憲法の緊急事態条項はなぜ必要か | 月刊誌『祖国と青年』応援ブログ

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青木聖子とその仲間たちが、『祖国と青年』や日本協議会・日本青年協議会の活動を紹介したり、日々考えたことを綴ったりします!
(日本協議会・日本青年協議会の公式見解ではありません。)

 「祖国と青年」1月号では、前号に引き続き、村主真人さんが緊急事態条項の必要性について書かれています。


 緊急事態条項反対派の意見として、「個別法で対応できる。わざわざ憲法に規定する必要はない」というものがあります。緊急事態条項のようなものが必要だということは大方が納得すると思うのですが、「別に憲法でなくても、個別法を整備すれば済むのではないか」というわけです。


 これに対して、村主さんは次のように問題提起しています。



 個別法を制定する上での障壁となっているのが、憲法上の基本的人権尊重の規定を、果たして個別法の条文で制限できるのかという根源的な問題です。


 緊急事態について詳細を規定する緊急事態基本法であれ、災害対策基本法や新型インフルエンザ特措法であれ、個別法に一時的な基本的人権の制限を盛り込んだとしても、憲法に権限となる根拠規定を盛り込んでおかなければ、行政側は「違憲」との批判を恐れ、実行を躊躇することになりかねません。


 そのため、せっかくの個別法が現実には役に立たない法律となり、規定はあっても発動できない事態が考えられるのです。



 また、村主さんの論文では、櫻井敬子学習院大学教授の参議院憲法審査会での次の意見が紹介されています。



○災対法には、災害緊急事態における緊急政令の制度が置かれていますが、憲法違反じゃないということでつくったものの、憲法上の疑義があるということが言われているために、執行しようとするとちゅうちょされる状況があります。


○危機管理と人権保障が対立するものではないと明示しないと、新たな危機管理法を作ること自体が非常に難しく、作ったとしても動かしにくいことになります。この問題は、憲法と法律を一体的に整備するという発想が必要かつ有益と考えます。



 つまり、いくら個別法を整備しても、憲法の人権規定に抵触するという疑義が残るために、結局は執行できないということですね。櫻井教授の指摘するように、「憲法と法律を一体的に整備する」という発想が必要なのだと思います。