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お久しぶりの更新になってしました。
こんにちは、菁南です。
前回の更新から間が空いたのは、例のごとく描き貯めた4コマのストックを使い果たしてしまったから。
2月末あたり忙しくなりそうなのはわかっていたんだけどな。
文章だけでブログを更新するなら執筆の合間にでもちょいちょいとできるのだけど、そんなの誰も期待してないだろうし。
って、ちょっと小説家としてはおかしな発言してますが。

まーまーとにかく、本日は『ウーマン劇場』発売日でございます。
今月から『おさきもち』という新連載も始まって、見本誌をいただいたときには「え? 高橋由太さんにも声かけてたの!?」と勘違いしてしまいましたよ。

ウーマン劇場 2013年 04月号 [雑誌]/竹書房

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いよいよ第一出場のクライマックス。
今回はアクションシーン満載です。
よろしくお願いします。

さて、それはそうと更新を休んでいる間にいろんなことがありました。
僕が通っていたコインランドリーが2月末で閉店してしまったとか、長年愛用していた座椅子が破れて、綿がちょいちょい出てきたのを騙し騙し使っていたのだけど、ついに骨組みの金属がむき出しになってしまい、すわると冷たくて「あひ!」と声を出してしまったとか、100円ミスドを調子に乗って買い過ぎてしまい、丸二日間ドーナツだけで過ごしたとか。

あ、こんなこともありました。
このミス出身作家で初めて大藪春彦賞を受賞された柚月裕子さんの授賞式に行ってきたとか、その翌日にこのミス作家さんたちと食事会やったとか。

どの話が聞きたいですか?

やっぱりコインランドリー話っすかね?

オッケーです。

じゃあ、100円ミスドの話で。

嘘、授賞式~このミス会の話で。

ひょんなことからお誘いいただいたので、3月1日、大藪賞の授賞式に行ってきたんですよ。
場所は東京會館という、なんかハイソな雰囲気のところでした。
芥川賞直木賞の授賞式も、ここでやるらしいです。
僕もいつかは大きな賞を!!
とか思ってたけど、会場のあまりの格式にドン引きし、自分がいかに高望みしてたのかを思い知らされました。
ひえ~、世界が違い過ぎるわ……だって僕、たった一年前までコンビニで「お弁当あっためますか?」とか訊いてたような人間ですよ。
無理無理無理!!
記帳を済ませて会場へのアプローチを歩いてても、ずらりと並んだたぶんこれは大藪賞を主催する徳間書店の皆さんだと思うんですが、いらっしゃいませとか頭を下げてくるわけです。
いやいや僕になんて頭を下げないでください。
僕なんてしょせんしがない元コンビニ店員ですから。
とか恐縮してしまうのです。

どうやら会場には600人近い関係者が詰めかけていた模様。

柚月さん、よくあんなに堂々とスピーチできるなあ。
ほんとすげえなあ。
『検事の本懐』、たしかによかったもんなあ。
などと、それこそ調子の悪いときのピッチャーにはホームベースが遠く見えるように、ステージが遥か遠くに見えてくるのです。

検事の本懐 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)/宝島社

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ちなみに僕、『検事の本懐』は実は読んだけど買ってなくて。
宝島社での打ち合わせのときに茶木さんから「あれ読んで参考にしろ」と言われ、後日担当さんから送っていただいたものを持ってます。
購入してないのは申し訳ないけど、あれ以外のこのミス作品で「参考にしろ」といわれたものはないから、宝島社がよほど自信を持っていたのだなあとわかりますね。

会場では宝島社の局長Iさんに「うちの授賞式は来ないのに他社のにはいらっしゃるんですね」とちくりとやられたり、茶木さんから「おまえ授賞式も来ないでなにやってんだ」とお叱りを受けたりしながらひたすらビュッフェの行列に並んでました。

するとふと通りかかった見覚えのある顔。
TSUTAYA BOOK STORE有楽町マルイのK俣さんです。
「またサイン本作りにきてくださいよー」
「行きます行きます! 明日行きます! 明日人形町でこのミス飲み会があって日比谷線乗るんで、途中で寄ります!」 
というわけでTSUTAYA BOOK STORE有楽町マルイさんでサイン本30冊作らせていただきました。
よろしくお願いします。

ほかには有楽町三省堂の新井さんもいたり(ちょっと話しただけで食べ物の匂いに吸い寄せられるようにどこかに消えていった)、このミス作家の七尾さんもいたり(女性を二人連れて妙に場慣れした感じ)と、なんだかんだで知った顔を見つけて話すことができました。

そして二次会。
そう、散々ガチガチになっておきながら、“作家は参加費無料”の言葉に釣られ、二次会にまで参加してしまったのです。
一次会が終わると外は大雨。
東京會館の玄関前には、タクシー待ちの長蛇の列ができています。
落ち着くまでしばらく待つか。
と思ってロビーの一角のソファーに腰をおろし、二次会の会場までの道順が書かれた地図を見ているうちに、どうやら地下を通って会場のほど近くまで行けることが判明。

あ、じゃあ行ってみよ。

と思ったのが、いつもながらのことですが運の尽き。
道に迷った挙げ句、間違った出口から飛び出して濡れては戻りみたいなことを繰り返しているうちに自分がどこにいるのかわからなくなって、最後には結局タクシーを拾う羽目になったのです。
地下の会場へ降りる際に濡れた地面に滑って何段か階段を転落して腰を強打しながら、着いたときにはすでに乾杯も終わっていました。

そして二次会は人数が減ったぶん、より“濃い”人たちが集まっている様子。
もはや書店員さんの顔見知りもいません。
半端ない場違い感です。
仕方がないので食べることに専念しようと、柚月さんへの挨拶を済ませた後は端からビュッフェの皿を平らげていました。

するとふと歩み寄ってきた宝島社の編集Sさん。
「佐藤さん、同じ賞の出身者としてなにかスピーチを……」
「いや無理無理! 僕のことなんか誰も知らないし!」
恐れ多すぎる!!
代わる代わる柚月さんへのお祝いと激励のスピーチをしているのは、たぶん大作家の方々です。
たぶん、と書いたのは、僕が無知なせいでその方々のことを存じ上げないからです。
でも雰囲気でわかります。
たぶん大作家。
そんなところに僕なんかが出ていったら……と考えるだけでR-1ぐらんぷりに参加したときの寒い空気がよみがえります。
「じゃあ、誰かご紹介しましょうか?」
ぶんぶんと、首がもげそうな勢いで顔を左右に振るしかできません。
「誰か紹介して欲しい人とかいますか?」
「いません!」
「え……いないんですか」
わかんないわかんない! 誰一人わかんない!!
Sさん、僕はSさんが考えている以上に本を読んできていないし、文壇の重鎮のことを知らないんですよ!!
僕は人間なのに超人のふりして超人オリンピックに参加する『キン肉マン』のジェロニモなんですよ!!
まったく自慢にならないけど!
そんな僕の気持ちとは裏腹に、徳間書店の編集さんが気を利かせて誰かを呼びに行きます。
立ち上がり、こちらに向かってくる恐らくは文壇の重鎮らしき人物。
「誰ですか、あの人」
僕が段ボール箱に入れられた捨て犬だったら、誰もが拾って帰りたくなるような眼をしていたに違いありません。
「○○さんですよ」
「知らない……」
「えっ……」
絶句するSさん。
顔を知らなくても、名前を聞けばわかるだろうぐらいに考えていたのでしょう。
だから本当に知らないんだってば!!
すがるような眼をする僕に、Sさんは早口の小声でこう告げました。

「……“大”作家さんです!」

え……そんだけ!?

そんなこんなで二次会が終了し、人もまばらな会場で僕は柚月さんと編集Kさんと話しておりました。
するとそれまで外で誰かと話していたのか、会場に入ってきた茶木さんが
「セイナン、これから文壇バーに行くらしいから連れてってもらえよ」
「え……」
一難去ってまた一難。
誰も僕のことを知らないし、僕も誰のことも知らない。
この上、さらに“濃い”面子の中に放り込もうというのでしょうか。
「いいじゃない。いってらっしゃいよ」
いや、柚月さんまでそんなことを……。
「まだ上にいるからさ、くっついていけばわかりゃしないから」
「いや、いいです」
無理です茶木さん、僕のHPはすでゼロに近いです。
スカウターで確認してください。
「いいから行けって! 顔売って来い」
「無理無理無理!」
壁にへばりついての抵抗もむなしく、文字通り強引に肩を押されながら会場を出た僕は、手で追い払う茶木さんと手を振るKさん、柚月さんを恨みがましく振り返りながら、途中ですれ違って、事情を知らずに「またご飯行きましょうねー」などと呑気に声をかけてくるSさんに強張った笑顔を返しながら、階段をのぼったのでした。

地上ではそれらしき集団がたむろしていましたが、総勢5~6人といったところ。
とても茶木さんのいう「くっついていけばわかりゃしない」人数ではありません。
でもあんだけ強く言われて、結局「行きませんでした」じゃ済まないよなあ……。
というわけで、徳間書店の編集さんに「連れてってください」とお願いし、歩いて10分ぐらい?のところにある文壇バーなる場所に連れて行ってもらったのでした。

いやーすんごい緊張した~。
ほんとためになる話が聞けて勉強になったし、いい経験になったと思うけど、でもやっぱ「こんなとこに僕がいていいんだろうか?」感が半端ないんですよねぇ~。
ホステスさんがすごい近所に住んでいることがわかっても、大大先輩を差し置いて会話を広げていいものかと遠慮してしまう!!
緊張しすぎて酒の味もわからない!!
っていうのは、たんに僕がお酒飲めないだけなんですけどね、えへ。

などと口が軽やかになったのは、帰りのタクシーの中でのこと。
僕はその日の出来事を、興奮気味に運転手さんにまくし立てたのでした。
運転手さんは本が好きらしく、興味深そうにいろいろと質問してきます。
やがて自宅近くに着き、車を降りようとする僕を、

「あの……!」

運転手さんの声が呼び止めました。

「お名前を……」

「佐藤セイナンです。よろしくお願いします」

運転手さんが僕の名前を書き留めるのを確認してから、帰宅したのでした。
というわけで、大作家さんたちに顔と名前を覚えていただけたのかはわからないけど、確実に読者一人をゲットできた一日でしたとさ。

長くなったので、このミス飲み会の模様は次回に。

柚月さん、このたびはおめでとうございます~!!!



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