福島紀行 ~鏡石町編~ | 旅する書道家 Simple life☆style

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書道家 千葉清藍(ちばせいらん)のシンプルライフをつづります

鏡石町には、悲しい歴史があります。鎌倉時代、追放された夫を探し、旅に出た妻が、この地で夫の死を知ります。夫との再会のために化粧を直した鏡を握ったまま、妻は沼に入り、後を追ったという悲話です。


この沼は、蜃気楼現象が起こる場所でもあり、松尾芭蕉も「奥の細道」の中で、曇っていたために見られずに残念だった気持ちを記しています。


私は朝もやの中、蜃気楼こそ見られませんでしたが、沼が凍って木々を映し出す様子に、恐怖感はなく、悲話の中の鏡を連想しました。


女性が好きな男性に会う前に化粧直しをする姿は何百年、何千年も変わらない輝く瞬間だと思います。その瞬間を書にしました。




Simple life☆style-鏡沼

私はこの歴史を「悲話」だとは感じていないのかも知れません。夫の死を知った時の悲しみは計り知れませんが、夫を探す旅がまだ終わっていなかっただけなのだと思います。