今書いているAKBeats!ですが、
3月2週目分(3/9月~3/13金)の更新はリアル事情のため、お休みさせてもらいます。
書き始めて、毎週平日(月~金)更新!でやってたのですが、
その週だけは、どうしても乗り越えなきゃいけないことがリアルであるので
そちらに集中したい為です((((;゚Д゚))))
3/6の金曜日まで更新したあと、
一時お休みもらって、3/16、月曜日からまた再開します!
「もーほんと何が起きたのかわかんなかったよー」
自身の経験を語るのは、柏木由紀。
「いきなり目の前でその姿を見せられたこっちの身にもなってよ~」
柏木の隣をとぼとぼ歩くのは指原莉乃。
二人は意識がなくなる前に起きたと思われる事故の話をしていた。
「にしても、ここどこなんだろうね~…なんか学校っぽいし」
柏木は辺りを見渡しながら指原に聞く。
「うーん、私にもわかんないや…。どうみても新潟じゃないよね」
指原は当初行く予定だったはずの新潟かと思ったが違うような気がした。
「というか事故起きたんだから、新潟行ってる暇ないはずだよね」
続けて言う指原。
確かに事故ったんだから、新潟に行けるはずないし…
だいたい衝突音がしたと同時に一瞬痛みを感じてそのまま目の前が真っ暗になったんだから
その状態で新潟で仕事できるはずないじゃん。
一番最初に被害にあった柏木は一人思う。
「まあ、さっしーがあそこから出てきてよかったよ。こんな知らないとこで一人で不安だったしね…」
柏木は指原が出てきたところに指をさした。
「ほんと地上に出てこれてよかったよ!あの中なんか迷路みたいだったもん!」
迷路だったみたい。そう言う指原が今いる場所が地上だとすると、指原はここより下、つまり地下から出てきたのだ。
「とりあえずどこにいこっか?」
柏木は指原にたずねる。
「どこにいけばいいんだろう…」
指原も柏木同様迷っていた。
「んー……誰か人がいればいいのにね~……きゃあ!!」
またキョロキョロと周りを見渡した柏木が急に大きな声を出す。
突然の大きな声に驚いた指原は
「えっ!?どうしたのゆきり…ぎゃあー!!」
柏木に続いて同じく大きな声を出して驚く。
柏木と指原の視線の先にはいつからいたのか、男の子がすぐ後ろに立っていた。
よく見ると、この学校のだと思われる制服を着ていた。
「ひいいい!南無阿弥陀仏…南無阿弥陀仏…」
指原は尻餅をついて、その状態で必死に両手を合わせぶつぶつつぶやいている。
「ちょ、ちょっとさっしー!失礼だって!生きてる人だよ!」
柏木は指原を支え、叫ぶように喋る。
指原は目の前の男性を幽霊だとでも思ったのだろうか?
「おい、女」
目の前の男は、なにやら持つ部分の長い斧のような物を持っている。
ハルバードってやつだろうか。
「NPCじゃなければ、名を名乗れ」
そう言うとそのハルバードを柏木達に突きつけてきた。
なにこれ脅されてるの…?
「な、なんかやばいよゆきりん!」
柏木の腕を引っ張りながら逃げようとする指原。
「う…うん。なんか怖いかも」
柏木は指原と目を合わせて、うん…と1回頷く。
そして男性に背を向けて、走って逃げる。
「あっ、待て!」
走って逃げだした柏木と指原を追いかける男。
「いやーーー!誰か助けてーーーーーーーーー」
人気のない場所で指原が大声を出して助けを求める。
「やばいよ!あの人追いかけてきてる!さっしーもっと早く走ってよ!」
柏木はだんだん走るスピードが落ちてきた指原に叱咤する。
「む、無理だよ~~もう私走れないよ~…」
走ってまだ数秒だというのにこいつは…。そんなこと思う柏木。
「ならあの人に殺されたい!?」
柏木は、指原に睨みをきかせて怒り、指原の手を強く握って引っ張るように走る。
「もうきついってば~…ってひぃ!!ゆきりんが怖い!」
手を引っ張られても弱音を吐く指原は、柏木の顔を見たあと叫ぶ。
「本人の目の前でそんなこと言うな!」
柏木はさらに叫ぶように怒ると更に走るスピードを早めた。
だが、どうしても走るのをやめる事になる。
「ひいいい!!どうしようゆきりん!行き止まりだよ!!」
「さや姉のお母さんたち今大阪から向かってるって。」
美優紀は彩に教えた。
「さや姉、あの事故のあと、ずっと眠ってたんだよ」
あの事故のあと…。事故ってなんだろう?
「でも、本当に生きててよかった…」
美優紀は同じことを繰り返す。
事故について、ゆっくりと考え始めた彩はすぐ答えにたどり着いた。
バスの衝突。最後に見えた、大型トラック。
ああ、やっぱりあれで事故にあったんやな。
あれでよー生きとったわ。
そう思ったとき突然視界が暗くなる。
彩はまぶたが重くなり目を閉じたのだが、彩はもうこのことにすら気づけなかった。
自然に閉じたのだ。
ピーッピーッピーッ!!
彩につながれている医療器具から音がなる。
「え…!?さや姉!?」
ガタッ!と大きな音を立て、イスに座ってた美優紀が立ち上がる。
美優紀が驚いて、彩をゆする。
「やだ!いやや!さや姉!!起きて!」
美優紀が彩の肩を揺する。
普通こういう時にゆすっちゃあかんやろ…。
揺するなら腕にしときよ…
そんなこと思う彩だったが、声に出して伝える気力はもう残ってなかった。
美優紀が彩の肩を揺する理由。それは…
彩は自分の体を見れていないのでわからないが、
事故の衝撃で美優紀がいる方の腕は…なかったのだ。
反対側のずたずたになった腕には医療関係のモノがずらりと付けられているが。
腕がないだけじゃなく、体中、両足もずたずたになっているのは美優紀は教えずにいた。
教えるとせっかく目を覚ましてくれた彩がパニックになりそうだから。
美優紀としてはあの悲惨な大事故から生還してくれただけでよかったのだ。
こんな状態じゃ、アイドルを続けられないし、生活するにも不便だろうから、
彩が許せば美優紀が彩の手足になろうと思っているくらいだった。
だが今、彩の生命活動が終わろうとしている。
「ああぁ!!いややああああ!!」
美優紀が彩を見て涙を流しながら叫ぶ。
もし、彩が目を開いても真っ暗な世界しかみえないだろう。視力を失ったのだ。
「一緒に頑張っていこうっていうてくれたやんか!!」
美優紀は必死にピクリとも動かない彩に泣きながら叫ぶ
「ウチがみんなに迷惑かけたときも一番怒ってくれたやんか!」
美優紀は自身のあのことを思い出しながら、迷惑かけた時に距離を置くメンバーが多い中、
一番最初に怒って、そして許してくれた彩に
「今度はウチが罪滅ぼしする番やけん…」
呟くように話す美優紀。
薄れゆく意識の中、彩は必死に叫ぶ美優紀の声とそれをなだめる看護婦の声が聞こえた。
だがその声も、だんだん遠くなっていく。
実際は美優紀が彩の体にしがみついて、起きるように言ってたのだが、彩は体の感覚さえも失っていた。
ああ、もうだめだ。ウチはもう助からない。
そう思うと自然と気持ちが楽になる。
死んだ後ってどうなるんやろか…。そんなこと考えていた。
天国ってあるのか?あるんやったら、そこでまた音楽活動やりたいなぁ
美優紀に最後の最後で悲しませてしまった。それだけが心残りか?
まあいいか、ごめんなみるきー。先に逝くわ。
「…………みる……きー……………」
彩にしがみついていた美優紀は、自分のニックネームを呼ぶ彩の口の動きが見えた、声が聞こえた。
普通の人間じゃ聞き取れないくらいの小さな声だったが、美優紀は確かに聞こえた。
「……さや姉…?」
美優紀がそう呟いたとき…
ピ―――――――――――――――――――――
心臓の停止を知らせる長い音が響く。
その音の中、看護婦に引き剥がされ、呆然と立っている美優紀の頭の中には、
嘘
という文字で埋め尽くされた。
彩の衣服をはがし、なにやら電気ショックをしている医者。
その光景を無言でただ見つめる美優紀。
だが、彩の心臓は動き出さない。
何度目かの電気ショックが終わると、医者は静かに
腕時計を見て、
午前1時12分…お亡くなりになりました と呟いた。
「いやあぁああああああああああああああああああぁあぁああああああああああ」
体に力が入らなくなり、その場にガクッと膝をつき崩れる。
真夜中の病室。美優紀の泣き叫ぶ声がしばらく続いた。
しかし、いくら泣いても、叫んでも、山本彩という女性はこの世には戻ってこない。
「ぱるちゃん!!!よかったーーー!」
珠理奈は遥香を目視するとすぐさま飛びついた。
「じゅ、珠理奈ちゃん…なんでここに…」
遥香は驚いて珠理奈を見た。
「あのね!あの男の人、日向くんって言うんだけど、日向くんが私があの事故で死んでて、この死んだ後の世界に来たとか言ったの!」
珠理奈は早口で言う。
そして
「それでね!あの時のメンバーは皆生きてて、私だけが死んじゃったのかと思って寂しかったんだよぉ~」
珠理奈は遥香の胸で泣きじゃくる。
よほど会えたことが嬉しかったのだろうか。
言っていることはよくわからなかったが、遥香は、いつもの珠理奈で少し安心した。
「事故って何ですか?」
遥香は珠理奈が早口で説明したところで気になることがあったので聞き返した。
遥香は「事故」と珠理奈が言ったのを聞き逃さなかった。
「え?だって…バスが2回目の衝突を起こして動かなくなったあとに、なんか思い切りぶつかってきたじゃん!」
珠理奈はそう答えた。
「え…?え?」
遥香は困惑する。意味がわからない
実際、遥香は直前まで眠っていて、よくわからないまま意識が飛んで、起きたらここにいたのだ。
珠理奈も実際の死亡の原因になったものはわかってないない。
珠理奈は一から遥香に死んだことを説明した。
「そうだったんだ…」
遥香は自分が死んだことをすんなり認めた。
そして
「逃げたりして。ごめんなさい。えっと…日向?」
遥香は、音無向かって謝った
えっ。と言わんばかりに
「俺は日向じゃない!日向はこっち!俺は音無!音無結弦!!」
すぐ訂正し、音無は遥香にもう一度名前を教えた。
「音無…覚えた。」
遥香はそう言うと珠理奈とまた喋り始めた。
「でね、なんか死んだ世界戦線っていう面白そうな団体があるらしいんだけど、ぱるちゃんも一緒に加入してみない?」
珠理奈から勧誘される遥香。
「え~…」
遥香は音無と日向を見て考えた。
「なんかあの人たち…危なそうじゃないですか?」
小声で珠理奈にさっきの流れを思い出して、聞く遥香。
小声で言った遥香に対し、
「大丈夫だって!女の子も結構いるみたいだし男子だけだったら私も入らないよ~。その団体のリーダーも女の子だって」
珠理奈は安心させるように遥香に話した。
「あ、入ります」
リーダーが女の子と聞いた瞬間、遥香は加入を決めた。
「決断はえーよ!」
音無は遥香に対し大きな声で言った。
「残念だったな音無。お前女の子の扱い慣れてないだろ。」
日向が横から口をだす。
「うるさい」
日向の脇腹を肘で突く音無。
「というかさ、遥香、私服だし…。俺が目覚めたときは既に制服着てたぞ。いつもと違うから気になるじゃないか」
音無は遥香に声をかけた原因を日向に教えた。
「そういえばそうだな。珠理奈は寝転がってる時から制服だったぞ」
日向は、不思議そうな目で遥香を見る。
「まあ、とりあえず戦線の本部につれていってゆりに教えるか」
音無は、珠理奈と遥香についてくるよう言うと歩き出した。
日向もそれに同意する。
「ま、そうだな。行こうかお二人さん」
「はーい!」
珠理奈は返事をすると音無達についていった。
「リーダーは女の子だし、大丈夫だよね…?」
遥香は誰にも聞こえない小さな声で呟くと、みんなのあとを追いかけた。