少し時間が経ってしまいましたが、5月16~20日、両陛下はエリザベス2世女王の御即位六十年に際しての午餐会に出席されるのため、英国をご訪問になりました。
その今回の英国ご訪問について、少しまとめておきたいと思います。
陛下は、平和条約発効翌年の昭和28年、昭和天皇の御名代としてエリザベス女王陛下の戴冠式に出席されているのですね。当時はまだ19歳の青年皇太子でいらっしゃいました。敗戦国日本が再び国際社会に復帰しようという、そんな頃のことです。
エリザベス女王主催の午餐会が行われたのは18日。20数カ国の王族・皇族らが一堂に会しましたが、60年前の戴冠式にも出席されていたのは、陛下とベルギー国王アルベール二世のお2人だけでした。
60年というエリザベス女王の御在位の長さとともに、陛下が日本の国際的地位向上のために、いかに長きにわたって尽くしてこられたかが偲ばれます。
今回の英国ご訪問は、陛下はご手術後のお身体で、ご体調も万全とはいえない中でしたが、「東日本大震災に際し世界各国から多くの支援が寄せられたことに対し、各国の君主や英国の人たちに直接感謝の意を伝えたい」との陛下の強いご希望があったとも漏れ伝えられております。
陛下は、午餐会に先立つ17日には、日本大使館で、東日本大震災で日本を支援したイギリス人約百人に感謝の言葉を英語で伝えられました。
また、19日には大使公邸で在留邦人代表とお会いになり、「ほぼ60年前英国の対日感情が決して良好とは言えなかった時代に昭和天皇の名代として戴冠式に参列した私には、今日の日英間に結ばれて来た強い絆に深い感慨を覚えます」とお述べになりました。