自衛隊は中国海軍を撃退できるか | 月刊誌『祖国と青年』応援ブログ

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青木聖子とその仲間たちが、『祖国と青年』や日本協議会・日本青年協議会の活動を紹介したり、日々考えたことを綴ったりします!
(日本協議会・日本青年協議会の公式見解ではありません。)

 「祖国と青年」12月号では、潮匡人さんに「自衛隊は尖閣諸島を守れるか」というテーマでお話を伺っています。


 中国は原潜を開発し、空母を就役させたなどという情報も耳にします。孫崎享さんのように「もしも尖閣諸島で中国との軍事衝突が起きるならば日本は確実に敗北する」などと言う人もいますが、実際に、中国の実力はどう評価すべきなのでしょうか。潮さんのインタビューの一部をご紹介します。


  
 ――九月二十五日、中国初の空母「遼寧」が配備されたと報道されました。空母を持ったことで中国の脅威は著しく増大するのでしょうか。


  専門家の間でも、「脅威ではない」と言う人と「脅威である」という人に分かれていますが、私は「何と比べるのか」によって区分けして議論すべきだと思います。


 中国の空母を米海軍の空母と比較するのであれば、「脅威ではない」と評価するのが妥当だと私も思います。米国の空母がカタパルト式を採用しているのに対して、中国の空母は、実際に甲板が少し反りかえっていますが、スキージャンプ型と言われる方式を採用していますので、まず米空母のように離陸の間隔を空けずに次々と艦載機が飛び立つことができません。また、その艦載機の有効積載量、一般に「ペイロード」と言いますが、爆弾や燃料などを最大どこまで積めるのかという数字の制約がかかってきます。要するに、単に傾斜を利用して発艦していくわけですので、あまり重い状態だと発艦に失敗しかねません。いざ戦争となればミサイルも積みますし、一分、一秒を争う世界ですので、そこは致命傷になります。


 さらに米国の場合、空母のまわりに原潜、イージス艦その他が展開し、空母機動部隊というパッケージになっています。しかも現状で十一隻保有体制で、十に減るかもしれませんが、とはいえまだ二ケタの米国の空母と、まだ一隻、取りあえず練習から始めましょうか、というレベルの中国の空母とでは、そもそも比較になりません。


 では、日本と比べるとどうなるでしょうか。「中国の空母は性能が劣っていて、しかも戦闘機が着艦できるかどうかも怪しい」などと言う人がいますが、確かに着艦の技術は難しく、米海軍も夥しい犠牲を出して現在の能力を得るに至っていますので、中国はそのレベルに達していないという見立てはその通りです。しかし、だからと言って「中国恐るるに足らず」と言うのはどうかと思います。そもそも日本の何と比べているのか、ということです。日本の場合は空母を保有していませんので、米国とは逆の意味で比べようがありません。


 少し無理があるとは思いますが、日本の航空自衛隊と中国の空母の航空戦力を比較するのであれば、米海軍の空母と比較するのと同じように、それほど大騒ぎしなくてもいいのかもしれません。しかし、現在尖閣諸島は海上自衛隊の対潜哨戒機「P3C」が主力になって監視体制を敷いていますが、P3Cと戦闘機搭載の中国の空母ということであれば、中国側に分があります。さらに、海上保安庁の艦船や航空機と比較するのであれば、中国軍の司令官は赤子の手を捻るようなものだと思いますので、その脅威を過小評価するのは当らないと思います。


 そして、いずれの立場に立つにせよ、このまま中国が軍拡を続けていけば、二〇二五年あるいは二〇三〇年には空母が四隻、下手をすれば六隻建造されるという説もありますので、こうなってくると話は前提から崩れます。米国も太平洋にまわせる空母の最大数が六隻に届かなくなるかもしれません。またつい先日、中国が最新鋭のステルス戦闘機「J31」の試験飛行に成功したとも聞いています。日本にはまだ第五世代戦闘機は一機もありません。F35はそのうち入ってくるのでしょうが、まだ見通しもたっていません。将来、第五世代戦闘機を搭載した中国の空母が登場することになれば、恐るべきことです。


 ――元外務省国際情報局局長・孫崎享氏は「もしも尖閣諸島で中国との軍事衝突が起きるならば日本は確実に敗北する」と発言していますが、率直に言って、尖閣諸島をめぐって日中間の軍事衝突に発展した場合、自衛隊は中国海軍を撃退する能力を持っているのでしょうか。


  孫崎氏の言っていることは全く根拠がありません。単に数だけで比較して中国の方が多いと言っているだけで、軍事的には全く当らない議論です。


 そもそも距離的にこちらの方が近いし、こちらのレーダーの範囲に入っていますし、我が方には大型レーダーを搭載したAWACS(早期警戒管制機)まであって、立体的に運用が可能です。決して現時点では中国には引けをとらないし、自衛隊単独でも有利に戦いを行い得ると思います。中国の原潜も全て捕捉して撃沈できます。中国の原潜は特に音がうるさいのです。しかも東シナ海は比較的浅いので、発見はそれほど難しい作業ではありません。


 ですので、「どうせ戦ったって負けるんだから中国の言う通りにしよう」とか「尖閣は係争地だと素直に認めよう」などと騒ぐのも、それはそれでどうかと思います。将来を見通して冷静に分析しつつしかるべき手を打つ、ということが大切なのではないでしょうか。