未来にどんなに壮大でロマンチックな夢を抱いていようとも、過去の輝かしい栄光やドン底の悲劇にどんなに囚われていようとも、私たちはいつも『今』を生きることしかできない。
『いま』という地点から進むことしかできない。
問題は、あなたが未来(前)を向いて今を生きているか、過去(後ろ)を向いて今を生きているかだ。
大切なのは、〝向いている方向〟である。
未来か過去、どちらに向いて今、立っているか。
私たちは、未来(前)を向きながら今を歩むこともできるし、過去(後ろ)を向きながら今を歩むこともできる。
ずっと過去の方を向いて前に進む人は、過去しか見えない。
しかも、過去に起きた〝出来事〟ばかりがクローズアップされ、その過去にどんな意味づけを施したかということは、全く考慮に入らない。
私たちは、前を向いて今を進むからこそ、向こう(未来)に何があるのかわかるし、前を行く人を追いかけることもできる。
あなたが前(未来)さえ向いていれば、向こう(未来)からチャンスがやってくる。
チャンスは人が運んでくる。
後ろを向いて進んでいると、チャンスはいつも通り過ぎた後だ。
「チャンスの神様が前髪しか生えていない」というのは、こういうことだ。
前からやってくるチャンスの神様の前髪は、あなたが前を向いて向いて歩いていなければ掴むことはできない。
「チャンスは、未来からしかやって来ないよ」ということだ。
後ろ向きに前に進んでいては、チャンスの神様の前髪にさえ気づかない。
つまり、それがチャンスかどうかさえわからない。
どんな人だって、事実として今この時を生きている。
しかし、前を向いているか後ろを向いているかで、今を生きる意味が変わってしまう。
幸せは「今」しか感じられない。
人が幸せを実感するのは、「あなたが前を向いて今を歩んでいるとき」だけだ。
やりたいことが見つからないというのも、過去(後ろ)を向いて歩いているからだ。
未来の向こうのほうに、何やら楽しそうなものが見える。そこまで歩きたいと思う。
この時、あなたのその道中は、さぞかし幸せであるだろう。
私がずっと変わらず持ち続けているテーマは、『今ココを生きる』ということ。
より精確に言えば、『今ココを、〝前を向いて生きる〟』ということだ。
前を向いて今を生きるからこそ、今が楽しく、幸せになる。
未来を向いて今ココを生きる時しか幸せを感じられないと実感しているので、私はこのテーマを大切にしている。
それにしても、「未来」と「過去」という漢字を発明した人は天才だ。
未だ来ないから「未来」、過ぎ去ったから「過去」。
私たちは常に、過ぎ去った過去と未だ来ない未来の間=「今」を生きている。
時間という川の流れは、未来から過去に向かって流れる。
一方、私たちは、その時間の流れに逆流するカタチで、未だ来ない未来に向かって歩いている。
チャンスも夢も何もかも、未来から流れてくる。
一方私は、未来に向かって歩く。
夢が私に近づいているのか、私が夢に近づいているのか、わからない状態。
大切なのは、私が前を向いて一歩一歩進まなければ、夢は近づいて来ないということだ。
未来を向いて今ココを生きるのは、決して生易しいことではない。
向こうからイヤなこともやって来たりする。
それでもなお、後ろを向かずに、前を向いて今を生きていけるか。
「未来を向いて今を生きる」のだから、過去はどうでもいいのかというと、そんなことはない。
私は過去も大切にしている。
「今」の私は、未来から見れば最年少だが、過去からみれば最年長である。
最年長(ベテラン)の私と、最年少(新人)の私が同居するのが、「只今の私」。
最も経験を積んだ私が、最も新人として、今を生きている。
最も若い私が、最も年を重ねた者として、未来に向けて生きている。
「今」とは、最も若く、最も年寄りな私が生きている刹那である。
「今日」というこの日は、未来から見れば最も若い日であるし、過去から見れば最も年寄りな日である。
仕事柄、整体師・トレーナーとして何万人という人をみてきたが、年齢問わず若い人は、やはり、未来を向いて今を生きている人である。
未来から見たら、今は一番若いのだから、当然だ。
一方、同じように今を生きているのだが、過去を向いて今を生きている人は、元氣・生氣(精氣)を失っている人が多い。
過去から見た自分は、常に一番年を取っているのだから、仕方がない。
若返りや健康体を望むのであれば、未来を向いて今を生きることだ。
若々しくいたいのであれば、新鮮な気持ちでいたいのであれば、前を向いて今を生きることだ。
方法は色々とある。
スティーブ・ジョブズが愛した禅も前向きに『今ココ』を生きる思想・哲学であるし、本来ヨガも気功も武術も、その具体的方法論でもある。
ハピトレも、その1つの思想であり、方法である。
人生は、上に上がろうとしなくていい。
ただ、前を向いて、前に進めばそれで良い。
立甲 健一郎