がった時には、輝二に戻ってしまっていた。

 フロストモン達は乱闘の場から抜け出せないでいる。ルークチェスモンが、文字通りそびえる塔のように立ちはだかった。右腕の砲門が目の前に突きつけられた。

「ユピテルモン様の命により、ここで始末する」

 やっぱりユピテルモンの命令か。

「ディアナモンが、お前達の世界から逃げたのは知ってるだろ? どうしてお前達はまだユピテルモンに従っているんだ!」

「お前達の世界が滅びたのは、ユピテルモンが土地を破壊するウイルスを使ったからだ。俺達はその証拠をつかんでいる」

 俺が大声を上げて、輝二が冷静に説得しようとする。

 砲門の狙いが少しだけ揺れた。

 けど、ルークチェスモンの表情は変わらなかった。

「軟弱者の神や敵の言うことなど信じはせん。ユピテルモン様は八百年以上も世界を治めてきたお方だ。天地が崩れても、あの方が間違うはずがない」

 その発言を補強するように、左腕の砲門も突きつけてきた。

 俺は奥歯を食いしばって、デジヴァイスを握りしめた。

 ここでやられるわけにはいかないんだ。

 信也のためにも、

 このデジタルワールドのみんなのためにも、

 ネプトゥーンモン、

 ユニモン、

 アポロモン、

 ディアナモン、

 二つの世界の平和を願ったデジモン達のためにも。

「負けるかあっ!」

「うおあああっ!」

「《ルークガトリング》!」

 俺と輝二の叫び声は、砲撃の重低音にかき消された。




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拓也サイドは絶賛修羅場です。ダブルスピリットを得た十闘士が少数精鋭なので、苦戦させるために物量で攻めてみました。

途中は「技名でデジモン分かるかなクイズ」です←

敵を一体一体分析している暇はないけど、色んなデジモンがいるということを伝えたい、と迷った結果こうなりました。


リンクスはいまだに進化素材が集められず、成熟期止まりです(汗)年度末で忙しくて、リアルの方のスタミナが足りない……。

明日から新年度ですね。新生活を始められる方もいらっしゃると思います。慣れない事も多いでしょうが、頑張ってください。星流もデジモンと特撮を励みに(笑)東京2年目頑張ります。

【追記】tri第参章のビジュアルがホームページ公開されましたね。いやあ、タノシミダナー(笑)