次回4コマは12月28日(火)更新。
ブックスタンドを針金ハンガーで自作したり、水漏れするエアコンにビニール傘で作った上戸を付けたりと、DIY精神には事欠かない男、菁南です。
ただし計画性が皆無なのが玉に瑕。
いつも直前になってばたばたあたふたしてしまうのです。
しかもそういうときに限ってアクシデントが起こるというのは、マーフィーの法則(懐かしい!)によって広く皆さまも知るところだと思います。
僕の初めての小説が書きあがったのは2006年5月31日、夕方5時頃のことでした。
このミス大賞の応募要項によると宅配便でも応募可とのこと。
その後夜9時からコンビニでの夜勤バイトを控えている僕は、とうぜんコンビニ宅配便集荷の最終時刻を知っています。
それは夜9時半頃。
つまりバイトに出掛ける際に原稿を持参していけば、5月末日消印有効の〆切には間に合うということです。
楽勝楽勝、ヨユーヨユー、と脱稿したテンションMAXでプリントアウトを開始しようとしたそのとき、事件は起こりました。
ががっ……ががっ、がががが……!!
A4の用紙を飲み込んだプリンターが、適当に落書きしてさらにぐちゃぐちゃに丸めたような紙くずを吐き出し始めたのです。
まるで僕の小説完成をあざ笑うかのように。
おまえの小説なんてどうせ落とされるよといわんばかりに。
思えばそれまでプリンターなどほとんど使ってもおらず、最後に使ったときも調子が悪くてそろそろ寿命かなーなどと考えていたのです。
よりにもよって今来たか!寿命!!
僕は迷わず家電量販店に走りました。
プリンターの修理などという悠長なことを考えていたら、〆切には間に合いません。
すると必然的に他の文学賞に応募するか、来年のこのミス大賞に応募するかということになってしまいます。
他の文学賞……って、よく知らないし!!
かといって来年のこのミス大賞に応募というのも気が長すぎる!!
そう、僕はせっかちさんなのです。
長時間プレイを要求されるロールプレイングゲームなどは、一度もクリアしたことがありません。
夕闇の自由が丘を走って走って、陳列されている中で最安値のプリンターをゲット(この時点で夕方5時半)。
帰宅!!(6時)
ドライバーをインストール!!(6時半)
なんだかんだで印字開始!!!(6時50分)
……ってか、印字遅っ!!!やっぱり最安値プリンター、印字が激遅です。
原稿用紙百枚ちょっとを印字し終わるころには、すでに8時近くになっていました。
10枚ずつぐらいまとめて穴あけパンチでこつこつ穴を開けながら、大丈夫大丈夫、8時50分までに家を出ればバイトに間に合うのだから、と焦る自分をなだめます。
ようやくすべての原稿に穴あけ終了!!
とそこで気づいたのです!!
穴を開けたが綴じるヒモが無い!!
とすれば、僕はいったい、なんのために穴を開けていたのか!?
僕はしっかり者に見られますが、けっこう天然です。
自分でも嫌になるぐらい。
そもそもこのミス大賞の応募要項には“綴じ方は自由”と書いてあるのですが、そんなところで自由を与えられても僕にはヒモ以外の綴じ方が想像もつかなかったのです。
ダブルクリップという物の存在を知るのはそれから数年後のことです。
時間はせま~る、気はあせ~るぅ~♪と頭の中に子供のころに遊んだトミーの“アスレチックランドゲーム”のCMソングを流しながら周囲を見回すと、そこにはあったのです、ブーツが!ヒモが!!
かくして僕は処女作をブーツの靴紐で綴じて応募したのです。
経験というのは非常に大きな糧になります。
その作品は一次通過こそなりませんでしたが“次回作に期待”に取り上げてもらうことができ、僕はひょっとしたらそのうち本当に受賞できるかも!?という自信と、“原稿は靴紐で綴じてもちゃんと読んでもらえる”という知識を獲得したのでした。