AKBGの小説っぽいの -2ページ目

AKBGの小説っぽいの

AKB48グループの小説と呼べるかわからないのを書いてます。
内容は他の作品とのクロスオーバーが中心なので、それが苦手な方はおすすめしません。

実際の彼女達とは当然全く違うので、それを踏まえて読んでくださると嬉しいですヽ(*´∀`)ノ


「来たわね。…説明するわ」
ゆりは急に真面目な顔をする。



「ついにこの時が来てしまった…」
真剣な声でみんなに発するゆり。


「何か始まるんですか…?」
玲奈がメンバーを代表して聞き返す。



「天使の猛攻がはじまる…」
ゆりはそれだけ伝える。



「…そういえば学校の案内している時もガルデモの方々から天使って言葉がよく出ていたんですが、天使って何ですか?」
玲奈がゆりに尋ねる。



そう、ガルデモメンバーから学校案内を受けているときに、
天使という戦線と敵対している女の子がいて、その子と銃器などを使って戦っている。と聞いていたのだが、




実際に見たことない玲奈達はイマイチ想像できなかった。




「天使は、この学校の生徒会長よ。」
ゆりは当たり前のように玲奈達に教えた。



「生徒会長だったんですか!」
指原が驚く。



「その天使の猛攻……」
玲奈は頭の中で天使とゆり達が盛大に戦っている姿を想像する。



「天使の猛攻って…ゆりちゃんその子に何かしたの?」
珠理奈がきょとんとした顔でゆりに訪ねた。


ゆりが悪いみたいな言い方でずっこけそうになるゆり。


「何もしてないわよ!」
大きな声を出して否定するゆり


「天使の猛攻ってどうしてなんですか?」
話の続きが知りたくなった玲奈は話を戻してゆりに聞く。



「…テストが近いからよ」
特に顔色も変えず真剣にそんなことをいうゆり。


―テストが近いから。
たったそれだけのことなのに真剣なゆりに対して緊張していた玲奈は拍子抜けする。



「…えっと…生徒会長にとっては、生徒にテストでいい点とらせるのも大事だから?」
玲奈が考えて導き出した答えをゆりに言う。


「そう。そしてこのテスト期間、逆に天使を陥れる大きなチャンスになり得るかもしれないのよ」
何か思いついたかのようにニヤリと笑うゆり。


「ゆり、悪役みたい」
遥香がゆりの顔を見て一言。


「……」
遥香の一言にグサリと刺さったきたゆりの顔がひきつる



「ちょっとぱるる、話の途中なのにそんなこといっちゃだめだよ」
麻友が遥香を注意する。



「ご、ごめんねゆりちゃん。天使に何するつもりなの?」
遥香の一言を玲奈が謝り、話の続きを求める。


「て…天使のテストの邪魔を徹底的に行って、赤点を取りまくらせるの。そして順位を最下位まで落とすの」


更に続ける。
「生徒会長がテストでは最下位のおバカさんだったら一般生徒の目どうなるかしら?」
ゆりは自信アリ気にみんなに話す。


「…名誉の失墜。よほど鋼の精神の持ち主でないと、生徒会長の威厳を保ってられないね。当然、教師の方達や、他の生徒も、生徒会長を見る目が変わる。」
玲奈はゆりの目を見ながら話を交わす。


ゆりも玲奈の言葉に続いて喋る。
「そして、模範的な生活をしている天使は当然、変化が訪れるの。」


「どんな…?」
玲奈は聞く。


他のメンバーや、戦線メンバーは会話についていけず、みんな置いてけぼりだ。


「そこまでは私にもわからない。でもね、玲奈達が来る前に一度天使は私たちに追い込まれたの」

ゆりは玲奈達が来る前に球技大会という学校行事に飛び入りで参加したことを話した。
そしてその球技大会に良成績を残したらしい。


「その時以来、生徒会にも少なからずの変化は訪れているはずよ。」

ゆりの話を聞いていると、ちゃんとルールを守って生徒会チームをギリギリまで追い込んだらしい



「更にここで、私たちが追い打ちをかけるのよ。」

もし天使が神の創造物じゃなく、自分たちと同じ人だとすると彼女の精神に大打撃を与えることができる。
そうゆりは考えているが、玲奈には伝えなかった。




「それじゃ明日のテストには、あなたたちみんなに来てもらおうかしら。」
ゆりは話が終わると、明日のテストの参加メンバーを言っていく。


「え、私たちで大丈夫なの?」
玲奈が咄嗟に聞き返す。


「ええ。だってあなたたちも天使との戦闘や巨大送風機を回す役や陽動作戦にはまだ参加しないけど、戦線のメンバーだもの。信頼していいでしょ?」
ゆりは玲奈達を信用しているのは他の戦線メンバーから見てもわかった。


「あと参加するのは、日向くん、高松くんとあたしの9人でいいかしら?」
ゆりが意義がないか問うと反対する者はいなかった。



ゆりは見た目がおかしくないメンバーを選んだらしい。



「それじゃあ、明日!今日はこれにて解散!」
ゆりの一言で校長室からメンバーが出て行く。




玲奈達はソファーに腰をかける。


「なんか、今日だけでいろいろあったね。眠いや…」
指原はあくびをしながらみんなに言う。



「そうだねー…ってもう0時回ってるんだ。私たちここで寝ればいいのかな?」
麻友がソファーに凭れかかる。



「あ、ごめんね。言ってなかったけどちゃんと一人部屋の寮があるわよ。もう少しでまとめ終わるから一緒に行きましょ」
ゆりが校長の机で紙に何かを書きながら麻友の言葉に反応した




しばらくして、ゆりはまとめ終わり、玲奈達はこの世界の自宅となる寮へと案内された。


凍った空気感に耐えられなくなり顔を真っ赤にして指原の影に隠れる柏木。



「え…っと、今のはギャグ…なのかしら?」
ゆりは言いにくそうに柏木に聞く。



「ごめんなさい、ゆりっぺさん。気にしないであげてください」
指原は、ゆりにそう言うと、自分の自己紹介をはじめた。


「私は指原莉乃っていいます。22歳ですがよろしくお願いします!はい、次まゆゆ」
指原は簡単に挨拶をすると、麻友を急かす。


「渡辺麻友です…。えと、20歳です。よろしくお願いします」
柏木でスベらなかったら、麻友自身もキャッチフレーズを交えて挨拶しようと思ったが、
先ほどの柏木の姿を見た麻友は控えめに話した。


「麻友…」
柏木は咄嗟に挨拶変更をした麻友に気づいていた。

「ごめんね、ゆきりん」
小声で柏木に謝る。



「はい!松井珠理奈です!17歳です。まだわからないことだらけですがよろしくお願いします!」
珠理奈は明るい声で挨拶をすると、ちらほら戦線メンバーからよろしく…といった具合に返答がきた。


「えと、松井玲奈、23歳です。ゆりちゃんに出会い戦線に加入させていただきました。珠理奈達に会えたのもこの戦線のおかげです。よろしくお願いしますね」
玲奈は丁寧に挨拶をする。



「島崎遥香。ぱるるって呼ばれてます。よろしくお願いします…あ、20歳です」
遥香は淡々と挨拶をしたあと、年齢を言い忘れてたので伝えた。




「以上の6人ね。ありがと!」
ゆりは自己紹介をしたメンバーに感謝をのべると、更に続ける


「そして、私服の謎が解けたわ。」


「お、ゆりっぺ、わかったのか。なんだ?」
藤巻がゆりに聞く。



「私服のメンバーは成人しているってことよ。」
ゆりがそれだけ言うと、周りから驚きの声があがる。


「確かにそうだな」
音無もそれに共感する。



「でもおかしくね?今まで私服のヤツがこの世界に来たことなかったよな」
日向がゆりに疑問をぶつける

「そこなのよ。何が起こっているのかしらね」
ゆりは斜め上を見上げ考えた。




「すみません」
遥香がゆりに声をかけた。



「え?えーと、ぱるるだったわね。どうしたの?」
ゆりは遥香の名前を呼ぶと、用件を聞く。


「もうひとり倒れてたり眠っていた子は、いませんでしたか?」
もうひとり、あの時の事故で一緒にいたハズなのに、この部屋に来ていない足りないメンバーを遥香は聞いた。


玲奈たちもとっくに気づいていた。
あの事故のときバスに乗っていたのは第6回選抜総選挙で7位までに入った神7なのだ。つまり7人バスに乗っていた。
だが、この部屋に連れてこられたのは6人だけ。ひとり欠けている状態なのだ。

玲奈が時間が出来た時に、ゆりに聞こうと思っていたことを、遥香が先に聞いたのだ。


「え?そうね…戦線のメンバーの誰かが新しい人に出会ったらまずここに連れてくるように言ってるから、これ以上は誰も出会ってはなさそうね…どうしたの?」
ゆりは遥香に聞き返した


「いえ…いないならいいです」
遥香はすこし落ち込んだ声を出して、下を向いた。


「大丈夫だよぱるる。きっと来てるよ」
指原が遥香を励ます。


「そうですかね…?」
遥香は指原の顔を見て聞く。


そんな遥香を見て指原は無性に抱きしめたくなったが、我慢した。



遥香が探し求めている人の名は、山本彩。
あのバスで遥香の隣で座っていた人物だ。


玲奈は彩が来ていない理由を前向きに考えた。


そう、彩があの事故で唯一の生還者であってくれていること。


だが、現実は甘くなかったことを玲奈はまだ知らない。




「一応あなたたちはまだよくわからない存在だから今日は自由に過ごしていいわよ」
ゆりはそう言うと、玲奈達に自由時間が与えられた。


「ねえねえ、莉乃ちゃん達ってこの学校のことわからないよね!?私たちがいろいろ案内してあげようか!?」
先ほどの元気な女の子、ユイが指原達に声をかけてきた。


「わー、いいんですかー!お願いしますー!」
指原は喜びながら案内してもらうことにした。


続いて玲奈や柏木たちも全員同じ返答をする。


「まあいいか。入江と関根もいくぞー」
ひさ子が入江と関根も誘うと、ガルデモメンバーによる学校案内が始まった。



一通り案内が終わったあと、広い空間にたどり着いた。



「ここで夜になったら私たちがライブして、NPCから食券巻き上げるんすよー!」
関根が楽しそうに言う。


「人聞きの悪いこと言ってんじゃねえ」
すかさず突っ込むひさ子。


「ゆり先輩からはライブでNPCの陽動を任されてるんですよ」
入江が後ろに続いて歩いてる玲奈たちに伝える。


「で、あそこがパソコン室ッス!基本いかないから私たちもわかんないッス」
ユイが言う。


「確かに私ら授業受けないから入ったことすらないよな。ちょっと覗くか?」
ひさ子が続ける


「その前にすみません…トイレ行きたいんですが……」
指原がもじもじしながら手をあげ、トイレの場所を尋ねる。


「あ、トイレはあそこだよ」
パソコン室とは逆の方向に指をさす。


指をさした先にはお馴染みのお手洗い用の男女マーク。


「あ、あった!い、行ってきます!」
指原が走ってトイレに向かう。




「さっしーずっと我慢してたのかな?」
麻友は柏木に話かける。

「あの様子じゃよっぽど我慢してたんだろうね」
柏木も指原の様子を思い出して麻友に答える。



指原が帰ってきたあと、ガルデモメンバー達はパソコン室を覗こうとしたが、鍵がかかっていたため断念した。


「まあ、こんなもんかな。」
ひさ子は説明が終わると、玲奈達メンバーは感謝を伝えた。


それと同時に、


「あーいたいた!みんな~」
大山がこっちに向かって走ってくる。


「どうしたんですか?」
玲奈が大山に聞く。


息を整えながら大山は、
「ゆりっぺがみんなに話があるんだって」
ゆりが話があるとこの場にいる全員に伝えた。



そのまま校長室へ再度向かうメンバー。

玲奈達やガルデモメンバーが着く頃には全員集まっていた。


「ねえねえゆきりん、あの人も死んでるの?」
ひそひそと指原が柏木に話かける。


「さっき日向くんから聞いた話だと多分、そうなんじゃない…?」
柏木も指原に答える。


「えーやだ、怖い…」
柏木の背中に隠れる麻友。


「何言ってんのー、まゆゆってあの人と一緒にここまできたんでしょ?」
指原が今度は麻友に話かける。


「違うよ!私は大山さんについてきただけだもん」
麻友は必死に弁明した。間違いはないからだ。


「なんか武器持ってるし、あの人生きてたとき絶対アッチ系の人だよね」
藤巻の持っている長ドスを見ながら指原は言う。


「やだなぁ…あの人もメンバーだって…」
柏木は絶望的な瞳をする。


「うん、やだよぉ…」
柏木の背中に顔を埋める麻友。


「なんかあの人に絡まれたら、最悪だよね~」
指原はため息をついた



「ちょ、ちょっと失礼ですよみなさん」
3人の会話が丸聞こえだった玲奈が横から3人に注意する




「随分でかい声のひそひそ話だな!」
藤巻がこっちを睨みつけ、文句を垂れる




「ひえぇ!!ごめんなさい!」
指原が大きな声で謝った。



「人相の悪いのは本当のことでしょ?別にいいじゃない」
ゆりが指原達をフォローする。


「よくねーよ!!」
藤巻は大きな声を出してゆりに反論した。




「ふぅ…。時間もないし残りの自己紹介は私がするわ。」
ゆりはそう言うと隣の子を指さした。



「まず、この子は遊佐さん。戦線のオペレーターをやってもらっているわ」

「よろしくお願いします」
遊佐は丁寧に挨拶をした。



「そしてそこにいるのが竹山くん」
ゆりは遊佐の近くにいる男性に指をさす。

「僕のことはクライストと――」

「すごい頭がいいのよ。アホばっかりの集まりだから助かっているわ。」
ゆりは竹山の話を遮ると、次の説明に入ろうとしたとき


「Come on Let's Dance!」
柏木たち目の前に金髪の男性が乗り出してくる。

「…は?」
小さい声を出し、ぽかーんとなる柏木。

「彼なりの挨拶よ。みんなTKと呼んでるわ、本名も分からない謎の男よ。」
ゆりは当たり前のように説明する。

そんな人がいて、大丈夫なのかな?と一人思う玲奈。



「そこの背の高い眼鏡の男の子は、高松くん。戦線の参謀役よ。」

「高松です。この戦線の指揮は私がとっています」

「指揮をとっているのは私よ。見ての通り高松くんは本当はバカなの。そこんとこよろしくね」
高松の説明を終えると次は高松の隣にいる、



「彼は松下くん。柔道五段だからみんなは尊敬の意を込めて松下五段と呼んでいるわ。」

「よろしくな…」

松下の説明のあと、松下の反対側の壁に目線をやる。


「あの隅っこにいるのは椎名さん。椎名さんの戦闘力は本物よ」

椎名の戦闘力を目の前で見た柏木と指原はゴクリと唾を飲む。



「そしてそこのいる彼女たちは、Girls Dead Monster。略してガルデモっていう音楽バンドのメンバーたちよ。戦線の陽動部隊。」


「はいはーい!私ガルデモのメインボーカルのユイっていいま~す!よろしくぅ☆」
突然玲奈たちの前に出てきて名を名乗る少女。


「正確に言うと2代目な。私はひさ子だ。好きに呼んでくれて構わない。よろしく」
ひさ子はユイを押さえつけ玲奈たちの目の前から引き剥がした。


「私はガルデモでベースを担当してる関根であります!よろしくね~!そして…!」
関根はもう一人の控えめそうな女の子を連れてきて、


「あ、わ、私は入江っていいます…。その…同じ女の子どうし、仲良くしてください!」
控えめに挨拶を終わらせる入江。




「あとはここにはいないけど、生徒会に直井っていう音無くんにべったりの男の子がいるわ。今度ここに来たら改めて紹介するわね。
…そして、あたしはゆり。死んだ世界戦線のリーダーをやっているわ。基本的なことは日向くんかあたし、またはメンバーに聞いてくれればわかるわよ」


「とまあ…とりあえず今の戦線のメンバーはこんなものね。」
ゆりは一息つくと、次の言葉に入ろうとしたとき大きくドアが開く音がした。


「クソ!このやろう!突然なにしやがんだ椎名!」


ドアを大きく開きその入口に立つ長い斧みたいな物を持った男性。




そう柏木と指原を追い掛け回して襲った男性だった。


その姿を見た指原と柏木は怯えて二人抱き合う。



「あ、忘れてたわ。彼は野田くん。特に相手しなくてもいいし、なんなら覚えなくていいわ」
ゆりは適当に言って説明を終わらせた。

「何言ってんだゆりっぺ!俺ァ―――


ゴンッと言う大きな音がすると、玲奈たちの視線の先は、野田という男性から大きなハンマーが入口をぶらんぶらんと揺れているだけに変わった。



「アホだ」
日向は一言そう言った。


「言うの忘れてたけど、校長室の前には仕掛けがあるから気をつけてね」
指原たちは、うん…と小さく頷いた。





「さ、気を取り直して、次はあなたたちに自己紹介してもらってもいいかしら?」
ゆりは玲奈たちを見て伝える。


「更にお願いしたいのだけど、年齢も教えてくれるかしら?私服姿の理由が分かるヒントになるかもしれないの。ごめんね」
年齢を言って欲しいとゆりは付け加えた。




「じゃあゆきりんから順に…」
指原は柏木に伝えた。


「まあ端っこだし、そうね……ふぅ。」
柏木は深呼吸を一度すると、





「…寝ても覚めてもゆきりんワールド!夢中にさせちゃうぞ☆ ゆきりんこと柏木由紀23歳です!」







自分の中では一番の出来じゃないか?と思えるぐらいよくできた自己紹介だと柏木は思う。



だが、戦線のメンバーは…



というより、今の自己紹介で室内全体が凍りついた。



あの堂々とした戦線のリーダーのゆりまで固まっている



「あさはかなり…」







「ここが戦線の本部よ。」
ゆりは本部と言われるドアの前に立って玲奈に説明する。



玲奈は上の表札を見る。
「…校長室?」


「そ、一時的にだけどね。校長室を本部として使っているわ。」
当然でしょ?と言わんばかりに玲奈に伝えるゆり。



「校長先生はいらっしゃらないんですか?」
こちらも当然のように尋ねる玲奈。



「校長先生はいるわよ?校長室に戻ってこさせないように戦線のメンバーが交代しながら足止めしているけどね」
ゆりはさらりと恐ろしいことをいう。



そこまでして校長室を使う理由があるのだろうか
とても気になったが、玲奈は余計な詮索はやめることにした。



「ま、とりあえず入って巡回している他のメンバーを待ちましょ」
ゆりはドアを開き中に入った。

玲奈も続いてお邪魔する。



「おせーぞゆりっぺー」
入ると同時に聞こえる男性の声。


「うっさいわね、新メンバーを連れてきたのよ。日向くん達はどうだったの?」
ゆりは自分の名を呼んだ、日向という男性に言い返した。



「こっちも2人、連れてきたぜ」
日向は指で2を作り説明した。


「2人もいたの!?」
2人と言う言葉に驚くゆり。


「さらにだ、椎名が2人連れてきた。」
続けて日向は椎名が新参者を連れてきたことを伝える。


「いったいどうなってるの…一気にこんな」
ゆりは真面目な顔して考えた。




玲奈は室内を見渡す。いたって普通の校長室だ。ソファーとか置いてある。
そして戦線メンバーと思われる顔ぶれを見ていく。人相の悪い男性や、大人しそうな女の子や優しそうな男性もいる。
男性の割合が少し多いかな?そんなことを思う。



更に見渡すと玲奈は、その新しい戦線のメンバーと言われる玲奈を除いた5人の顔に目を奪われた。



その中の一人と目が合う。


「あれ…?」
意識するよりも先に声が出た。






「…珠理奈?」



「玲奈ちゃん!」





名を呼ぶと同時に向こうからも玲奈の名を呼ぶこの学校の制服を着た珠理奈の声が室内に響いた。



そしてそのまま玲奈に抱きつく珠理奈。

「よかった!!玲奈ちゃん、この世界にいないのかと思った!いや、いない方が良かったんだろうけど、でもよかったーー!」
珠理奈は抱きついたまま玲奈にそう伝える。



ゆりから聞いたとおり、ここは死んだあとの世界だから、
ここにいなかったらあの事故で生きていた可能性があるから珠理奈はいない方が良かったと言ったのだろう。

確かにそのとおりである。




「玲奈?その子知り合いなの?」
ゆりは珠理奈をさして玲奈に聞く。



「え、ええ。というか新しく連れてこられた人みんな…」
玲奈はゆりの顔を横目で見ながら伝える。



「どういうこと…?」
ゆりは不思議そうな顔をして、自身の席だと思われる校長のイスに座る。



「何かおかしなことが起きてるのは事実のようね」
そういうとゆりは一人納得した。



「とりあえず、みんな彼女たちに自己紹介してもらっていいかしら?いい機会でしょ?音無くんから簡単にしてって」
ゆりは玲奈をはじめ、全員に伝えた。



「えと…俺は音無。音無結弦だ。戦線メンバーの中では、まだこの世界に来て一番日が浅いがよろしく…」
控えめに挨拶をする音無。



音無さん。来たばかりということは苦労とか共有できそうだな。
玲奈は思う。



「俺は日向ってんだ。一応リーダーのゆりっぺとこの戦線を立ち上げたメンバーだ。何かわからないことあったら聞いてくれよ」



日向さん。目が覚めた時この人がいて、いろいろ説明してもらったいい人だ。
性格も明るいし気が合いそうだな~。珠理奈はそう思った。



「僕は大山って言います。特徴がないのが特徴…かな?あはは、よろしく!」


大山。忘れないようにメモしとこ。むしろ念の為に写真とかもらってもいいのかな。
遥香は、大山をよく観察した。



「何自分で特徴がないって言ってんだよ。俺は藤巻ってんだ。よろしくたのむ!」
藤巻が大雑把に自己紹介すると、




玲奈達全員はビクッとなった。





一番の理由が顔が怖いからだ。

そう、行き止まりだ。
左右に逃げ道はないし、後ろからは当然あの男性が追いかけてきている。



「お前ら…」
男性が追いついき、行き止まりの壁から振り返った私たちの前に立っている。



「どうしよう…」
絶体絶命に陥った柏木は、そうだ!と何かひらめき、
そして指原を自身に引き寄せ、強く掴む。


すぐさまこの体制に気づいた指原は、
「ちょ、ちょっと!!ゆきりん!なんで指原を盾にしてるしてるんですかー!!」
泣き叫ぶように柏木から逃れようとする指原。



柏木は指原を前に立たせ、盾にしたのだ。



「これだったら怪我しなくて済みそうだし…」
柏木はそう言うと指原はすぐに





「指 原 は ど う で も い い ん で す か あ!?」





「というかあんな長い斧で切られたらリーチ的に指原が前にいたとしてもゆきりんもまとめて切られちゃいますから!」

もっともなことを言って指原は、今すぐにでも逃れようと体に力を入れて柏木から離れようとする。


「あ、そっか」
指原の言ったことがもっともだと思い、パッと急に手の力を緩めた柏木。



「ひゃああ!」
指原は変な悲鳴をあげると、思い切り前に転がっていった。




指原の転がっていった先、そこにはハルバードを構えた男性。



「……」
すかさずハルバードを転んだ指原の首元に突きつける。



「うわー!ゆきりんのバカー!胴長!ひょうたん!!ブラックまりもっこり!!!」
指原は大声で柏木を罵倒する。



余計な言葉にカチンときた柏木は
「……すみません、その子やっちゃってください」
目の前のハルバードを突きつけている男性に丁寧にお願いした。


「ごごごごめんなさい!!ゆきりん許して!!というかたすけてぇー!!」
指原は罵倒したことを謝罪すると柏木に助けをせがんだ。



指原がしばらく大声で泣き叫びながら助けを求めていると、




「……あさはかなり」


どこからともなく、女性の声がして



「ぐはっ!!がはっ!ぐあっ!!」
三度、ハルバードを持った男性の声がして、倒れた。


そしてその男性の後ろに立つのは…



この学校の制服を着ていると思われる、女子生徒だった。



「さっしー!大丈夫!?」
柏木は男性が動かなくなったのを見ると指原にかけよる。


「ゆきり~ん!!怖かったよぉおおお~~!!」
指原が柏木に抱きつく。


「はいはい、ごめんね」
ハルバードを持っている男性の方に転ばした原因は柏木自身にあるため、素直に非を認め謝った。




「それよりもあの人…」
柏木は指原を落ち着かせると、倒れた男性のすぐ近くに立っている女子生徒に目をやった。


「……ついてこい」
それだけ言うと、女子生徒は歩き出した。


「どうしようゆきりん…」
指原は柏木に小声で訪ねた。

「こ、ここは従ったほうがいいかも…ね?」
柏木も少し怯えながら指原に答えた。



ここで変に逆らったり、あの女性の機嫌を損ねれば、
今ここで血を流して倒れている男性みたいに自分たちがなってしまうかもしれないと思った柏木の考えだ。



「とりあえず…いこっか」
柏木は先を歩いている女性を見失わないように少し早く歩いて、指原の手を握り追いかけた。