共産党はどのようにして権力を掌握するか | 月刊誌『祖国と青年』応援ブログ

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青木聖子とその仲間たちが、『祖国と青年』や日本協議会・日本青年協議会の活動を紹介したり、日々考えたことを綴ったりします!
(日本協議会・日本青年協議会の公式見解ではありません。)

 今、民進党と共産党の共闘について、「民共合作」などと言われていて、これは中国の現代史の「国共合作」をもじったものだと思いますが、なかなかその本質を突いていて、「うまいこと言うなぁ」と感心しています。


 本質を就いているというのは、国共合作で日本軍と戦っている間はまだよかったものの、日本軍がいなくなると、中国大陸は毛沢東に乗っ取られ、蒋介石は台湾に追い出されてしまった、というのと同じ運命を、民共合作も辿るだろうということです。


 もちろん、これは民共が政権を獲ったらの話で、その仮定自体があってはならないことなのですが、共産党と手を結ぶということがどういうことか、よく分かっていない人も多いので、そういう仮定の話も無意味ではないでしょう。


 中国の例は極端だとしても、少数派だった共産党が連合政権の一角に食い込み、やがて政権を支配するというのは、かつての東欧でよく見られた現象でした。この例に照らし合わせてみても、民共政権は確実に共産党に飲み込まれること必死です。


 共産党はどのようにして権力を掌握するのか。以下、「祖国と青年」6月号の吉原恒雄先生の巻頭時評からご紹介します。



 東欧諸国での共産主義政権誕生は、一般にはソ連軍が武力で押し付けたと思われている。だが、実際には統一戦線方式が巧妙に活用されて、先ず連合政権が誕生。次いでソ連軍の武力を背景に共産党が政権内での主導権を徐々に奪い取ったのである。そこで注視すべきは、少数勢力だった共産党がレーニン主義的な暴力革命ではなく、どんな手練手管で連合政権の一角を占め、徐々に政権を支配するようになったのかである。


 「統一戦線方式」は、幅広い国民各層から比較的に受け入れられやすい政治課題に限定して多数派を形成し政権の座に就く。当初、この政権では共産党は少数派だが、先ず共産主義を唱える各派の中で多数派を占め、共産主義勢力の支配権を握る。そのうえで、次には「社会主義勢力」の中で「共産主義勢力」が主導権を握る。「社会主義勢力」も、それぞれイデオロギーの微妙な相違がある。その中で統率のとれた行動を執れるのは、共産党がイニシアティブを握る「共産主義勢力」だけである。このため、「社会主義勢力」も、「共産主義勢力」のイニシアティブを握る「共産党」が大きな影響力を持つようになる。


 さらに次の段階では、「民主主義勢力」も同じように、共産党が「社会主義勢力」―「共産主義勢力」を通して影響力を及ぼすようになる。各勢力内で少数派の共産党が指導権を握れるのは、①他の勢力内の他の諸派と違って、同党が中央からの指示に従って一糸乱れぬ行動を執る、②共産党にはプロの組織工作者がいる、③統一戦線を組むと各組織内での相互乗り入れをすることになり、組織内に情報網、要員を浸透させる―等のためである。


 我が国の現在の労働界において、例えば「自治労」や、「新聞労連」「民放労連」は共産党系の労組と言われている。地方自治体、マスメディア等の企業従業員のうち、共産党員の占める比率は僅少であろう。であるにも拘わらず、それら労組で共産党が大きな影響力を有しているのは他でもない。労組役員になりたがらない状況下で積極的にその役割を引き受け、さらに執行部内で党からの指令で一糸乱れぬ行動を執るからである。


 大戦で枢軸側に属した多くの東欧諸国では、「反ファシズム」を掲げた統一戦線政府内で共産党が徐々に影響力を増していく。その際、共産党は政権内で内務関係省や軍事関係省のポストに就くことが多かった。いずれの国の場合でも、政治家は経済利権が絡まるポストに就きたがる。日本でも、「防衛庁長官(防衛大臣)」は伴食大臣とされ、警察に影響力を持つ「国家公安委員長」は他省大臣の併任とされている。


 しかし、軍や警察という実力組織を管掌するポストは、国民や社会組織への統制を考える場合、極めて重要である。チリではアジェンデ政権が、レーニン式の暴力革命でなく、議会制民主主義を巧妙に活用し政権の座に就いた。ところが、同政権は軍の牙を抜かなかっただけでなく、敵対視していた。米国のCIAがそこに付け込んで、軍に工作してクーデターを起こさせ、アジェンデ政権は短期間に崩壊した。その反面、ポルトガルでは軍が国政の民主化に大きな貢献をした。


 我が国ではこの事態を受けて、社共両党を始めとする左翼勢力は「チリの反面教師・ポルトガルの正面教師」ということを口にし始めた。国政選挙の際に、共産党が 〝親警作戦〟 を展開し始めたり、「共産党が政権をとっても皆さんの生活は保障します」等のビラを自衛隊官舎などにバラマキ始めたのは、前記の教訓を踏まえたものだ。