「来たわね。…説明するわ」
ゆりは急に真面目な顔をする。
「ついにこの時が来てしまった…」
真剣な声でみんなに発するゆり。
「何か始まるんですか…?」
玲奈がメンバーを代表して聞き返す。
「天使の猛攻がはじまる…」
ゆりはそれだけ伝える。
「…そういえば学校の案内している時もガルデモの方々から天使って言葉がよく出ていたんですが、天使って何ですか?」
玲奈がゆりに尋ねる。
そう、ガルデモメンバーから学校案内を受けているときに、
天使という戦線と敵対している女の子がいて、その子と銃器などを使って戦っている。と聞いていたのだが、
実際に見たことない玲奈達はイマイチ想像できなかった。
「天使は、この学校の生徒会長よ。」
ゆりは当たり前のように玲奈達に教えた。
「生徒会長だったんですか!」
指原が驚く。
「その天使の猛攻……」
玲奈は頭の中で天使とゆり達が盛大に戦っている姿を想像する。
「天使の猛攻って…ゆりちゃんその子に何かしたの?」
珠理奈がきょとんとした顔でゆりに訪ねた。
ゆりが悪いみたいな言い方でずっこけそうになるゆり。
「何もしてないわよ!」
大きな声を出して否定するゆり
「天使の猛攻ってどうしてなんですか?」
話の続きが知りたくなった玲奈は話を戻してゆりに聞く。
「…テストが近いからよ」
特に顔色も変えず真剣にそんなことをいうゆり。
―テストが近いから。
たったそれだけのことなのに真剣なゆりに対して緊張していた玲奈は拍子抜けする。
「…えっと…生徒会長にとっては、生徒にテストでいい点とらせるのも大事だから?」
玲奈が考えて導き出した答えをゆりに言う。
「そう。そしてこのテスト期間、逆に天使を陥れる大きなチャンスになり得るかもしれないのよ」
何か思いついたかのようにニヤリと笑うゆり。
「ゆり、悪役みたい」
遥香がゆりの顔を見て一言。
「……」
遥香の一言にグサリと刺さったきたゆりの顔がひきつる
「ちょっとぱるる、話の途中なのにそんなこといっちゃだめだよ」
麻友が遥香を注意する。
「ご、ごめんねゆりちゃん。天使に何するつもりなの?」
遥香の一言を玲奈が謝り、話の続きを求める。
「て…天使のテストの邪魔を徹底的に行って、赤点を取りまくらせるの。そして順位を最下位まで落とすの」
更に続ける。
「生徒会長がテストでは最下位のおバカさんだったら一般生徒の目どうなるかしら?」
ゆりは自信アリ気にみんなに話す。
「…名誉の失墜。よほど鋼の精神の持ち主でないと、生徒会長の威厳を保ってられないね。当然、教師の方達や、他の生徒も、生徒会長を見る目が変わる。」
玲奈はゆりの目を見ながら話を交わす。
ゆりも玲奈の言葉に続いて喋る。
「そして、模範的な生活をしている天使は当然、変化が訪れるの。」
「どんな…?」
玲奈は聞く。
他のメンバーや、戦線メンバーは会話についていけず、みんな置いてけぼりだ。
「そこまでは私にもわからない。でもね、玲奈達が来る前に一度天使は私たちに追い込まれたの」
ゆりは玲奈達が来る前に球技大会という学校行事に飛び入りで参加したことを話した。
そしてその球技大会に良成績を残したらしい。
「その時以来、生徒会にも少なからずの変化は訪れているはずよ。」
ゆりの話を聞いていると、ちゃんとルールを守って生徒会チームをギリギリまで追い込んだらしい
「更にここで、私たちが追い打ちをかけるのよ。」
もし天使が神の創造物じゃなく、自分たちと同じ人だとすると彼女の精神に大打撃を与えることができる。
そうゆりは考えているが、玲奈には伝えなかった。
「それじゃ明日のテストには、あなたたちみんなに来てもらおうかしら。」
ゆりは話が終わると、明日のテストの参加メンバーを言っていく。
「え、私たちで大丈夫なの?」
玲奈が咄嗟に聞き返す。
「ええ。だってあなたたちも天使との戦闘や巨大送風機を回す役や陽動作戦にはまだ参加しないけど、戦線のメンバーだもの。信頼していいでしょ?」
ゆりは玲奈達を信用しているのは他の戦線メンバーから見てもわかった。
「あと参加するのは、日向くん、高松くんとあたしの9人でいいかしら?」
ゆりが意義がないか問うと反対する者はいなかった。
ゆりは見た目がおかしくないメンバーを選んだらしい。
「それじゃあ、明日!今日はこれにて解散!」
ゆりの一言で校長室からメンバーが出て行く。
玲奈達はソファーに腰をかける。
「なんか、今日だけでいろいろあったね。眠いや…」
指原はあくびをしながらみんなに言う。
「そうだねー…ってもう0時回ってるんだ。私たちここで寝ればいいのかな?」
麻友がソファーに凭れかかる。
「あ、ごめんね。言ってなかったけどちゃんと一人部屋の寮があるわよ。もう少しでまとめ終わるから一緒に行きましょ」
ゆりが校長の机で紙に何かを書きながら麻友の言葉に反応した
しばらくして、ゆりはまとめ終わり、玲奈達はこの世界の自宅となる寮へと案内された。