いきなりですが、僕はタイトルにあまりこだわりがないです。

なのでクライアントである版元と意見が違った場合には、まず僕のほうが折れます。

基本的に衝突はありません。

タイトルだけでなく、プロットからキャラクターからすべてそうです。

できる限り、編集部のほしいかたちに近づけるように努力しています。

もちろん一定のおもしろさは担保しつつね。

プロである以上たくさんの読者に届いてなんぼだと思うし、著者として僕の名前が表に出てはいるものの、著作はあくまで版元の商品であり、かかわってくれたチーム全体の作品だと考えるからです。

いろいろな考え方があると思うけど、与えられた制約の中でクオリティを保つのがプロだと、僕は思うので。

よく「大人ですね」とか言われるけど、別に物わかりが良い人を演じているつもりはなく、「そっちのほうが売れるとおっしゃるならそっちでかまいませんよ。ただしきちんと読者に届けてくださいね。注文通りに仕上げたのに売れなかったら、それは完全にそちらの責任ですよ」というスタンスなので、実は一番怖いタイプの人なんだと思います。

 

という感じなので編集部側にタイトルのアイデアがある場合はほぼすんなり決まるのですが、困るのが具体的なアイデアがない場合です。

とたんに途方に暮れます。

タイトルにこだわりがないのは、自分のタイトルをつけるセンスに自信がないことの裏返しでもあるのです。

最新刊『君を一人しないための歌』の場合、『バンドやろうぜ』という仮タイトルをつけていました。

ネット書店などでも当初は仮タイトルのままアップされたりしてたみたいです。

『バンドやろうぜ』というのはご存じのかたもいらっしゃるかと思いますが、かつて宝島社から発行されていた初心者向けのプレーヤー誌の名前です。

その中にバンド告知板というコーナーがあって無料でライブの告知などができたので、上京したてバンド組み立てのころはせっせと毎月写真と告知文を送っていたものであります。

若かりし日の僕の写真と僕の書いた文章が、一時期毎月掲載されていたのです。

物持ちの悪い僕の手もとにはいまや一冊も残っていないんだけど、そのうち古本を探して一冊ぐらい持っておきたいなと思っているのですが。

それはそうと、この雑誌はすでに休刊なので自作に同じタイトルをつけても問題はなかったはずなのですが、今日びナウなヤングには『バンドやろうぜ』は雑誌じゃなくてゲームなんですね。

スマホで『バンドやろうぜ』というゲームがあって、けっこう人気のようです。

登録商標ではなさそうですが、さすがにまったく同じタイトルをつけてはややこしくなりそうということで、別のタイトルをつけることになったのです。

散々悩んだけど、ギリギリのタイミングで天啓のようにおりてきました。

っていうかTSUTAYAのDVDプレーヤーから聞こえたんですけど。

「君を一人にしない!」がなんの映画の台詞なのか、ご存じの方は教えてください。

7月にDVDが新作レンタルのやつのはずだから、特定するのはそんなに難しくないはずなんだけどね。

 

あ、本日発売の『このミステリーがすごい!』大賞作家書き下ろしBOOK vol.18で、エンマ様シリーズの新作『ヴィジュアル・クリフ』がスタートしました。

6作目にしてがっつり長編になる予定で、エンマ様がかつて師事した元大学教授と対決します。

キネシクスVSキネシクスです。

どうぞよろしくお願いします。

 

最後に。

ここで告知したことはなかったけど、最近横浜で出版業界の交流会なるものを企画しています。

これまで2回やってて、3回目を2017年9月20日(水)19時半から横浜近辺で開催します。

本にかかわる仕事をしていれば誰でも参加可です。

かまえない気楽な集まりですので、ぜひお越しください。

受付は9月15日(土)24時まで。

お問い合わせはこちらまでお気軽に。

 

さ と う 0103006