見て見ぬふり。
人間誰しも自分のことが1番大事。
自分の欲望を満たしてくれるのであれば、
他人は不幸になったって構わない。
そんな境地に人間はいつだってなれる。
学校のクラス内でのイジメと同じ。
いじめてる張本人ももちろんだけど
それを知っていて見て見ぬふりを
してるクラスメイトも同罪だ。
いじめられてる子がどうなろうと
わたしにはなんの関係もない、
面倒なことに首を突っ込んでこっちに
飛び火したらそれこそ自分の豊かな生活が
危ぶまれる。
だんだんと感覚が鈍ってくる。
人が傷つけられようが、殺められようが、
わたしにはなんの関係もない。
いや、本当にそれでいいのか…。
…
アウシュビッツ収容所の所長の一家が
そのすぐ隣の家で暮らしている。
奥さんと子どもたち、家政婦さんがいて
みんな何不自由なく幸せに暮らしている。
ここだけを切り取るとごく普通の
幸せなホームドラマだ。
ただ、高い塀に阻まれているとは言え、
収容所からは悲鳴や叫び声、銃声、怒鳴り声が
絶え間なく聞こえてくる。
そんな人間の命の尊さをえぐるような
行為を隣り合わせにしながら、淡々と
暮らす、これまた普通の人間たち。
…
世界中の何処かで今も戦争や争いごとが
起こっている。人が人を傷つけている。
殺し合っている。それを世界中の人間が
認識している。ニュースや映像を目にした時
ほとんどの人たちは、こんな非道なことは
あってはならないと悲痛な思いを募らせる。
でも、そこから一歩ズレるともう自分の
幸せな事だけ考えてる。自分ももちろんそう。
この映画は、愚かな人間のクズの部分を
再認識させるための訴えなのかと、考えて
しまう。