盲目的な恋と友情 | kogumaのブログ

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容姿も良くて、誰とでも気軽に

話せてすぐ友だちになって打ち解ける。

周りに集まってくる人も多い。もちろん

異性からもちやほやされる。


そんな人を目の当たりにすると、

毛嫌いし、蔑み、妬み、嫌な部分を

探して自分を正当化し、張り合ってしまう。


自分には持ち合わせていないものを

嫌というほど見せつけられると、

人間卑屈になってしまう。実は、

あーいう人になりたい、っていう

裏返しであり、憧れの存在だという事に

気がつかず。



辻村深月の小説「盲目的な恋と友情」

では、第一部が容姿端麗で知的な、

同性からも慕われる、そんなお嬢様が

ある男との恋に落ち、溺れ、転がり落ちて

いくお話。


第二部は、その女性のルームメイト、

ちょっと卑屈なコンプレックスのある

思い込みの激しい女性が

自問自答し親友の在り方を追求していく

お話。



その二人の共通の友人?の美波という

女性が実はこの物語のキーマンになってる

気がする。コミュ力あり、起用にそつ無く

世間を生き抜いている女性。

もちろん当人にしてもいろいろ悩み事も

あるのだろうけど、はたから見ると

世渡り上手っていう感は拭えない。





そんな様々な人たちの境遇や性格、

力の持ち具合などが絡み合って

人間関係が複雑化していく。


相手からどう思われてるか。

周りからどう見られているか。

誰しもとても気になるところ。

ちょっとしたひと言で、思い悩んだり

嫌いになったり、好きになったり。

優劣を考えたり。

「わたしはあの人より上、いや下?」

「わたしの方が絶対強い想いがあるし。」


複雑な人間の心理をなんで

この作家はわかりやすく文章に

出来るのだろう、っていつも思う。

人間の奥底に潜むブラックな部分を

ひっぱり出して露わにする、

秀逸の小説。