実際にはこんなにすぐ思い浮かんだわけじゃありません。

 

ニッチを突いてヘビメタバンド物にしよう!

→ ニッチ過ぎて却下

 

流行りのタイムリープと組み合わせよう。過去に戻って若い頃の父親とバンド組む的な。

→ バンド物という焦点がぼやけるのでは?

 

それならやっぱりストレートな青春バンド物か?

→ パンチが足りない。

 

バンドにこだわりすぎるのはよくない。

だいわ文庫レーベルから出てるラインナップとカラーを揃えて手堅くセールス狙いで、お店屋さんものにしよう。 

映画館ものなんてどうだろう?

イケメン映画館主が持ち込まれる謎を解き明かしていく、みたいな。

→ 編集O君、喜々として持ち帰るも会議で撥ねられる。

 

 「いろいろあったけど、やっぱり高校生ロックバンドで行きたいです!」(編集O君) 

 

うーん、振り出しに戻ったか。

僕もクライアントの希望を最優先にはしたいんだけど、そんなありきたりなものを出してどうやってほかと差別化するつもりだよ……

 

待てよ。

 

そういや自分がバンドを組もうとするとき、単身で上京した身分だったからバンドメンバー探しが一番大変だったよなあ。

メン募チラシとかに書いてある電話番号に電話して見知らぬ人間と初めて会うときのドキドキ感とか、互いのキャリアを披露し合って早くも始まるマウンティング合戦の駆け引きとか、いま振り返るとゲームみたいでおもしろかったかも。 

めちゃめちゃやばいやつ、いっぱいいたもんなあ。

実際に活動を始めてからもエキセントリックな人間にはたくさん出会ったけど、そういう人たちも、他人と一緒にやっていくだけの最低限のコミュニケーション能力やら協調性やらはそなえていたのです。

メンバー探しの段階では、いやいやどう考えてもあなた人と一緒になにかを作っていくなんて無理でしょ、みたいな人、いたもんね。

 

そうだ!

ステージを目指すなんてありきたりな設定じゃなく、バンド結成という低いラインをゴールに設定してみたらおもしろくないか!?

 

……などという数ヶ月の紆余曲折を経て、本厚木のミスタードーナツで元書店員のNさんとだべっているときに思いついたのでした。

Nさんインスピレーションをありがとう。

この場ですみませんが謝辞を送らせていただきます。

 

そして本厚木から帰宅してすぐに編集O君にメールし、それまで何度か撥ねられていた会議もすんなりクリア、その後は比較的トントン拍子に進んだのでした。

そして晴れて皆さんのお手元に届けられる状況になりました。

『君を一人にしないための歌』。

 

 

あらー良い感じのカバーじゃないの!

カバーイラストは人気イラストレーターの田中寛崇さん、カバーデザインはalbireoさんです。

 

そして恒例のPV。

今回はいつもように僕が作ったものではありません。

なんと、編集O君がお兄さんと一緒に作った、兄弟合作PVです。

それなのに異様にクオリティの高いプロっぽい仕上がり!

と思いきや、お兄さんは実際にそういうお仕事をされている方だとか。

このPVを店頭で放映してくださる書店さん、いらっしゃいましたら大和書房の営業さんにお申し付けくださるか、僕のほうに直接ご連絡くださってもかまいません。

こちらまでよろしくお願いします。

 

そしてすでに何店舗か書店さんにお邪魔する予定になっているのですが、ほかにも佐藤青南に来て欲しいというお店がありましたら、できる限りご要望にお応えしますのでお気軽にお声がけください。

サイン色紙が欲しいなど、販促にかんするお問い合わせもお待ちしています。

すごい地方の書店さんとかも、行ってみたいな。

こういう機会がないとなかなか訪れない場所とか。

だいわ文庫って文芸のイメージがないから、なかなか書店さんの棚で良い場所をいただけないと思うんですよ。

なので良い場所に並べて応援してくださる貴重な書店さんではちゃんと売れてくれるよう、僕からも全面的に援護射撃していきたいと思っています。

 

というわけで『君を一人にしないための歌』、皆さまのお力でぜひとも続編が書ける状況になりますよう、なにとぞよろしくお願いします!

 

さ と う 0103006