岸田新政権の誕生と共に、新たに創設された「経済安全保障担当大臣」。
11月号の巻頭言では、
①「経済安全保障担当大臣」の新設
②軍事転用可能な技術の移転を狙う中国
③中国主導の国際秩序形成への対抗を
の3つについて記されている。
その中でも、特に押さえておきたいポイントは、「経済安全保障政策が重視される背景」。
なぜ「経済」が「安全保障」という国防と結びつくのか。
経済が国家の存立において大きな影響を与えるまでに至った今日の国際環境の変化を、私達国民は理解する必要があると思う。
※以下、本文を引用。
そして何よりも、宇宙衛星情報の軍事的使用、ネットワーク化、サイバー兵器、AIの登場など、情報通信技術の革新が現代戦の様相を一変させた。
一例を挙げれば、サイバー攻撃を実行するのはコンピューターと優秀なハッカーだけであり、これまでのミサイル、核兵器、爆撃機などと比較すれば遥かに廉価で、その上、破壊力は甚大である。(中略)
中国はこの十年以上、宇宙衛星、サイバーといった技術を急伸させている。武器や軍事に転用可能な技術を「機微技術」というが、この「機微技術」を中国は徹底して摂取してきた。M&Aや企業再生事業に三十年間従事してきた日本戦略研究フォーラムの平井宏治氏は、M&Aの現場で中国が手段を選ばずに軍民両用技術を自国に移転しようとする姿を何度も目にしてきたという。
中国は平成13年(2001)に国際的な自由貿易体制を目指して構築された世界寄稿WTOに加盟した。
その後、経済成長を驀進させ、軍事的台頭を果たしたのは、中国は経済成長と軍事拡大は密接不可分のものと捉えているからだ。
経済力と軍事力を背景に、今や中国主導の国際秩序の形成を図ろうとしているわけである。
これに対して、自民党の政策パンフレットの経済安全保障項目には次のようなスローガンが記されている。
「日本の機微技術・先端技術・戦略物資の海外流出を阻止できるように」
「近年、急増しているサイバー攻撃から、国民の生命や財産を守れるように」
現実は厳しい。
だからといって悲観的になるのではなく、私達もぜひ政府の視点でものごとを理解する「眼」を養い、一人一人が経済安全保障の理解と認識を深めていくべきではないだろうか。
このことが、岸田政権の政策を後押しする力にもなるのだと思う。