第133話 未知なるハイブリッド! 闘士スーリヤモン | 星流の二番目のたな

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デジモンフロンティアおよびデジモンアドベンチャー02の二次創作(小説)中心に稼働します。たまに検証や物理的な制作もします。
続き物、二次創作の苦手な方はご注意くださいませ。

 揺れ動くデジコードをデジヴァイスに押し当てる。激しい火花とともに、俺のデータが読み込まれる。それがデジヴァイスの力と一つになって、あふれたデジコードが俺を包み、体の中に流れ込む。


「ホロウスピリット・エボリューション!」


 アグニモンとヴリトラモンの鎧を身にまとう。

 額にはこぶし大の白い宝玉。

 背中には炎が形をとった四枚の羽。

 デジヴァイスの画面から一振りの長剣が飛び出し、右手でつかみとる。



スーリヤモン

「スーリヤモン!」


 ノゾムが小さく息をのむ。

「信也が、進化した!」

「ああ」

 短く答える。それ以上の言葉はいらない。戦える力が体に満ちている、その事実だけで十分だ。

 ノゾムをかばえる位置に立ち、敵と向かい合う。俺より大きかった相手も、今は見下ろせる。

 新しい脅威を目にしても、敵の能面のような顔は変わらない。鞭を振り、いばらの旋風を繰り出す。

「《ウィンドオブペイン》」

 広範囲への旋風撃が迫る。ノゾムを傷つけるわけにはいかない。神剣アパラージタの切っ先を床に向け、そこから斜めに振り上げる。

「《ガーンディーヴァ》!」

 神剣から放たれた炎の斬撃が旋風とぶつかる。熱風が吹き荒れ、いばらは跡形もなく焼き尽くされた。

 それを見た敵が地面を蹴る。体が回転し、両手の鞭が高く鳴る。接近戦に変えてきたか。しなる鞭を剣で何度もいなす。

 不思議だ。剣が手に吸いつくように扱える。剣なんて持ったこともないのに。初めて進化した姿のはずが、体も武器も自分に馴染んでいる。

 視覚で捉えた鞭を一本、根元から切り落とす。手のスパイクボールまで真っ二つになって落ちた。敵がいったん距離をとる。熱を持つ刃に切られ、スパイクボールは切り口から土気色にしなびていく。敵は使い物にならなくなった武器を外し、無造作に放り捨てた。

 その顔に剣を向け、問いかける。

「お前、何故ノゾムを追っていた。ノゾムをどこから連れてきた!」

 現在の戦力は明らかにこちらの方が上。優位に立っている今なら情報を引き出すこともできるはず。

 敵は身動きせず、静かな一瞬が過ぎる。背後のノゾムの緊張した息遣いが聞こえる。

「どうした。技は言えるんだ。話せないはずがないだろう」

 柄を握り直し、再度聞く。

 それに応えて、仮面に半分隠れた唇が動く。


「《ギルガッメシュ・スライサー》」

 足からつむじ風を巻き上げて加速。残った鞭を硬化し、俺を切り裂くため振り下ろす。

「ちっ」

 答える気がないのなら、倒すしかない。

 鞭を剣の峰で弾き、柄を両手で握る。神剣に俺の体内の炎を送り込む。それが剣の熱と一つになって、刃が赤く燃え盛る。暗かった室内が昼間のように照らされる。

 全力を込め、上段から一気に振り下ろす。

「《トリ…シューラ》!」

 一文字に斬られた敵が、天を見上げて吠えた。いや、そう見えただけで声は全くあげなかった。動きが苦しげであるだけに余計不気味だった。緑の仮面にひびが入っていく。

 仮面が粉々に砕け散った。同時に、全身も光の粒子となって弾け、消えた。デジヴァイスを構えかけていた俺は驚きに止まる。

「デジコードが出ない」

「分身だったのかもしれない」

 振り向くと、ノゾムが壁にもたれて何とか座るところだった。分身の場合データの結びつきが弱く、ダメージを受けるとデジコードが出ずに砕けると聞いたことがある。

 すると問題は、あれが誰の作った分身だったかだが。今の所、十二神族の誰かだろうという以上のことは推測できない。

 ただ、一つだけ残されたものがあった。敵のいた場所に浮かぶデジコードの球だ。デジタマの代わりのように、これだけが砕けずに残った。もしかすると手がかりになるかもしれない。

 俺は改めてデジヴァイスを構えた。


「悪しき者の魂よ、天駆ける炎が浄化する! デジコード・スキャン!」


 まばゆい光と共に、デジコードが吸い込まれた。




☆★☆★☆★




信也の新しい進化の登場です! 前回のフロストモンを台座に乗せるのがあまりにも面倒だったので、台座はもうやりません(笑)

以下、スーリヤモンの設定です。


スーリヤモン

レベル:ハイブリッド体

型(タイプ):魔人型

属性:ヴァリアブル

ハイブリッド体でありながら元となるスピリットの存在が確認されていない、謎のデジモン。アルダモンに近い外見をしているが、その攻撃力は同等か、アルダモンを上回るともいわれている。両腕のルードリータルパナに代わり剣を装備しており、剣げきを中心に戦う。

神剣アパラージタはそれ自体が炎を宿しており、振るだけでその力が衝撃波となって飛び、敵を焼き尽くす。必殺技は炎の衝撃波を飛ばす《ガーンディーヴァ》と、スーリヤモンと剣の力を全開にして敵を切りつける《トリシューラ》。



掛け声は迷った末に「ホロウスピリット・エボリューション」になりました。まだ謎の多い進化です。


……でも、このデジモンの一番すごいところは「前話書きあがった時点で、まだ技名も戦い方も決まっていなかった」ところかもしれません。


外見だけはだいぶ前に書きあがっていて、「剣で戦う」とだけは決まっていたんですが。

何が大変って、元ネタ探しです(汗)まず原型にしているアルダモンの元ネタを総ざらいし、そこから関連してスーリヤモンの設定を詰めていくという。でも星流はインドの神話詳しくないし、ヒンディー語分からないし。参考資料を探すのも一苦労です。


アルダモンの武器「ルードリータルパナ」、技の《ブラフマストラ》《ブラフマシル》は聖典などに出てくる武器だそうです。

なので、種族名は太陽神スーリヤから。スーリヤは「アグニの目」とも呼ばれるそうです。武器の「アパラージタ」は剣、技の《トリシューラ》は神の三叉戟、《ガーンディーヴァ》は強弓の名前からそれぞれ取りました。

ネットの情報中心で組んだので、変なところがあるかもしれません(汗)


キャラ設定 も更新しました。信也の項目追記、ノゾムの項目追加。

※ここ数日、何故かこのサイトの「お気に入りブログ」が表示されなくなってしまいました。その辺の設定をいじった覚えがないので、原因不明です(汗)もう少し調べて復旧させたいと思っています。m(__)m